名も無き星からの船 その十二
ようやく!ようやく、このシーンにたどり着きました。
最初のシーンから数日後のはずなのに、ものすごい時間が経ったような気がするのは作者だけでしょうか。
驚きは僕らだけじゃなく作業艇区画にいた先頭グループ全員も、そうだったようで。
船長以下、驚愕の顔色が隠せないままフロンティアの船長と会うことになった。
「よ、ようこそ、宇宙船フロンティアの船長。私は、この第一号宇宙船の船長、カリクと言う。後ろにいるのは、この船の運行管理を行う者達だ」
船長が驚きから回復中に話すものだから、まごついてしまってる。
でも僕でもあの場にいたら、そうなっちゃうだろうな。
特に目の数だけ違う、あとはそっくりな異星人なんて誰が想像しただろうか?
「歓迎かたじけない、一号宇宙船の船長さん。俺、いや私は宇宙船フロンティアの船長、というかアドバイザーと言うか何と言うか。自立思考ができる宇宙船なんで、とっさの判断が必要なときに私がいるようなものなんですがね。一応、船長の=〜|”!{`と言います」
名前は翻訳されなかったようだけど、まあ、これは仕方ないよね。
言語の基盤そのものが違うんだから。
世代宇宙船船長は、さっそく異星人の申し出を検討したいようで、
「さっそくだが、そちらの申し出を詳細に検討したい。会談とはいかないが、小さいけれど会議室を用意したので、こちらへ」
船長達と異星人5名は作業艇区画の近くにある船外作業計画の会議室へ向かったんだ。
まあ、あそこくらいが会議場として的確かな。
カメラが、また切り替わる。今度は船外作業の会議室のようだ。
コツコツ、と足音が聞こえたと思ったらドアが開いて船長たちが入ってきた。
結構大きな会議室なので両側に船長達と異星人たちがすわり、壁にあるスクリーンに今の世代宇宙船の状態と苦境をリストにして表示していく。
「この状況を見ると近い将来、少なくとも数年以内には遮蔽板の一部に亀裂が入り一部の放射線が船体に悪影響を及ぼすのは目に見えてますね」
一瞥しただけで異星人の船長は世代宇宙船の一番の問題点を挙げる。
ほかにも色々あるけれど、これが一番の問題点だろう。
「分かりますか、やはり。そうなんです、原子分裂や融合を利用した爆発物なので衝撃やショックウェーブがすごく、それで、どんな金属遮蔽でも経年劣化が早まるのです。解決できますか?」
船長は、どうにも仕方がないとあきらめているようだが、
「簡単ですね。駆動方式を変えればいいだけの話です」
と、異星人の船長は、こともなげに言う。
そんなことが可能なのかな?
これだけ大きな宇宙船の改修、いや全面的な作り替えになるだろうに。
「それよりも一号宇宙船船長。あなた、私に隠してることが有りますよね?」
こともなげに言った一言なので船長も追求の言葉だとは、最初、分からなかったようだね。
僕らはカメラの目を通して見てるから理解できたけど。
船長は、
「な、何のことでしょうか?少なくとも私達の科学技術は宇宙船フロンティアの足元にも及びません。隠し事をする理由など何処に有りますか?」
まあ、船長のところへは僕達が隔離されていることくらいまでの情報しか届いてないだろうからね。
仕方ないといえば、そうなんだろうね。
「まあ、船長が全てのことを知っているとは限らないでしょうからね。でも、このままでは私は貴方がたの星も救う気はないし、この宇宙船も救助・救援する気はないです。最初は、そのつもりでしたが」
その言葉を聞いて船長たち先頭グループは震え上がると同時に絶望的な顔色になる。
「もし、あなたたち異星人の援助を受けなければ、この船だけじゃなく、この船に乗っている全ての人命が失われることになる。もし我々が間違ったことをしているのなら指摘して欲しい。必ず改善する!」
船長は言い切った。
まあ、ここまで言わないとフロンティアが行っちゃうからね。
「そうですか……では、まず貴方達が異能力者と呼ぶ人たちが、この先頭グループにも、この会議室付近にもいないのは、どうしてでしょうか?彼らは貴方がたの仲間ではないのですか?精神的に突出した才能を持つからと行って、それを封じ込めるのは間違いですよね」
先頭グループでも過激な思想に染まったような人が、どうしようもなくなり叫びだす。
「そんな突然変異の人間は俺達、普通人とは相容れない者達だ!それを隔離して何処が悪い?!異星人には、この感情は分からんさ!」
それを聞いたフロンティア船長、静かに、
「そうですか。野蛮な精神に先端知識である科学技術は不要ですね。では、これにて我々は、この船を去ります。あ、隔離している方たちは、これから私達で、こちらの宇宙船に乗せ換えますから、安心して数年後の死に怯えて下さいね」
あまりに静かな宣言だったため僕達でも最初、何を言われたのか理解できなかった……
でも、じわじわと喜びがこみ上げてきた!
やっぱりフロンティアの船長は僕の思った通りの人だった!
先頭グループは過激発言した人物を取り押さえて拘束し、会議室より連れ出して行った。
彼は、どこまでも過激に、異星人など殲滅しろ!とかなんとか喚いていた。
船長は、あまりの事態に、
「彼の発言は個人的なものであり、この船の総意では決して無い!どうか早急な決断は避けて、援助を考えて欲しい」
というのが精一杯だったようだ。
後は両者とも黙ってしまった。
言葉は発してないがテレパシーは別だ。
僕は懐かしさすらおぼえる、フロンティア船長からのテレパシーを数日ぶりに受け取った!
《数日ぶりだね、異星人の坊や。おや?名前がついたのか、サミーだね。この船にいるほとんどの人は救うに値しないと俺は思う。君は、どうしたい?君たち異能力者は救えるぞ。故郷の星にも帰してあげることは可能だよ》
強力だけど僕個人にだけ絞って届いてるから、近くに居る保安班の検知器に反応はない。
すごい力と制御技術だ。
僕なんか、やっぱり足元にも及ばないや。
〈嬉しいけれど、やっぱり僕は、この船のみんな、普通人も異能力者も全員が故郷の星に帰れる方が良いと思います。確かに過激な人はいるけれど、それでも僕は、この船と人々が大好きですから!そして故郷の星系の太陽の異常も救えますか?〉
できるだけ絞っているつもりだけど、やはり検知器の針が振れているようだ。
なんとか至近距離範囲で収まってるようだけど。
《分かった、この船も、この船に居るみんなも、君たちの故郷の星も太陽も、みーんなまとめてめんどうみてやろうじゃないか!サミー、心配するな。全て救ってみせるさ、このトラブル解消専門宇宙船とまで言われたフロンティアと、そのクルーがな!》
そこまで救っちゃったら、それは神様と言うんじゃないでしょうか?
などという僕の疑問はスルーされて無言ながらもフロンティア船長は笑顔になった。
でもって一言だけ、
「よし、分かった!このトラブルシューティング、この俺とフロンティアが全て解消してやるぞ!」
船長は、あまりのことに開いた口が塞がらないようだ。
今までは、さらっと流すように書いてたシーンが、こんな書き方すると文字数いくらあっても足りなくなるんですね。
新鮮な驚きと、ものすごい疲労感が……




