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青空に澄んだ笑顔と自覚した芽2

遅くなりました。すまん!!

 ボクは、人付き合いが苦手だ。笑顔で取り繕うことにつかれてしまった。えっ、高校生なんだから社会にでたらもっと大変だろって?ハハハ。そんなことは、分かっているんだよ。でも、辛いんだよ。本心を出せないまんま生き続けてきたことになれちゃって。

 土手に信幸と一緒に転がり落ちて、変な質問しちゃった。でも、信幸は毎回真面目に答えてくれる。ボクは、上手く感情が制御できなかった。偽りを装った笑顔もすぐに見抜かれた。小さい時からずっと一緒にいる幼馴染だからこそなのかな、ボクは弱音を吐きたくてしょうがなかった。でも、できなかった。依存してしまいそうで。


「なぁ、わかば。お前今、後ろめたさがあるのか?親御さんのあの言葉か?」

「…………」

「沈黙は肯定と見做すぞ。あれか、思うところ上手くやっていけるかってところか?」


 帰り道につこうとした最中に、信幸は突拍子も無く、ボクに質問を投げかける。どう答えていいか分からずに沈黙してしまった。情けないな。すぐ答えて嘘をつかなくちゃ……。


「嘘つこうとしてるけど、無駄だからな?わかば。」

「そういう、信幸だって無理してるよ。おせっかい焼いて、自分のことなんてどうでもいいみたいな勢いで手から掬い上げようとするじゃん。」

「そうだな、俺の性質だしなぁ。変われんだろそう簡単には。でも、自分を大切にしていない訳じゃ無いよ。無理してるって言われるのも無理は無いよ。今の状況を見て、呑み込むことすら難しいんだから。」

「………ボクで卒業したくせに。生意気。」

「ちょっ!?いきなりそれ言う??」

「アハハハハッ!!!」


 信幸が、ボクの言葉に動揺してたじろぐわ、百面相になって面白くなっている。あぁ、やっぱりボクは、この時間を大切にしたいな。でも少しだけモヤモヤした。


----------------------------

 信幸も平静と元に戻ると同時に、帰り道を並んでボクは帰り始める。昼下がり、もう少しで太陽が沈み月明かりが太陽の光で照らされる直前のことだった。自動販売機で信幸に、飲み物を買ってもらって飲みながら他愛の無い話をする。


「わかばはさ、弟のことどう思ってるんだ?」

「いきなりだねぇ。突然じゃない、信幸が愚弟を持ってくるなんて。」

「まぁ、なんとなくな。幸村のことを思い出してな。」

「久しぶりに聞いたよ。信幸の口から弟の名前。」

「いやぁ、だってアイツどこいるか分からんし、連絡はつかないし、姉さんも分かってないって聞くしなぁ。」

「そう言えば、愚弟の話だっけ。ボクも分からないな~。親とすら話して無いから。」


 ボクは、両親とここ数年話していない。弟にかかりっきりで、ボクのことを言ないものとして扱っているみたいだった。

 存在しないものとして扱われている。別にいいんだよ。ボクはボクだし。独りでもいれる。それを許さなかったのは信幸なんだけどね。


「………まだ、無視されてんのか?」

「う~ん、そうだね。まだ無視されてるかな?」


 目が泳ぐ。手が震える。考えれば考えるほど、信幸が二重、三重に見え始める。声が遠く聞こえる。ボクは、ダメな奴だ。何を考えても悪い方向に考えちゃう。幸せなんてないモノだとずっと考えちゃう。

 どうしようもない奴なんだ。他責できないから。自責ばっかりしちゃう。壊れたかった。もう、限界だった。血の繋がっている親に無視され続けることは、辛い。産んでもらったことが全くうれしくない。

 ボクは、何故存在しているのかな。否定したいな。なにもかも。


「わかば!!」

「っ!!」

「落ち着け。前みたいになってる。大丈夫だから。深呼吸しような。」


 信幸の声と同時に、震えていた手を信幸は少しだけ乱暴につかんだ。でもそれは、とても暖かかった。


「どうして……どうして、信幸はボクを助けようとするの?」

「は?急に何言ってるんだ?」

「だって、ボクはいらない子なんだよ?生まれてきて悪かった子なんだよ。それなのに、なんでいつも優しくしてくれるの?」


 純粋な疑問だけを信幸に伝える。伝え方は駄々こねっぽいけど。その時だった、ボクは信幸に抱きしめられた。その後は、頭を撫でられた。


「信幸!?」

「お前はさぁ。何もわかってないよなぁ。」

「ど、どういう事かな?」

「お前がいらない子な訳無いだろ、少なくとも俺にとっては必要な子だし、生きてていい子なんだよ。わかばがいるから、俺の人生は面白いんだぜ?そりゃあ、苦労したことは、いくつもあるよ。でもそれだけで、助けようとしてる訳じゃ無い。困ってるんだろ?なら、助けてでもいい。言葉にしろ。できないから勝手に助けてるんだよ。わかばが楽しく過ごしてほしいから。」


 長い言葉に、何を言えばいいのか分からなくなった。信幸は少しだけ顔を赤く染めて、ボクの顔を見ないように視線を逸らす。でも、少しだけ嬉しかった。

 それに、もやもやとぬぐっていた感情もどこか、違うものに、変わっていくことを知った。


 これが、恋なのかな?なんてね。


 無自覚な芽生えが青空に成長を始める。まだ、新芽で若いこの心は、まだ鼓動を逸り続けるのだった。

次回もなるべく早く行きます。

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