第9話 弟からの手紙と許嫁6人目
なんか、色々やらかしたかもしれん。
さて、同居生活から1週間。4月も末になって色々大変な生活が待っていた。特に家事の面ではできるのが、俺と涼音だけだったために、色々と大変だったので、全員に叩きこんでいた。
そんな、花嫁修業を家主(暫定)がやる一週間はなかなか地獄だったが、涼音との間で絆は深まった(尚、色んな意味で。)怖かったな。うん。
「あぁ、信幸~手紙だよぉ。」
「あぁ、すい。ありがとう、これ誰から?」
「弟君。」
「はい?幸村から。突然だな……とりあえず、ありがとうな。ちょっと部屋にこもるわ。」
「うん、行ってらぁ~。…………ふわぁ~、眠っちゃお~。」
俺は部屋に戻り、便箋の封を破き、手紙を読み始める。
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えぇ~と、要約をすると、本家の長野でひと悶着があって結局、分家のある和歌山に行くことになったのと、俺の許嫁6人目が退院して日付で今日ここに来るって。
「は?いや、まず幸村本家で名にしくじったんだよ……胃が痛い。道理でここ数日本家の連絡が俺に来てるんだよ。おかしいだろ。父さんに送ってくれよ。それに、6人目の許嫁が退院してくるって?何やらかしてんだよその子。病弱なのか?それともただの怪我なのか……どっちなのかねぇ。」
部屋で独り言を吐き出していると、遠くからピンポンとインターホンの音が鳴り響く。
「…………来たのか。多分だけど。」
気持ちを入れようとするが上手くは入らない。もう、気楽に行こう。そうしよ。扉の前まで常日頃の姿で扉を開ける。そうすると。
「久しぶりですわ、信幸様。」
「久しぶりだな。桜。…………今、23時だけど。」
「あらまぁ、もうそんな時間なのですか。きっと、今日は24時間も1日が無かったのですね。」
「いや、多分道に迷って時間を浪費しただけだと思うぞー。……って、聞いてないか。」
久しぶりに出会った遠い親戚の少女、琴葉桜は、俺の話なんか聞かず、家の中に入っていってしまった。その前に言おう、彼女はマイペースでどこか抜けている。箱入りなのか、常識がかなりぶっ飛んでいる。
一番怖いのはそれだけじゃない。方向音痴なんだよ、桜。家ですら迷う。
今俺、ちょっとだけ、後悔したかもしれない。
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さて、時間は日を跨ぎそうになって、リビングに桜が戻って来たと同時に俺は捕獲。取り敢えず、テーブルに座らせて話を聞き始めた。
「それで、桜。君はもしかして、許嫁6人目かい?」
「そうですよ、信幸様。私が6人目の許嫁です。驚きましたか?」
「いや、あんまり。幸村の手紙で知ってる人が許嫁になるみたいなこと書いてあったし。」
「まぁ、それは。幸村様にはあとで、きつく言っておかないとですね。……ふふふ♪」
「お、お手柔らかにしてやれよ~。」
「はい♪信幸様が言うなら、その通りにいたします。」
なんだ、この笑顔。めっちゃ怖い。久しぶりに会ったけど、随分と強かになったなぁ。桜は。美人にもなったなぁ。
「それにしても、道に迷わなかったか?」
「えぇ、ただ最寄りの駅間違えてしまって。」
「そうなのか。連絡してくれれば迎えに行ったのに。」
「そんな!信幸様のお手を煩わせるなんて、できませんよ!!」
「………ちなみに、降りた駅はどこだったの?」
「確か、会津若松でしたね。」
うん、そもそも乗る路線間違えてるよ。桜。俺でも迎えに行けない回答が来ちゃったよ。どうすりゃあこの回答を乗り切れるんですかね、俺は。
「それで、信幸様。」
「ん?どうしたんだ急に顔を赤くしちゃって、熱か?」
「い、いえ違います!!………夜伽。」
「ん?なんて?」
「初夜は、いつ、執り行うのですか??」
「あ~~~~~~。」
にげたいなぁ。眠ってくれないかなぁ!!頼むよ!!
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そんな信幸君がじりじりと桜に詰められている間のこと。弟の幸村君は、和歌山に着き、山を駆けのぼっている。
「兄ちゃんに届いたかかなぁ!!手紙。フフフ待っててね!!兄ちゃん!!俺も上手くいったらお嫁さんになるから!!」
信幸の平穏が明らかに崩れる発言をしているようですが、彼は超のつくくらいブラコンであり、実は、弟ではなく妹だったりする。信幸の妹幸村こと真田結乃は、高野山を上り始める。
何と言うか、ごめんな。信幸、作者やらかしたかもしれん。無情にも神様経由に宣告された信幸は、桜に頂かれてたのだった。お疲れ様。
幸村、君は何故女の子になったんだい?俺にも分からない。どしたんだよこれ。