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ダンジョン が あらわれた  作者: 黒白のアレ。
PHASE1 楽しくない世界
8/17

ep6:見つかっちゃった☆


 焼け焦げた廃墟の中。


「うーん、うーん? あっ」


──バリンッ


 耳元で、ガラスの砕ける音。


「あぁ、割れちゃった♪」


 目の前に浮かぶステータス画面に、

 蜘蛛の巣みたいな亀裂が走っている。


「保護フィルム、貼っとくべきだったかなぁ」


 あるかは知らないけど。


 指で、亀裂を沿うように触れる。


 何だか身体が熱いような、そんな違和感がするが、気にしない。


 亀裂が、じわりと広がる。


 ──ミシ。


 今度は、部屋の窓の方から音がした。


「へ?」


──ドゴォォォォン!!


 壁は、腫れ上がるように音を立て、

 破裂した。


 あ、れぇ?

 壁って、あんなに膨らむんだね。


 今日、何回も転ぶなぁ、なんて思いながら、倒れ伏せた身体の顔だけを前へ向ける。


「あ、や、やぁ。さっきぶりだ──ゴベェッ!!」


 再び、吹っ飛ばされる。


 熱烈な挨拶だね。思わず身体が壊れてしまいそうだ。


 血みどろの身体で、仰け反るように起き上がる。


「ふっ、ふふ、フハッ、アハハハ!」


 そう、だよねぇ!

 

 ダンジョンの魔物が、ダンジョンから出られないなんて、そんなつまらないことがある訳ないもんねぇ!


 瓦礫の向こう。


 眼前に佇むのは、毛深き巨体。


 顔はフードのような布切れで隠され、

 その手には──赤鉄の大剣。


 あァ。


 いいね! 理不尽。


 耳をすませば、破壊の音。

 泣き叫び、逃げ惑い、悲鳴だらけの音達。


「こんにちはァ? 僕は愚道戯楽。君のお名前を教えてはくれないかイ?」


 月とすっぽん。天と地ほどの差。


 けれども、絶望なんて一欠片もなく。


 ただ、楽しくて仕方がない。フハハッ。


 さァて。


 君は僕にナニを魅せてくれるのかい?



◇◆◇



 身体は既に傷だらけ。

 体表は血で潤っている。


 魔物は、鼻を鳴らしていた。


 ……あぁ。


 匂い、か。


 目の前の魔物……らしきものは、完全に僕をロックオンしている。


──ポタリ。


 顎を伝って、血の粒が、落ちた。


 瞬間。


──ギィィィィン!!


 一振。

 鉄が空気の抵抗を受け、発される独特な音。


 およそ人が持てるとは思えない程の大剣の、振り下ろし。

 ソレは、地面を割った。


 フハッ。

 やっぱ君、こんな序盤に出てきちゃダメでしょ。


 そう思いながら、構える。


 緊張からか、恐怖からか……それとも、愉悦からなのか。

 感覚は研ぎ澄まされ、周囲の雑音は掠れゆく。


 さぁ、いざ尋常に!






 ……なーんて、出来るわけないだろう。


 血塗れのブレザーを、自身を覆い隠すように空へ投げ出し、即座に全力で逃走。


──グオォォォォ!!!


 おわッ、ヤッバい。


「グブヘッ」


 雄叫びだけで衝撃波って、ゲームの中だけにしとけよぉ。


 ハーァ。これで2回目だ。

 逃げるのも、こうやって顔面から転ぶのも。


 背後から、地面を切り裂く金属音。


 これもまた2回目。


 ただ違うところがあるとするのなら、僕の身体が傷だらけなことで。

 そんな身体で、あの大剣が避けきれる訳なくて。


「フハッ、ハハハッ! めっちゃ痛い!」


 身体には、傷跡が増えた。


 ハハッ、死にそう。


 喉が焼ける。

 身体が熱い。

 足が、痛い。


 瓦礫が、潰れる音。


 ゆっくりと、けれど確実に、近付いてくる。


 逃げてみろ、とでも言うように。


 …………。


 はぁ。


 逃げよ。


──ギィィィィン!!

 背後で、赤鉄が唸る。



──────────────────

ep6:見つかっちゃった☆


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