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ダンジョン が あらわれた  作者: 黒白のアレ。
PHASE1 楽しくない世界
4/13

ep3:楽しそうだから♪


 さて、どうしたものかな。


 通常では有り得ない程の天災。

 地震や落雷、竜巻──それ自体はまだ、科学や物理法則とかの延長線上で、説明が出来たのだろう。


 けれど、あの『塔』は、多分無理だ。


 一体、中身はどうなっている?

 空間は? 構造は? 中身は? そもそもなぜ現れ……


 そんなことを考えていると、子供の泣き声が、錯乱した大人の声が、焦り混乱する人達の声が、遅れて耳に届く。


 周りを見れば、焼け焦げた住宅や、未だ雷に打たれ続ける鉄塔。

 あちこちに、災害の痕跡が転がっている。


 ……あぁ、そういえば。


 今、結構ヤバい状況だったね。忘れていたよ。


 街中の皆が、同じ方向へ逃げている。

 必死な顔をして、その中に、楽しげな顔をした人は誰もいない。


「何やってるんだ! 君も早く逃げないと」


 どこの誰かも分からないお兄さんは、僕の腕を掴もうと、必死の形相で腕をのばしている。


「あぁ、いや、大丈夫だよ」


 手を振りほどきながら、不安でいっぱいの顔をしたお兄さんに言う。


「僕は、あっちに行くんだ」


 『塔』の方を指さして。

 この期に及んで、他人を助けようとするお人好しのお兄さんは、唖然としたような、言葉に詰まっているような。

 何か理解できない異物を見るように、僕を見る。


「あっ、あえ、なん、で?」

 

 そんなお兄さんの目に視線を合わせて……


「楽しそうだから♪」


 そう言って、薄暗く、未だ災禍の降り注ぐ街の中、僕は、歩を進めた。


 誰も触れようとしない、

 誰も説明出来ない、

 あの『塔』へ。


 あの中には何があるのか、この世界では何が起きているのかは、知らない。


──でも。


「ふふっ、ふははっ」


 少なくとも、昨日よりは、ずっと面白そうだから。



───────────────────

ep3:楽しそうだから♪


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