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19 バンドガール

 たまたま学校の近くで拾った……欠片?

 どうやら電話で話を聞いてみると渚さんは知っているようだ。

 でも、カスミからするとパワーストーンのように見えると言う……。

「パワーストーンか、あんま良く知らねえんだよなぁ?」


「……まあ、その類だって元を手繰っていけばアクセ装置に似通ったところがあるんじゃないのか?」


「え?……そう、なの?」


 さすがにパワーストーンのことまでは詳細を知っているわけじゃないけれど……確か似たモノに誕生石とかがあったはず。つか、パワーストーンっていうもののなかに誕生石があるって言うべきだろうか。


「……金運とか恋愛運とかに効果があるってパワーストーンには言われているだろ?それって最初からそういう効果があるって分かってたのか?……たぶん、後々になってからそういう効果があるって認識されたんじゃないのか?」


 俺がそう説明していけば樹もカスミも『おお~!』と感心するように目を輝かせてきた。

 感心しているところ悪いけれど、俺が言っていることが果たして正解なのかどうかは分からない。

 でも呪いのダイヤとか妖刀が後々の時代になってからそう呼ばれて有名になってきているってことは、パワーストーンとかも似たようなモノなんじゃないのか?……これで、パワーストーンとかは大地の力がどうのこうのとかって話になっちゃうと全くの別物になっちゃうわけだけれど……。


「ま、せっかく外に出たんだし。ちょっとゲーセンでも寄ってかね?」


「……はあ?」


「渚さんたちに怒られちゃうかもしれないよ?」


 カスミの言う通りだ。

 学校にちょっと顔を出すつもりで来たっていうのに、ここでゲーセンなんかで時間を潰すようなことにでもなれば渚さんからお叱りの言葉を下されるかもしれない。


「ちょっとだけ、ちょっとだけ!なあ、ダメか~?」


 今まで何回、樹の『ちょっとだけ』に付き合わされてきたと思っているんだ。


「……いや、ダメだろ。それにヴェイカントがいたらどうする?」


「湊はバッチリ倒してみせたんだろ?」


「……お前は?樹が一人でいるときにヴェイカントの探知に引っかかって無事に倒しきれる可能性は?」


「俺が弱いとでも言いたいのかよ」


「ま、まあまあ、二人とも……」


 ちょっとばかし一触即発しそうになったところをカスミが『まあまあ』って宥めてくれるのだって今日に限った話ってわけでもない。

 些細なことで俺と樹は言い合いになることだってあるし、爆発しかけることだって日常茶飯事だったりする。


「チッ……悪かったって……」


「……俺も、悪い」


 でも、結局は無事に収まるところに収まるわけで、実際に大喧嘩までに発展したことって無いんだよな。

 たぶん、近くにカスミがいるからっていうのも一つの理由かもしれないけれど。


「ゲーセンは冗談だけれど……ちょーっとばかし、ハンバーガーでも買って行かね?」


「……いや、樹の『ちょっと』ってアテにならないんだけれど」


「あ、はは……」


 どうせハンバーガーショップに行ったらここぞとばかりに大量に買い込むに決まっている。

 たぶん、朝食は食べたけれど樹の胃袋的には満足している量ってわけではないと思うからすぐに『腹減った~』って言いだすものとばかり思っていたのだが、まさかここに来てそれを言うのかよ。


「……はぁー……持ち帰り用にしろよ?」


「お!さっすが分かってる~!」


 つか、こっちとしてはいつ言い出すのか考えていたんだっつの。

 それが、まさか大人組みと行動を別にしているときに言い出すとは思わなかった……。


「……あれ~?湊くんたちじゃん!どうしたの?その恰好!」


 校舎からだいぶ離れたところで話し掛けてくる声は同じクラスメイトのモノだった。


「お、有島ありしまじゃんよ!つか、今から登校?はは、遅刻決定だな」


 有島音葉ありしま・おとはは俺たちと同じクラスメイト。

 そして、彼女は巷ではそこそこに名が知られて来ているバンドのボーカルを努めていたりする。

 バンドを始めたのは去年か一昨年ぐらい。結構、最近はじめたばかりだというのにも関わらず、そこそこに人気があって、近々地元でライブを予定しているはずだ。

 バンドの名を少しでも上げたいのか、バンド名……Existの名が記載されているヘアバンドをいつも頭に付けているし(しかもそれがなかなか様になっているものだから嫌味ったらしくない)、バンド名がモチーフにされているネックレスとか、ブレスレットとかも付けていたりする。まあ、昼夜問わずアルバイトをしていることもあって(演奏練習のためにスタジオを借りるのもタダじゃなく結構お金がかかるらしい)遅刻・早退常習者だったりしている。それでも俺たちと同じクラスってことは担任は慈善先生だから、かなり大目に見てもらえているようで、なんとか留年しないギリギリの日数の範囲内であちこちでバイトの日数を入れているらしい。


「私のことなんて言えないくせに~!あれ、カスミも一緒なの?」


 制服姿ではないカスミの姿も視界に入れると目をまん丸くした有島は不思議そうに首を傾げてしまった。


「……まぁ、ちょっとな」


「ふぅん?まあ、最近何かと物騒みたいだから気を付けなよ?ほら、えーっと……昨日もニュースで流れていたけれど……研究所?火事があったらしいし」


 有島も知っていたのか。

 さすがに学校と同じ区内にある研究所の火事ともなると気にならないヤツの方が少ないのかもしれない。


「なんだ、知ってたのか?音楽ばっかりに興味があるようなお前でも」


「失礼じゃない!?だってネットニュースでトップに取り上げられていたんだよ?知らない方が無理あるでしょう」


「……そうだったのか」


「湊く~ん?湊くんの方こそニュース見た方が良いよ?」


 さすがにそこまでのニュースになっているとは思っていなかったものだから驚いてしまうと有島からはねちっこい注意を食らってしまうことになってしまった。


「あー、いやいや、俺らは俺らでニュースチェックしてるんだって、な?」


 樹がなんとかフォローをしてくれるもののそれを嘘だとでも証明するかのようにカスミは苦笑いを浮かべてしまう。

 ……一応、ニュースそのものはチェックしているんだけれどな。


「う、うん……そう、だね」


「と、急がないと!それじゃあね、三人とも!みんなもちゃんと学校来なさいよ?」


「はは、わーってるって!」


 バタバタと走って校舎に向かっていく有島を見送るとついつい苦笑いしてしまう。

 青春とかって、もしかして有島みたいなヤツが一番満喫しているのかもしれない。


「……さて、今度こそ戻るか」


「いやいや!まず行くところは、ハンバーガー屋っしょ!」


 思わずちょっと引いた目で樹を見てしまうが、後になって『腹減った腹減ったー』と何度も言われ続けるよりはマシなのかも。

 仕方なくここから一番近いハンバーガーショップに立ち寄ることにした。

 一応、その間もヴェイカントたちの探知や存在に引っかからないものかと心配していたものの意外とそれらしいヤツらが出歩いている様子も見られないし、探知にも引っかからなかった。それに安心したのか、樹はいつにも増して多くの注文を取っていてハンバーガーショップの店員にじゃっかん引かれつつ『全て持ち帰りで』と俺が一言声を掛けるとかなりの量を準備するまでの間、店の端で品が用意されるのを待っていることにした。


「……ハンバーガーだけで二十個とか……お前の胃袋どうなってるんだ?」


「なんだか、日に日に注文する数が多くなってきているような気が……」


「いやいや、まだまだ!なんだったらセットで注文しても全然平気平気!でも、ドリンクとかだと持つのが大変だろ?だから単品での注文にしてるんだって」


 それにしたって頼み過ぎだろう……。

 あれこれと注文していく樹に、店員の女性は一瞬目を丸くしていたものの慌ててレジの操作を進めていき……ジャンクフードでの会計にしては、かなりの額になっていたが、樹はカードで支払いをさらりとおこなっていた。うーん……毎度のことながら思うが、その食費って一体どうなっているんだ?中原家の食費ってめちゃくちゃなことになっているんじゃ?と心配するのだった。

 音葉ちゃん、登場!さて、この子を以降どのように絡めていくか、それともクラスメイトってだけで絡ませていくだけに留めていくか……物語次第です!


 良ければ『ブックマーク』や『評価』などをしていただけると嬉しいです!もちろん全ての読者様には愛と感謝をお届けしていきますよ!

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