こっからここまで全部
使えぬ金を増やし、再び大通りに舞い戻った竜也。
まず先立つは食欲である。
そこで竜也は考えた。
大通りにある適当な飲食店を探し入店。
そして金貨を一枚取り出してこう言った。
「これで食えるもんありったけ。」
店員のお姉さんは目を白黒させ、竜也をチラ見した客は口から料理を零した。
そこから先はお祭り騒ぎである。
料理人がありったけの腕を振るい、店員が店中を駆け回り、竜也は出された料理を食い切れないから、と他の客に回す。
満腹になった竜也以外の客は、店の外にいる連中と交代し、騒ぎは加速していった。
店の食材が尽きるほどに出てきた所で、店員が竜也に金貨一枚分です、と報告してきた。
それを聞いた竜也は、ごちそうさん、とだけ言い残し早々に店を出た。
食欲が満たされれば次に来る欲求。
そう、喫煙欲である。
竜也の手持ちは金貨79枚、クソ女二号の話では金粉草は金貨十枚。
余裕で手が届く金額である。
さすが大通りと言うべきか、金粉草はすぐに見つかった。
しかし、金貨二十枚というぼったくりである。
竜也が店主を問い詰めると、輸入元であるアヘッド帝国からの入荷が少ないとのこと。
さすがの竜也もそこまで文句は言えない。
潔く金貨を支払い、紙の値段が高いので、雑貨屋で見つけたキセルっぽいものに葉を詰める。
火元は串焼きの店で代用し、食後の一服を楽しむ。
煌びやかな吐息を吐く竜也を、行き交う人々が不思議そうな目で見ているが、金粉草など庶民が知る所ではない。
堂々と歩き煙草を満喫し、一服金貨二十枚じゃキツイな、と思った竜也は金粉草輸入元であるアヘッド帝国を目指す事にした。