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36 渚さんの知識

 今日のところは秋葉原に行ってみることになった。

 が、その前に軽く樹の腹を満たしてやらないと後がうるさいだろうな……。

 電車に乗ってからだと移動した先で食うことになるか……。

 そうなると場所もあれこれ考えないといけないし……ということで、新宿にいるうちに腹を満たすことになった俺たち。

 特別な店に行く必要は無い。

 取り敢えず樹の腹を満たせれば……ってことで選んだのは、普段から通うことも多い某ハンバーガーショップになった。

 今回は、持ち帰りにはせず店内で悠々と座って食べられそうだったので、店内飲食で注文を取り付けていけばやっぱり店の従業員には目を丸くされつつも樹のことを見たことがある人からすれば『いつものことだから……』と横から一声掛けられている様子も見られた。……店の人に覚えられ過ぎだろ。


「…………」


「ん?どしたよ?じっと見てきて?」


「……いや、お前の食いっぷりにびっくりしているだけだろ」


 めちゃくちゃ腹が減っていたってわけでも無かったから軽くつまめるモノでも……と注文しようとしたのだが、そこで樹は取り敢えず俺たちが頼む予定だった品をセット注文をしていき、更にはそこにプラスしていくつかのハンバーガーを注文していった。当然のことながら俺や渚さん・カスミたちが手を付けていないハンバーガーが次から次へと樹の胃袋に入っていくことになった。

 つい最近、食い過ぎには注意するように言わなかったっけか?俺。


「きょ、今日もよく食べるねぇ」


「えーっと……それだけ食べていて何とも無いの?」


 カスミは見慣れている光景の一つだろうが、渚さん的にはまだ見慣れていないようで怖いぐらいに真面目な顔をして樹の食い気の強さというものを目にしていた。

 樹はパッと見た目では細身の方なのに、一体これだけの食べ物が何処に消えていくんだろう?と不思議に思っているのかもしれない。


「全然!むしろ今日は抑えている方だっての」


「……まあ、いつもよりかは……少ないかも、な……」


 ある時は、持ち帰り用でハンバーガーだけで二十個とか注文している日とかもあったよな……。

 そう考えると、取り敢えず人数分のセット……のハンバーガーと、プラスして注文したハンバーガー。そして、俺たちが食い切れていないポテトをつまむ程度にしている樹は抑えめにしているのだと思う。


「んで、秋葉原に行くにしてもその施設は何処にあるんだ?少なくとも駅に近い場所には無いんだろ?」


 パクパクと口を動かしながら樹は、秋葉原にあるらしい研究施設の位置について渚さんにたずねていった。


「そ、そうね。少し歩いた先にあるのだけれど……でも、わざわざバスとかを使う必要は無いわね」


「……それって、結構駅から近い方なんじゃね?」


 歩いて行ける距離なら……じゅうぶん近いと思える。

 俺たちが通っている学校も、家庭環境とかによっては自転車だとかバスを使って通っているヤツらもいるらしいが、俺たちのなかでは基本的に徒歩で通える範囲の学校だから普段からバスとかのお世話にはなっていない。


「駅前には無いけれど……まあ一般的な会社員の会社がある距離ぐらいじゃないかしら」


 会社員の事情っていうのはまだ知らないからなんとも言えないんだけれど……それ、かなり近場ってことだよな?


「秋葉原もいろいろなお店があったよね」


 カスミの頭には、電化製品店・そして所謂二次元好きとかが集うオタク向けの店といったものを頭に思い浮かべているのかもしれない。

 オタク系の店か……今まであんまり興味を持ったことが無いし、わざわざ秋葉原に行ってまで用事があるってこともないから詳しくは分からないが二次元好きがそこそこに集まる店も多そうだな。となると、いろいろな人で集まる地区になるんじゃないだろうか。


「あー、あんまり個人的には行かない方だよな?」


 樹も二次元系には詳しく無いらしく、そっち系をたずねても分からないことが多そうだ。

 だが、コイツの場合、食いモノでつられて……メイドカフェとかに足を運ぶっていう可能性はありそうなんだよなあ……。そう思うと、メイドよりもメニューに目を輝かせて、めちゃくちゃぼったくられそうな予感がする。それらしい近くを通りかかるときには樹には目を光らせて置く必要があるかもしれない。


「……たまに電化製品ぐらいを見に行くぐらいだけでオタク系の店には行かないかもな」


 ちょっとした家電製品でも、たまーに前触れも無くぶっ壊れることってあったりするからそういうときには秋葉原に出向けばだいたいの電化製品であれば見つけることが出来るのが助かる。


「あら、秋葉原だけじゃなく他の区でも二次元系のお店は増えてきているって話じゃない」


 ここで、意外にも渚さんが二次元系の話に飛びついたものだからビビった。


「あれ、意外と渚さんの方が詳しかったり!?」


 樹も研究員の渚さんとしては二次元系の話題なんてかなり遠いものだとばかり考えていたらしく意外そうにしていた。


「い、行ったことは無いけれど!そういうお店があるってことぐらいは聞くわよ」


 へぇ~?

 これは、ちょっと怪しいかもしれない。

 意外と真面目そうなのに、アニメ系の雑誌とかをチェックしていたりするんだろうか?ついつい口端をニヤニヤを上げてたずねてみる。


「……例えば?」


 ついつい、ちょっかいをかけてみるつもりで、どんなことに興味を持っているのか聞いてみれば意外にも渚さんの口からはすらすらと聞いたことがない話題がどんどん出てくるものだから思わずニヤけそうになる顔を必死に堪えていた。


「アニメ作品がコラボしているカフェだとか……地下アイドルたちが活動しているライブハウスとか……って、あくまでも聞いたことがあるだけだからね!?」


 まさかの二次元系だけじゃなくて、地下アイドル系にも詳しいのかよ!と、たぶん俺だけじゃなくて樹もカスミも思っていたに違いない。

 カスミは苦笑い程度に留めているが、樹は俺と同様に笑いを堪えているようだった。


「く、詳しいんですね?渚さん」


「き、聞いたことがあるだけ!私は一度も行ったことは無いんだからね!?」


 行ったことは無い、と必死に繰り返し口にしているがそれは本当のことなんだろうか。

 もしかしたら……例えば、そう……森さんみたいな人に誘われて強引にその手の店とかライブハウスとかに行ったこととかって有りそうなんだよなあ。


「っ、はいはい……なんつーか、渚さんの知識の豊富さにはびっくりしたわ~。うんうん」


 噴き出して笑うことはなんとか堪えつつ、渚さんの情報の多さに感心している様子の樹だった。


「ちょ、真面目に聞いている!?ちょっとそういう所に連れて行かれそうになったことはあるけれど、本当に行ったことはないんだからね!?」


 この分だと、本当に行ったことは無いのかも?

 でも、行きそうになったってことは素直に言うんだな……この人、意外とからかってみると面白い人なのかもしれない。根が真面目そうだから、か?


「……はは、はいはい。分かった、分かった」


「さて、と。ごちそーさん!んじゃ、取り敢えず秋葉原に行ってみっか!」


「……一応、アイツらには気を付けながらな」


 ちょうど樹も食べ終わったようで後片付けをしていくと俺たちも席を立った。

 取り敢えずは新宿駅に。壬生さんの部下の話だと駅構内にもヴェイカントたちがちらほらといるらしいから気を付ける必要はあるけれど、怪しそうなヤツがいればなるべく距離を取って戦闘は避けて秋葉原まで一気に行ってみるのも良いかもしれない。

 秋葉原か……。渚さんの同僚みたいな人に出会えるだろうか、力になってくれそうな人と出会いがあるだろうか、そもそも秋葉原にある施設とやらは今も無事に稼働しているのかが怪しいけれど……取り敢えず行ってみるしかないか……。

 森さんみたいな人に強引に引っ張られてオタク系の店に行きそうな渚さん……じゅうぶんにイメージが思い浮かびます(苦笑)


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