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24 謎の装置は……十戒

 まあ、ここまで来たし、聞けるモンだったら今のうちに聞いておくか。

 壬生さんから渚さんの手に渡ったブレスレット型と思われるアクセ装置について、たずねてみることにした。

「……その、壬生さんから渡されたアクセ装置は?」


 そっと渚さんの手元に渡ったアクセ装置。

 見た目は、コア部分になっている大きな石の色は緑色をしている。

 緑か……今のところ誰ともその色は被ったりしていないからどんな攻撃が出来るのかちょっと気になるな。


「名前は『テンコマンドメンツ』」


 渚さんは、もちろんコイツの存在を把握していたようで悩むことなくズバリとその名を口にしていった。


「てん……なんだって?」


 別に樹はカタカナに弱いだとか、英語がめちゃくちゃ苦手ってわけでもない。

 ただ、聞き慣れないものだから戸惑っているだけだろう。


「……十戒か?」


 テンコマンドメンツを聞いたとき、コレしか思い浮かばなかった。

 モーゼの十戒のことだろう。


「緑色の石……コアが綺麗だねぇ」


 カスミは装置がどうのこうのというよりも俺たちには持っていない緑色をしているコアに目を奪われてしまっているようだ。


「モーゼが受け取ったとされる神からの10の戒律のことね」


 渚さんが堅苦しい言葉で説明してくれる。

 たぶん、これだけだと何のことを言っているのか分からないっていう人の方が多いんじゃないかと思う。


「戒律……?」


 樹はもちろん戒律と言われてもなんのこっちゃ?と言った顔をしているのでまったく理解が出来ていないんだろう。

 十戒の中では、戒律という言葉で示されているが、簡単に言えば生きていくうえで、こういうことをしなさい、とか。こういうことはしてはいけません、っていう感じ。

 今で言えば法律のようなモノだ。


「つまりは生き方に関してのルールだったり、神とはなんぞといった感じのルール、といったところかしら」


「神様……えーっと、神がわざわざそんなルールを授けた?そりゃあ、それを受け取ったモーゼってヤツが優れていたってことか?」


 モーゼの十戒と名が付くように十戒というものはモーゼっていうヤツが聞いたとされている。

 つまり、お告げのようなモノ。


「それもあるかもしれないわね。最初にそのお告げみたいなモノを聞いたのがモーゼだったっていう話だから神への信仰心が他の人よりも高かったんじゃないか、純粋に信じていたんじゃないかって考えられているわ」


「へぇ……」


「……緑色のコアってことは何か意味があったりするのか?」


 今までコアの色が違うと攻撃の具合(赤なら炎、青なら水といった感じに)が変わるんだと思っていた。

 なら、緑色だと何だろう……風、とか?


「コアの色は特に意味があるわけじゃないのよ。読み取った元となる歴史とか史実によってデータ化されてテンコマンドメンツは緑色のコアをしているように見えるのだけれど。まあ、敢えているなら発する攻撃内容……かしら」


 情報を読み取った際の数字配列やらコード配列やらがどうこうっていうワケでコアの色が赤やら青やら緑に俺たちの目には見えているらしい。が、ここでは色の違いは攻撃内容が変わるってことらしい。


「……俺のは炎系だったってことは、コイツは風とか?」


「そういう系統の攻撃が出来るとされているわね」


 想像してみたことを渚さんにたずねていくと、うんと頷かれてしまった。

 なんか、思っているまんまっつーか……本当にファンタジーモノのアイテムって感じがする。


「前に渚さんの攻撃見たことはあるんだけれど、ありゃ何だ?ファンタジー的には光属性ってヤツか?」


 俺とも樹のモノとも違う渚さんが発していた攻撃。

 近距離でも遠距離でも関係無く、攻撃していたような……だから思わずチートかよって思ってしまったわけだけれど。


「私はみんなほどファンタジーモノには詳しく無いのだけれど、敢えて言うのならば光の魔法ってところかしらね」


 ファンタジーモノに詳しく無くても光の魔法って口に出している時点で、そこそこファンタジー要素は捉えられていると思う。

 つか、やっぱり光の魔法だったのかよ。


「魔法、ですか。いやはや、ここだけを聞いていればまるでゲームのお話をしているようですねぇ」


 途端に攻撃、魔法の話になっていったから壬生さんからすればゲームの世界に飛び込んでしまった気分になったんだろう。

 面白おかしく聞き耳を立てている。


「……壬生さんは登録者になるつもりは無いのか?」


 壬生さんが仲間になってくれるのなら有難い。

 情報屋ってことでいろいろと詳しそうだし、なによりゲームもするという人らしいから、いきなりバトル場面がおとずれたとしてもそうそう慌てふためくようなことにはならないと思う。


「いえいえ。私には情報屋として働かなければなりませんからね。意外と忙しいときもあったりするので、仮に登録者になったとしても皆さんの足手まといになるかもしれません」


 そうだったか……。

 もう既に情報屋っていう仕事を持っている身で、あちこちで仲間探しやら敵やらを倒すっていうのはなかなかハードな生活になると思う。

 別に壬生さんっていう人間が足手まといにはならないだろうけれど、壬生さんが登録しないとなるとなるべく早めに登録者になってくれるような心強い仲間を見つける必要があるかもしれない。


「なら、適当な仲間を見つけてささっと登録しちまった方が早いかもなあ……」


 樹も俺と同じ考えだったようだ。

 だが、なんとなく!とかファンタジーモノ!凄いね!とかって感じで安易に登録したがるようなヤツならアウトだな。

 しっかりと裏でおこなわれていることを知って、現実として向き合うことが出来るような心の強いヤツじゃないと、たぶんこれから先も非日常の中で過ごしていくのは難しいだろう。


「……焦ってもそうそう仲間なんて見つかるか?」


「わっかんねえよ?実際、俺たちは壬生さんっていう情報屋と知り合うことが出来たんだぜ?世の中広いように見えて、意外と世間は狭いってな?」


 樹の言葉に、この場にいた誰もが苦笑い混じりだったから納得していたようだった。

 たぶん、この世界に足を突っ込まなきゃ壬生さんとも知り合うことが無かったんだよなあ……と考えると、コレで人脈みたいなものを広げてみるのも有りなのかもしれない。


「あぁ、もちろん新たな情報が入れば皆さんには教えていくつもりですし、二階のスペースはご自由に使っていただいて構いませんので」


 さすが情報屋。

 一緒に戦うことは出来無さそうだけれど、それでも情報だって無いより有る方が断然役に立つ。

 それに二階の休憩スペースを使わせてもらえるっていうのも有難い。

 ちょっとした拠点として考えても良いだろう。


「なんだか、甘えてばかりいてすみません……」


 カスミが申し訳無さそうにぺこぺこと頭を下げてはいるが、壬生さんだって元研究員だった渚さんからあれこれと詳しい話を聞いているのだから、取り敢えずイーブン……どっちかに甘え過ぎているとか、頼り過ぎているとかって感じではなさそうだ。


「いえいえ。それこそ、こういう変わったお話を聞けるのは滅多にないことなので私として良い刺激になっています。それに若者は大人を頼るものですからね」


「……ゲーム、楽しみにしとく。たぶん壬生さんとなら良い対戦が出来そうな気がするから」


 同世代のヤツらとは違うモノの考え方。

 でも、俺とちょい似た部分の知識を持っている壬生さん。

 なにげなくゲームを楽しみにしていると口に出していくと壬生さんからもにこりと微笑まれてしまった。


「おやおや。そういうことでしたら私も楽しみにさせていただきますよ、湊くん」


「それじゃあ、午後は渋谷にでも行ってみましょうか」


 ここから、渋谷……。

 普通に山手線にでも乗って移動するのが早いだろう。


「渋谷ねぇ……今、何か流行りのモノは……っと、冗談冗談!」


 樹が調子に乗ってスマホであれこれと渋谷について調べはじめようとするが、あちこちから向けられる視線に慌ててスマホをポケットにしまうことになってしまったらしい。


「樹くん?遊びに行くわけじゃないんだよ?」


 そのうちの一人にカスミも入っていたようだった。

 意外と、厳しい……のかもしれない。


「へいへーい……」


「取り敢えず、ぐるりと渋谷……駅前近くをまわってみることにするか」


 特には目ぼしいモノなんて無かったはずだけれど、改めて見回ってみることで目に飛び込んでくるモノがあるかもしれないしな。

 テンコマンドメンツは渚さんが保管してくれています。果たして、誰が登録されるのか!?(基本、一人の人間は一つの装置にしか登録出来ないので装置が壊れでもしない限りは複数持ちは出来ません)


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