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22 威力つよつよ装置

 霧生が持つという『ロンギヌス』の話になった。

 すると壬生さんもこういった手の話が好きなのか、詳しいのか……口を挟んできた。

「キリスト関係の……槍?」


 樹はきっと十字架に張り付けにされているキリストの絵をイメージしているんだろう。

 でも、そこで槍がどう繋がっていくのかは知らないらしい。


「えぇ。私が知るところでは、キリストの生死を確認する際に使われた槍……と聞いた覚えがあります」


 壬生さんは俺も聞いたことがある話をたんたんと述べていくものだから俺は当たり前のように聞き耳を立てていたのだが、渚さんはビックリした顔をしながら聞いていた。


「……どうやってそんな知識を集めたのか。凄いわね……あなたたちまとめて研究員にスカウトしたいぐらいだわ」


 びっくりした顔と、苦笑いを引きつらせたような顔をしてスカウト、だなんて冗談を飛ばしてくる。それを真に受けた樹なんかは進路先に迷わなくて良いんじゃね?なんて言っているが、そもそもこの研究員になるってことは表に生きる道になるのか裏に生きる道になるのか怪しいが、自分からわざわざ危ない橋を渡っていくことになるんじゃないだろうか。


「……ってことは壬生さんの言う通り?」


「キリストぐらいは聞いたことがあるでしょう?彼の生死を確認する際に、使われたというのがその槍だと言われているわ。でも、その名前自体もそこそこに有名なのでしょうね。樹くんが見聞きしているようにアニメとかゲームの中で取り上げられることも多いみたい」


 ロンギヌスの槍って単語自体ならば、アニメとかゲームとかでたまに出てくる。

 それこそ、有名な武器の一つだとか、めちゃくちゃ威力がある槍の一つとして登場してくる。とにかく強い武器ってパターンが多いな。


「生きているか……その判断をするために、刺したってことですか?」


 カスミは、生きているか死んでいるかも分からない状態の人の体にわざわざ槍を突き刺して判断していたなんて信じられないとばかりに顔を歪めてしまっている。

 が、大昔の人なんてそうでもしなければ生死を確認することなんて出来なかったんだろう。

 ましてや、対象がキリストっていう超が付くほどの有名人。


「そうね。残酷なことをしているかもしれないけれど、わざわざそうまでして生死の確認をしたかったんじゃないかしら」


「……本当かどうかは分かんねえけど、その槍を持っていた人が全盲に近い状態だったとかで、キリストの血を浴びたら目が見えるようになったって話は聞いたことがある」


 これは何処かの本に混じっていた話だから真実かは分からないものの、盲目の人がキリストの血を目に浴びたら目が見えるようになったっていう話があったような気がする。その時には、キリストの血ってそんなことまで出来るのか!って驚いた記憶があったな。


「そういう説もあるとされているわね」


 意外にも、まったく外れ……ってわけでもなさそうだ。


「ほぉ?湊くんの知識の豊富さには感心させられますね」


 壬生さんも知らなかったようで俺の話には感心したように目を輝かせていた。いや、たまたま知っていたってだけだと思うんだけれど。


「いやいや、壬生さんだって知ってたみたいじゃん?すげぇすげぇ!」


 樹の言うように、キリスト自体はそこそこ有名人ではあるがその際に何かを使われたとかって話は調べてみないと分からないことだしなあ。壬生さんもこういう話が好きだったりするんだろうか。


「というか、専門書とかのレベルじゃないわよね。どうやって知ったの?」


 さすがの渚さんも不思議がって俺が何処でそんな知識を蓄えたのか謎らしい。


「……ネットとか?あとは古書店とかで見たりした」


 が、俺の場合はそのほとんどがネットで知り得た情報だったりするものばかりだ。

 あとは……たまたま神保町の本屋で見かけた古い本あたりだろうか……。


「古書って言ったって……」


「たまーに、古臭い本屋とか覗いたりしてるよな?もしかして、そこでか?」


 樹の言う古臭い本屋っていうのがどのレベルのことを言っているのか曖昧だが、たまに神保町に出歩く機会もあったし、そこで本をちらちら見ていた俺のことを覚えていたようだ。


「……まあ、それもあるし」


「へぇ。でも、それだけ有名な話が残っているわけだから装置としての能力は高いシロモノよ」


「……俺たち、勝ったよな?」


 霧生とは一度だけ戦ったが、そこまで苦戦しただろうか。

 それとも渚さんの言うように、こっちを甘くみて油断していただけだったんだろうか……。

 本来の装置の威力が出されていなかったとか?あんまり味わいたくないけれど……。


「だから、あれは霧生くんも一人だったし、こちらが新米だってことで相手も油断していたんじゃない?きっと再戦したら無事でいられる保証は無いわよ」


「ふ~ん。んで、残りの2つは?」


 残り2つの逸話っていうものを聞いていないから樹も気になって次は次は?と急かしている。


「1つは、『ジャック・リッパー』……」


 ちょっと俺が聞いた感じとは違うけれど、これはアノ話だろうか……。


「……切り裂きジャックのことか?」


 有名な殺人犯の名、だった気がする。

 だけれど、そんな有名人の名だけで装置が生み出されるモノなのだろうか?


「正解。でも、これはその犯人が使っていた武器とかが有名とかって意味じゃなくて完全に犯人の名が世に広まって強い影響を与えたって感じね」


「いや、待て待て!切り裂きなんとかって言われたってこっちはそう詳しくないっての!」


 樹は、どんどん話が先に進んでいってしまうからストップストップ!をかけて、必死に記憶を思い返しているらしい。

 別に、ここ数年のうちにあった出来事ってわけじゃないから記憶を探っても難しいと思うんだが……。


「あら。切り裂きジャックって話、聞いたことない?」


「う~ん?あるような、無いような……?」


「えっと、たくさんの女性が被害に遭ったっていう話は聞いたことがあります……」


 カスミが、躊躇いがちに口を開くと渚さんもその理由が分かったようで小さくうんと頷いていた。


「まあ、聞いていてもあまり気分の良い話じゃないわね」


「……その人物の名前が装置に?」


 今までは武器だとか道具だとかが有名になって、それで強い認識を受けることによって膨大な力を得たって感じは何となく分かる。でも、今回のジャックの話は人の名前だ。元となるナイフやら武器やらが元になったって感じでは無さそうだ。


「その名の如く、切り裂く威力に秀でているわ」


「人の名前が装置の名になることもあるんだなあ」


 そうは言うものの樹が持っている装置の名だって元は海賊の名前……人間の名前だったはずだろう?


「周りに強い認識や影響をもたらせることが出来るのなら、それが武器や道具でなくて人名であっても問題は無いわね。実際にジャックの名前を出したときに知る人からすれば怖い・恐ろしいっていうイメージを付けられるでしょう?」


 つまり、有名な歴史に残るような人やモノ……全てが装置をつくるきっかけみたいなモノになるってわけか。

 未だにそういう装置をつくるまでの段階っていうのがよく分かってなかったりしているけれどいろいろな歴史を辿って調べたり、現地への調査とかで史実を読み解いたりしていくのかもしれない。


「んじゃ、もう1つは?」


「私が知る残りの1つは、『アントワネット』よ」


「アントワネット?アントワネットって……あの、アントワネット?」


 さすがの樹のアントワネットぐらいは聞いたことがあったらしい。

 まあ、一般人でも一度や二度ぐらいは聞いたことがある名前だろう。が、この人の名前が使われているってことは、きっと名前に影響力があるんじゃなくて道具の方かもしれない。


「……そいつの名前が付いてるだけで、元になっているのは処刑道具の方なんじゃね?」


 確か、ギロチンで処刑されたんだったか。

 でも、大昔の人が考えたにしては苦痛を感じることなく、スパン!と処刑出来てしまうのだからギロチンって凄い道具だと思う。


「湊くん、正解」


 この手の話には俺が詳しいと渚さんは悟ってきたらしく、ついでにどう有名か知ってる?とまで渚さんからたずねられることになってしまった。

 俺が説明するのかよ……面倒だな。

 いろいろな名前が出て来て、難しいっ!!!(汗)でも、こういう話を思いついたり、世間で有名そうなモノ……って考えると楽しいですよ!!


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