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数千文字の物語

かみさまのひとりごと

「君のやってることには何か意味があるのかい?」

 道行く人が、誰かに言った。


 さぁ、どうなんだろう。

 今日僕が作った空も、何も意味はないかもしれない。

 誰も空なんか見ない。ごく少数の人以外は。それに見たとしても、すぐに記憶から消えてしまう。昨日の空を鮮明に覚えてるなんていう人は、この世に一体何人いるんだろう。きっと少ない。

 そう思っても……作るのは楽しいからつい毎日作ってしまう。



「昨日の空は綺麗だったね」

 って誰かに期待をされてしまうと、そうでありたいと思ってしまう。


「あの日撮った空が好き」

 昔の一部分。

 今の僕は、それと変わってしまったかな。

 それともまだ持ってるかな。

 あの時の僕と同じものを、僕は作れてるんだろうか。


 それは変化を恐れる理由になって、変わらない僕が――変われない僕が出来上がる。


 でも少しずつ変わっているかもしれない。

 全く同じものは作れないから。

 もし誰かが見てくれたら、『嬉しい』と思う。綺麗だと言ってくれたら、もっと嬉しい。


 出来上がった空を見ているのがそれを作った僕だけだったとしても

「あぁ綺麗だ……」

 って、その空をただ愛せるようになりたい。



 人は、神様は何でも出来ると思ってる。超常的な能力を持っていて、悩みなんてないんだって。おまけにとびきり優しくて、何でも願いを叶えてくれると思ってる。

 ひどい偏見だ。

 僕は神様じゃない。

 そんなに優しくないし、嫌な奴には神社に近付いてほしくない。それに僕は、自分の作った空の出来で、誰かの視線や気持ち一つで、一喜一憂するくらいのただの人間なんだよ。


 お話出来ない人間達を、ただ一人空から眺めて……寂しさが募る。彼らに僕は見えない。間には空がある。

 僕のことを全部知って、空も飛び越えて「好きだ」と言ってくれる人間はいない。

 けれど、僕には好きな人間達がいる。彼らのことを僕は知っている。隅から隅まで。けれど一方的に。

 僕が空を作っても見向きもしない人もいるし、一瞬で他へ目を向けてしまう人もいる。そんな時僕は少し寂しいけれど、見返りを求めたくないから、ただまた、空を作る。彼らの人生が少しでも明るくなるように。彼らが元気な笑顔を取り戻せるようにと小さな願いを込めて。


 もしいつか、神様とか人間とか、そういうのも超えて仲良くできる誰かが現れたんなら嬉しいな。そして僕が、いつだったか生まれた時みたいに、ただ思うがままに空を創れるようになったなら……そしたらきっと、とっても幸せなんだろう。

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