小さい相撲取り。すもールってか
思い立ったが吉日。
竜也は早々にこの国を出る事に決めた。
とりあえずは服である。
今の竜也は女物の修道服を着ているのだが、みんな服装には無頓着なのか訝しげな視線もちらほらとしかいない。
竜也もファッションというものに感心がないため、服屋に入り服を買う。
金貨しか持っていないが、雑貨屋で買い物をした時に発現したスキル。
「釣りはとっといて」
これで全てが解決した。
釣りがいくらになるかわかっていない竜也を店員は尊敬の眼差しで見送る。
服良し、金良し、他には何も無い状態で、竜也はアヘッド帝国への一歩を踏み出した。
アスターンからアヘッドは四大国で対角の位置にある。
通常ならば隣国のポートを回って行くのだが、竜也には関係が無い。
関門を押し通り、魔女の丘を突っ切る。
無問題である。
入国もなんのその、50メートルも飛べば門兵に気付かれる心配も無い。
通常一ヶ月程の道も竜也からすれば日帰り感覚。
ビジネスホテルへ入るノリで、竜也は適当な宿に宿泊した。
ほぼ丸一日寝こけ続けた竜也は、昼過ぎの新天地に思い腰を上げた。
宿を出て、ひとまず一服のため、竜也は大通りを散策するる。
ちなみに、四大国の首都は有事の際のため魔女の丘に面している。
つまり竜也はその国で最も栄えている町をぶらついているのだ。
欲しいものが見つかる天下の通りである。
モチのロンで金粉草は見つかった。ツモ。
お値段金貨7枚、流石の輸出国様、と竜也は感心した。
キセルでしこたまニコチンを補給しながら、通りを歩いていると、竜也はチョーカーを付けた人が多い事に気が付いた。
ファッションの流行りなのだろうか?と首輪族を観察する竜也に声がかけられた。
「兄さん兄さん、あんた旅の者かい」
気さくな声のする方を向き、そうだ、と竜也は応える。
「奴隷を珍しそうに見てたからね。スグわかったよ。」
そう自慢気に話す小デブの男を竜也は苦い顔で見つめた。
「あんた奴隷が欲しくないかい?ここは奴隷が街を闊歩する奴隷大国だからね。奴隷商もピンキリさ、安くしとくよ。」
その言葉を信じ、竜也は小デブに付いて奴隷を見にいくことにした。
なに?なんか文句ある?