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18 学校

 特に学校が何かあるとか……そんなワケ無いとは思っていたけれど、本当に何も無いようで取り敢えず安心だな。

「!おい、お前たち」


「「「!?」」」


 さて、学校は無事だったことを確認出来たから(どうやら新宿にあるという研究所っていうのは学校がある場所とは反対の地区にあるらしいのだがそれでも同じ新宿区にあることには変わりないので、それがカスミにとっては不安だったらしい)踵を返して事務所に戻るか……となったとき、背後から声が掛けられたものだから俺たちは三者三様の反応を示した。


「な、なんだよ、慈善先生じゃんかー……」


 恐る恐る振り返るとそこには俺たちのクラスの担任の慈善尚哉先生がいた。

 あれ?今の時間帯って授業とか入ってなかったか?


「お前たち、揃いも揃って……今日はサボりか?」


「はは。自主休校ってヤツっす!」


 俺たちが揃って制服姿じゃなく、それでも学校に来ているものだから不思議がりそうなものだけれど、やっぱりサボりだと思われてしまったらしい。

 まあ、樹の言ったことは間違いじゃあないけれど。


「つまりはサボりなんだろう?カスミも巻き込んで、まったく……」


「……あー、ちょいワケ有りなんだ。悪い」


 さすがに本当のことをイチから説明するわけにはいかないだろう。

 そうすれば慈善先生も巻き込んでしまうことになるからだ。


「カスミも学校に来ていないってだけで何かあるとは思うさ。だが、困ったことがあれば何でも相談してくれよ?これでも一応担任だからな?」


 サボりは許さない!って堅苦しい教師じゃないってところに生徒からは人気がある慈善先生。

 まあ、そういうところは正直助かっている。

 でも、たまーに他の先生たちが話し合っているところに出くわしてしまったことがあったが慈善先生は生徒からはそこそこに慕われているものの同じ教師陣からはあまり良くは思われていないようだ。たぶん、生徒に甘すぎる!とかって考えられているのかもしれない。


「へいへーい!」


「慈善先生……あの、すみません……」


 カスミなんてそれはそれは罰が悪そうにぺこぺこと頭を下げ出したものだから、どうしたモノか……と考えてしまう。


「自主休校、なんだろう?分かった分かった。適当な理由を付けて欠席扱いにしておくよ」


「サンキュー!せんせ!」


「……なんか、悪い」


 裏の人間に拉致されそうになっています、なんて言ったら慈善先生はひっくり返って驚くんじゃないだろうか。はは、でもちょっとそういう間抜けなところも見てみたいかも。

 校舎の中に戻って行く慈善先生を見送ると俺たちは各々溜め息を吐いていた。


「まさか、担任に即見つかるとはなー……」


「でも、慈善先生で良かったよね?」


「……まあ、話が分かる先生だしな」


 たぶん他の頭が堅い教師とかだったら詳しく理由を聞かれていたのかもしれない。

 そうなると面倒だしなあ……。


「って、あれ?……コレ、なんだ?」


「……どうした?」


「綺麗だねぇ!……石?ガラス?」


 不意に校門の近くで見つけたモノは宝石に加工される前の石……のようなモノ。形も色もバラバラだし……なんだこりゃ?


「なーんか、コレ……似てると思わねえ?」


「何に?」


「アクセ装置に」


「……そうか?」


 樹が手にしているのは黄色やら緑色をしていて、ガラスの破片って言ったらそれまでで終わってしまうようなモノ。

 だが、樹は妙に気にしているようで、しかもアクセ装置に似ている……だと?

 う~ん……アクセ装置は、そもそもアクセサリーっぽい見た目に加工されてしまっているから、コレとどう似ているかなんて言われてもいまいちピンと来ない。……が、ちょっと前に渚さんが言っていたっけ。『直感のようなモノを大切にした方が良いわよ』みたいなことを言っていた気がする。


「……試しに持ち帰ってみるか」


「え、これを?」


「……渚さんに見せればコレが何なのか分かるかもしれないし」


「まあ、綺麗だしなあ」


 それに持ち運びに大変なデカブツとかだったりしたら俺も持ち帰るなんて言葉は出ないけれど、コレらは小さな……欠片だ。

 別に持ち運びに苦労はしない。ポケットに入れていたとしても邪魔にはならないだろう。


「んじゃ、湊よろしくー!」


「……って、結局俺が持ち帰るのかよ」


「こういうのは言い出しっぺが持って帰るもんって決まってんだろ?」


「……まあ、別にいいけれど……」


 小銭がじゃらじゃらとポケットに入っている感覚とでも思えば良い。

 最近は、スマホとかで支払いとかが済ませられるようになってきているからそうそう小銭の類もたくさん持ち歩くことが少なくなってきているけれど、たまには小銭……を、ちょこっとぐらいなら持ち歩いても良いかもしれない。何かあったときのために、スマホ決済が出来ないところもあるかもしれないし。


「別にたいして重くないだろ~?」


「……全然、軽い」


「昨日は、こんなものがあるなんて気づかなかったよね?」


「今だよ、今見つけた。たまたま……ってヤツか?でも、こんな目立つようなモノ……わざわざ学校の近くで捨てるようなヤツがいるかねぇ?」


「……コレ、発信機とか付いて無いよな?」


「え!?」


「まっさか~!……でも、そうか……それは心配するかも……」


 発信機だとか、盗聴器の類でも仕込まれていたら持ち帰るわけにはいかない。

 あー……早めに渚さんと連絡先でも交換しておけば良かったかもしれない。もしくは、壬生さん辺りと。

 あ。でも、壬生さんって新宿の情報屋だったよな……だったら調べれば出てくるかも……?

 スマホを取り出し、あれこれと操作をはじめた俺を不思議そうに樹とカスミは見ているが、『壬生さんの事務所の連絡先調べてる』と応えれば納得してくれた。


「……あったあった。コレ、だよな……?」


 『壬生事務所』。

 きちんと連絡先は記載されているし。つか、こんな簡単に調べれば出てくるようなモンだったのかよ、情報屋って。

 ちょっと呆れつつ、今までこんな近場にこんなモノがあったことを知らずに生きてきていた自分にも呆れながら記載されていた番号に電話を掛けてみた。

 すると、やっぱり電話に対応してくれたのは壬生さん。俺……湊だということ、ちょっと変わったシロモノを拾ったことを渚さんに伝えてみてくれないかと話すといちいち説明するのが面倒だと感じたのか電話は渚さんに変わってしまった。


『もしもし?湊くん?どうしたの?』


「あ、渚さん。……今、学校。そこでさ……ちょっと変わったガラスの欠片みたいなモノを拾ったんだけれど……こういうのって発信機とか盗聴器とかって仕込まれている可能性ってあったりするモンかな?」


『ガラスの……欠片?中身は透けて見える感じかしら?』


「……ああ。光に翳すと中身は透けて見える。特に怪しげなモノが入ってそうな感じはしないけれど……」


『だったら大丈夫よ。こちらに持ち帰って来てくれて良いわ』


「……え?あ、そう。分かった……」


 なんか、予想していたよりも呆気なく渚さんとの電話は終わってしまった。

 スマホをポケットに入れると事務所に向かって歩き出すから樹とカスミもついてくる。


「渚さんか?なんだって?」


「……特に心配は無さそうだってさ」


「何かに使えるのかな?なんだかちょっと加工したらアクセサリーとかのパーツに出来そうだねぇ」


 カスミは先ほど見つけた欠片を気に入ったらしく、仕方ないからポケットに入れていた一つを手に取るとカスミに手渡してあげた。

 するとカスミは太陽の光に当てながらキラキラと輝いている欠片に、目を輝かせていた。


「おいおい。カスミ……随分、ご執心じゃんか。そんなに気に入ったのか?」


「だって、綺麗なんだもん」


「……まあ、普通に見ていれば綺麗かもな。でも普通のガラスの破片とかだったりしたら危ないから手とか気を付けろよ?」


「大丈夫大丈夫!……ガラスって感じはしないんだよねぇ……なんていうか、パワーストーンみたいな?」


「パワーストーン?」


「……浄化作用とか、いろいろな効果があるって言われている石のことだろ」


 コレが?

 ちょっと違うようにも見えるけれど……たまにカスミも芯を付くようなことを口にすることがあるから最初っから否定するようなことは言わない方が良いかもしれない。

 さてさて、拾ったモノは何かな!?


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