第4話 ツンドラが2人きりになるとドロドロにデレるんですよ、加減を知らないから色々と大変だったりするんだけどね。
お休みしてました。更新再開です。
授業をサボって、学校の外へ飛び出し、涼音と2人で街を回る。悪いことをしている感覚はあるが、それよりも先にぞっとした感覚がずっと腕に襲われている。
いやね、涼音に腕組されてるの。いろんなところ当たってるんだよ。でも違うんだよ。何と言いますか、涼音の目にハイライト入ってないんだよ。
「信幸。カフェ行こ。」
「おおう。分かった、行くか。」
「……私が払う。ね?」
「おぉ~、ありがとな~。」
微笑む涼音に可愛いなぁ~とか呑気なことを考えていたが、笑みですら恐怖がよぎる。目が笑ってないんだよ。怖いよ。いつものそっけなくて冷酷(←ヒロインに対する評価じゃねえ。)の涼音はどこ行っちゃったんだよ。
「信幸。早く行こ。」
「おう。」
「………早く、あの酒カスの匂いを上書きしなくちゃね。」
聞こえてるよ。怖いよ、涼音。まぁ、逃げ道ないし従うしかないんだけどね。
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「「おぉ~。これはこれは。」」
涼音と口を揃えて感嘆の言葉が飛び出す。ブラックコーヒーにチーズケーキの俺と、カフェラテにミニパンケーキの涼音。商品が届いたと同時に、おいしそうな見た目に目を奪われた。
まぁ、それはいいとしてね。
「涼音さんや。」
「ん?どうかした。」
「まぁ、聞きたいことがあるんだけどさ、何で、俺の膝の上に座ってるんだ?」
「匂いを上書きするため。」
「………分かったよ。何も聞かなかったことにする。ただな、俺食べずらいんだけど?」
「そこは、大丈夫。はい、あーん。」
ノータイムで口にチーズケーキを俺の口に突っ込んだ。ちなみに、むせました。フォークを喉の奥まで持ってかれました。死ぬかと思った。
「おいしいな、これ。」
「そっか。ん。信幸。食べさせて。」
「……分かったよ。ちょっと隣に来てくれ。」
「分かった。」
「じゃあ、はい。あーん。」
「あーん。」
涼音にミニパンケーキを食べさせる。顔が徐々に緩くなっていき、いつものよりもゆるゆるな涼音がそこにいた。
まぁ、そこからずっと食べさせ合いが食べ終わるまで続いたんだけどね~。周囲に座ってるお年寄りの夫婦とか大学生カップルが、すっごい微笑んでいて、ちょっと気まずかったよ。そこの店員さんに関しては、何か関わっちゃいけない雰囲気してたわ。マジで。
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そこから、涼音とゲームセンターに行って、ゲームを楽しみ、終わったら公園へと来ていた。
時間は気が付けば夕方になっていた。2人きりで舞い上がっていたのか。楽しかったな。珍しく胃痛が来ていない。何か嬉しいよ、俺。
「信幸。」
「どうした?涼音。」
公園中央の大きな木の下で、涼音は後ろに腕を組みながら立っていた。
「信幸はさ、いいの?」
「いいのって、何が?」
「許嫁の話。」
「あぁ、あの話か。」
突然許嫁の話をされて、驚きがやって来るがあまり俺自身は思っている以上に落ち着いていた。解説口調になってるからなのかな?多分。
「私は、信幸が苦しいのなら、許嫁はいらないんじゃないかと……思っている。」
「っ!!」
「信幸は……一人好き。私も、わかばたちも分かってる。それに、超が付くほどのお人よし。」
「………」
「だからこそ、私たちは、解消してもいいと思っている。」
涼音が淡々と語りながらも声が震えていた。まだ、物語上出てないけど(次回出るよ!!)。でもね、涼音。俺はお人よしなんだよ。超が付くほどの。
自分で言ってて恥ずかしいけどね。それに、泣きそうな女の子見て、じゃあ許嫁やめようなんて言うはずないだろ?
「涼音、落ち着いて。」
「ん。」
「……切り替え、早いな。」
「元々。」
「そうだな。涼音、一つ言っておくぞ。俺は許嫁の関係は解消しないぞ。」
「!!ほ、ホントに?」
「ホントだよ。確かに、父さんと母さん、わかばたちに言われたときは困惑したし、倫理観と常識が終わってるとも思った。」
「……」
「でもな、別に俺は嫌じゃないんだよ。わかばがいて、涼音がいて、茜音がいて、盃先生がいて後6人いる。」
「知ってる。だから、私は今日嫉妬した。一番になれないから。」
「元々分かってるよ。小さい時から2人きりになると、涼音は俺にべったりだから。」
「っ!?そ、そうなのっ!?」
いや、そんなびっくりされても、むしろ、無意識だったのかよ。まぁ、それでもいいのかもな。
「別に、嫌じゃない。俺は、頼ってくれることがうれしいからな。まだ、許嫁から結婚までは、分からない。1人だけしか選ばないかもしれないし、はたまた全員と幸せになる方法を探すかもしれない。曖昧な関係だけど、涼音。」
「ひゃ、ひゃい。」
「まだ、結論付けるには時間が掛かるけど、俺は誰とかかわろうとも一番に愛するよ。それが、許嫁で入った順番じゃなく、涼音と言う、人を見て愛せるようになりたい。」
決意の言葉だけが、響く。周りには誰もいない。そうして、数秒の遅れと共に、俺の唇に彼女の唇が触れ合った。
「ふふっ、なら信幸。覚悟する。」
「はははっ、そうだな。難しいモノばっかりだけどな、道に立ちはだかるものは。」
「ん、だから。私も遠慮しない。好きだよ、信幸。」
抱きしめられた後に、再び、唇を奪われる。心臓の音は五月蠅くばれないように鳴り響く。朱色の空に光が降り注ぐとともに、涼音の頬は紅く、それでも、白い髪は靡き、可愛さより引き立てられていた。
ちょっと疲労が残っていたので休むことに専念してました。まぁ、週3~4のペースで更新していきたいですね。豊富です。
読んでくださってありがとうございます。