ep1:楽しくない。
朝が来て、目を開ける。
特別な理由なんてない。ただ、起きる時間だから起きる。
歯を磨いて、顔を洗って、制服に袖を通す。
鏡の中の自分は、昨日と何一つ変わらない顔をしていた。
学校へ行き、授業を受け、昼を食べ、帰路につく。
日々は、その繰り返しで過ぎていく。
それを「日常」と呼ぶのだと、誰かが決めたらしい。
色褪せた、灰色の世界。
別に不満があるわけじゃない。
不幸だとは思わないし、恵まれていないわけでもない。
ただ、馴染めない。
輪の中に入ろうと思えば入れた。
笑おうと思えば、ちゃんと笑えている。
それでも、どこか一歩引いた場所に立っている感覚が、消えない。
自分の姿を見る度に、大切な何かを置き去りにしているような感覚が、いつも消えずに残っていた。
世界が間違っているとは思わない。
でも、正しいとも思えない。
誰かが敷いたレールの上を歩いているようで、
それを疑問に思うことすら、場違いな気がして。
──退屈だ。
それは不満ではなく、事実だった。
この世界には、刺激が足りない。
あるいは、僕の方が世界に馴染むことを、どこかで拒んでいるのか。
答えは分からない。
けれど一つだけ、確かなことがある。
このまま何も起きずに生きていくのなら、
それはきっと、耐えられない。
この退屈な世界に、物足りなさを抱いている。
魅力を喪った日常。
周りの人間は、それを当たり前のように受け入れている。
それが一番幸せで、正しいのだと、疑う事もせずに。
僕の目には、そんな風に映る。
行き場の無い、この気持ちを言葉にするのなら──
「──楽しくない」
そう思った、その時だった。
退屈が、終わったのは。
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ep1:楽しくない。




