フロンティア、試しを受ける その後 前編
すいません!一話で終わりませんでした!
次で終わるかどうか、自信もない(笑)
戻ってきた!
ついに、フロンティアへ戻ってきたぞ!
「マスター、何をニタニタしてるんですか?そういえば、数分間、マスターの姿が消えてたような記録があるんですが。何ですか?この欠落情報は」
え?
俺が別の世界へ跳ばされて数年間も血を吐くような苦労をしてきたってのに……
あれが数分間の消失事故だとぉ?!
「フロンティア、実はな……」
と、俺の体験した妙な事件を詳細に話す。
すると、フロンティアが微妙な表情をする。
こんな表情、俺も見た記憶がない。
苦渋に満ちたような、懐古の念のような、それでいて、ちょっとしたミスをした事を悔いているような……
「は、すいません、マスター。ちょっとサブ回路に情報が流れこみすぎて、動作不全状態に陥っておりました。もう大丈夫です」
「おい、フロンティア。お前は超高性能とは言えロボットだ。しかし超高性能なゆえに引き起こされる厄介な事態もある。辛かったら俺に話せよ」
「はい、マスター。今はちょっと……しかし、いつかはお話しますので、お待ちください。それを話すときには、少なくとも私の船体が完全に復旧した後になるでしょうが……」
ま、今はこれで良いか。
俺達は、また別の銀河へと近づいていった……
ここで時空間を戻り、天界という僧がいなくなった後の大日本国(織田幕府が誕生し、国内の争いも平定されて落ち着いた後、織田信満つまり信長の息子が日の本と呼ばれていた国名を大日本と改めさせる)は、どうなったか?
を、しばらくは語るとしよう。
「上様!儂だけ天界殿と最後の話を出来なかったのは上様が儂を嫌っておったからではにゃーですか?」
「落ち着け、サル。天界は、自分は、いつ元の世界に戻されても良いように、こちらに未練を残すようなものを作りたくなかったのじゃろうな。あやつが貴様のように褒美や位、女で釣れるようなら、とっくに儂が引き止めておったわ」
「はあ、それにしても天界殿、儂にも何もいわんと帰ってしまうとはのぅ……あの、刀よりも斬れると言われたお人がいなくなると、織田幕府も、これからどうなることやら」
「おい、サル。もういっぺん言うてみぃ。その口、ねじ切ってやろうか?」
「そ、そのように、すぐ怒りを覚える上様を止められるのは、儂と天界殿、いや、怒りが頂点にまで達した上様を抑えられるのは、やはり天界殿しかおらんでしょうが!ああ、これからどうしたら……」
「やかましい!うじうじ泣いておっても天界は、もう戻らんぞ!あの天才軍師無しで、いやがおうでも儂らは、この日の本を動かしていかねばならんのじゃ!サル、湯漬けを持てぃ!御前会議を開催する!」
「おっ?!それでこそ上様じゃ!はいはい、すぐにお持ちいたしまする。誰ぞ、誰ぞある!上様には湯漬けを所望じゃ!それから御前会議じゃぞー!」
頭脳で抑えていた人間がいなくなったので、はっちゃけ気味ではあるが彼らは彼らで、この日の本を真面目に舵取りしていくつもりであった……
「外務大臣、外国の動きは、どうなっておるか?」
「はっ。情報省の発表によりますると戦いよりも科学技術で他を先駆けようとする動きが全世界で出ています」
「そうか。では、あの計画、速めねばなるまいな」
将軍となった信長、官僚組織も今はなき天界の素案から、幕府と各藩ではなく都道府県として地域や所領を改変し、小国として大名を配置するのではなく民衆から選ばれた知事を、そこの地域の統領として配置するという前代未聞のことをやった。
当然、旧大名や武士階級から猛烈な反対の声が上がるが信長は一喝で黙らせる。
「もう日の本は統一されたのじゃから大名も武士も不要じゃろ?刀も全て取り上げる!民衆の力は武士など必要としていない!今、必要なのは技術者と発明家!そして商人と農民じゃ!威張り散らして働かぬ武士など飢えて死ね!」
もう、やりたい放題、言い放題である。
しかし、それだけの実績と実力があるので誰も文句は言えない。
一時期、関東の家康が不満勢力を結集して信長に反旗を翻そうとしたが実行まで行かずに潰された。
影で動く情報戦組織の力である。
結局、家康は蟄居閉門を申し付けられ無期限の幽閉状態。
薩摩も独自に反政府勢力を立ち上げようとしたが、これは民間からの内部告発により瓦解。
首謀者は身分剥奪の上、佐渡へ流される。
10年で赦免されたが、その時にはもう武士の世は無くなっていたという……
官僚組織が一変され全て民間からの登用という、この時代では前代未聞の組織改編が実行された後は内務と外務である。
内務では米作に機械が導入され一気に米の作付けが倍となる。
蒸気機関が外国から概念として入ってきたが技術者と発明家集団により3年後には試作機、5年で集団手工業生産体制が整うまでになった。
そして内燃機関が発明されたのは外国と大日本国、ほとんど同時である。
大日本の場合、天界という未来人がいたゆえに内燃機関の発達も素早く、ディーゼルやターボ技術、リーンバーン技術も次々と現実化していく。
そして近代的な大量生産体制も確立した大日本は、ここで世界が驚く手を打つ。
飛行機すら、まだ現実的ではないと言われている時代に、大日本は宇宙へ乗り出すのである。
具体的に言うと、人工衛星の実現化。
未来の技術は、こうなるよという天界の残した文言集を編纂したものがあるが故に、大日本は宇宙空間へ乗り出していく。
まずは、コンピュータの実現。
集積回路などという概念すらない時代に、天界は大規模集積回路という、顕微鏡でも見えない細くて小さい回路の集まりという概念を書き記していた。
それにより、その実現化を目指して大日本中の技術者と発明家が集まり、知恵を出しあう。
日本人という、
「天才は出現しにくいが、秀才は温泉の泡ほど出現する」
という国家にとり、この未来人からの予言集は国家発展に見事にマッチした。
まず簡単な四則演算のできる計算機(畳一畳分)が開発され、それを小さく高性能化していく。
ものの10年経たぬうちに初期コンピュータが完成する(その過程でマイクロサイズのトランジスタの技術も発展した)
ビジネス用トラベルバッグサイズで弾道計算が可能なコンピュータが生まれるのは、それから数年後だった。
この頃には、もうロケット技術も安定してきており、大気圏突破と再突入は充分に信頼できるものになっていた。
大日本の場合、他の各国とは少し変わっていて、自動化技術とロボット技術が特に注目、開発されていた。
ロケットにも初期の段階から人間は乗せず、自動機械あるいはロボットが搭乗し、的確な任務をこなせるように着々と性能を上げていく。
衛星を地球の回りにバラ撒くと、日本は衛星の性能を公開した。
一個の衛星だけではダメだが、2個3個と使うと、GPS(地上位置測定システム)が出来上がるということも公表し、加えて、衛星の超高度からの写真撮影機能も公開する。
一部の国家からはひと悶着あったが、性能を全て公開すると言っているため、ここだけ隠したらおかしいでしょ?
という事で大日本は開き直る(笑)
次はロボット技術を山ほど使った、スペースコロニー兼ねた宇宙ステーション建設にとりかかる大日本。
他の国が月到着を真っ先にやろうと焦っている中、着々と発電所を兼ねたスペースコロニー部分が出来上がる。
そして、それに付属するステーションモジュールの取り付け。
長さが数kmもあるスペースコロニー兼ステーションを見て、各国は首を傾げる。
「どうやって維持し、機能させるのか?金の無駄遣いだろう」
という影の噂も大日本は無視する。




