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銀河のプロムナード 銀河間空間のひとコマ

休憩として、こんなもの書いてみました。


次回から、新しい章が始まります。


今、フロンティアは何もない銀河間空間を翔んでいる。

このところ、何も起きないので退屈しているのだ、俺は。


「あー、何か大きなトラブルや事件が起きないもんだろうかねぇ……」


「マスター、不謹慎ですよ、いくらなんでも。トラブルや事件が起きれば良いなんて願うもんじゃありませんって」


フロンティアが注意してくるが、そんなもの無視。


「退屈なんだよー、フロンティア。俺はね、トラブルシューティングの仕事がしたいの。何もしないってのは、短い休憩くらいは良いけれど長期間は耐えられないんだよー」


「なんという贅沢を抜かすんですか、我が主。地球にいた頃は、あれだけ休みが欲しい休みが欲しいと口癖のように言っていたではありませんか」


プロフェッサーも口出ししてくるが、


「あれは普通が殺人的に忙しかったからじゃないかー。やっぱり俺は、血筋から典型的な日本人なんだよなぁー。適正に仕事がしたいの!」


「そう言えば、我が主。あなた、普通の人間とは、ちょっと仕事の意味が違ってましたよね?確か自分の生きる証でしたっけ?」


プロフェッサーが、えらく昔のことを持ち出してきた。


「そう言われれば、そうかもね。地球と言うか太陽系で働いてた頃は仕事の報酬も大事だったけど、でも、金には執着は無かったような気がするぞ」


そう答えるとフロンティアが興味を抱いたようで、


「おや?私が知る限り地球人、それどころか太陽系で働いている人たちの中で金銭を第一の目的として仕事をしていない人間は、ほとんどいなかったように記憶してますが?」


「あのな、聖人君主じゃないんだから、俺だって金銭欲や名誉欲はあるんだよ。でもね、俺は、どっちかつーと裏方タイプなの。俺がお膳立てしてる奴が上に立って成功するのを見るのが嬉しいんだよ」


「「今まで、あれだけのことやっておいて、どの口が、そんな事、ほざきますかね?」」


チクショー、ステレオで反撃してきやがるな。


「でも、最終的なことまでは関与してないぜ。その直前までは行くけどな」


「はあ、まあ、何でもいいです。要は仕事をしたっていう実感が欲しいわけでしょ?マスターは」


「そう、実感が欲しいんだ。少し前の星間帝国にしても根本から矯正する原因は作ったけれど、それから先は関与してないから分からないし、その前の世代宇宙船にしてもそうだ。確かに手応えはあったし、武力に頼る方向から災害救助への軍の方針転換は確実に出来たとは思うが、結果はわからない」


「まあ、そうですね、マスター。でも、結果が分かるまでいたら機械生命体か、あるいはマゼラン雲の水素呼吸生命体みたいに神様扱いされることになりますが?」


「それも嫌なんだよ。生き神様扱いは、もうコリゴリだ。自分の生きる心の糧にされる方の身になってみろ!ある程度は頼られるのもいいが、人生すべての面で頼られるのは勘弁してくれ、だ。あれは精神がやられるよ」


「我が主はワガママですな。結局は、どうしたいんですか?」


「だーかーらー、言ってるじゃないか。俺は一心不乱に働く仕事中毒ワーカーホリックじゃないんだから、ある程度のトラブルに出会いたいだけなんだって!」


「マスター、無い物ねだりはいけませんね」


「我が主、それこそワガママってものですよ」


「はぁー、ワガママなのは理解してるさ。でもなー、面白そうなトラブルや事件って、なかなか起きないんだよなー」


「そんな無茶な事を言われてもですね……そう言えば、こんな話してたら、すぐに口を出してくる例の二人はどうしたんですか?マスター」


「あ、エッタとライム?あの二人なら、例によって俺の持ってきたビブリオファイルに夢中だよ。今回は、むかーしの特撮ドラマだとさ。特にライムが食いついて、「変身」が実際に出来ないか?だってさ」


「まあ、不定形生命体ですからね、例の漫画でも主役を食うほどの活躍してた黒豹ですしね」


「変身!って掛け声かけて、どんな形態になれるか試してみるんだってさ。好きにやらせておけば、こっちには被害が来ないでしょ?」


この平和が、ほどなく崩れ去ることになろうとは、神なる身ではないので分からない、フロンティアクルーたちであった……


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