「犯人の目星」その2
「っ!!」
次の刹那、ゼーナちゃんは刀を抜いて懐に飛び込んだ。
「ちょ、共闘した仲じゃん?」
「貴女から、危険なニオイがします!」
だが次の瞬間、ゼーナちゃんは首を腕に挟まれ刀にネバネバした粘液を鞘に塗り刀を蹴っ飛ばした。
「はいはい、凄い凄いねー」
たった少し動きだけでゼーナちゃんを完封した。首を二の腕に挟めて顎を突き上げさせる。
「ユカリちゃん、話があるんだけどさ・・・ってもう増援?」
私の背後にはキリちゃんエインデのお兄さんが臨戦態勢に武器を構える。
「あのさ、人の話聞かないの?お姉さんはユカリちゃんに用があるの、悪意は無いし攻撃しない」
挑発的な態度は逆に神経を逆撫でする。キリちゃんは道具を投げ付けて煙幕を張る。
「だからさ・・・殺人込みで話したいだけなのに融通利かないな・・・」
ハルカさんは此方を攻撃する気が無いのか煙玉を投げ付けて私の腕を掴む。
「君だけに話したい、無理強いしてごめん」
直後あらぬ方向から氷の刃が飛んで来た。
「ちっ!」
避けたその後ろからお兄さんの斬撃を自身の腕を切断し回避する。
「必ず無事に帰す、少しじっとして」
着地にキリちゃんが待ち構えていたが攻撃する直前に私を盾にして隙が出来た瞬間に少し押し倒して煙幕を大量に投げ付けてお兄さんの氷の槍は右太腿に深く突き刺さり追撃する。
「痛いな・・・正直負け戦は嫌いなの」
また私を盾にお兄さんに突っ込むその挙動にお兄さんは全く動じることなく通り過ぎる一秒でハルカさんの腹を背骨近くまで横に切断する。
「ぐっっっううぅぅぅぅ!!!!アフターグロウ!」
これが狙いだったのかまるで時間が遡るように私達は商業区から遠く離れた廃屋に光速で戻され連れて来られた。
「あはは・・・事前に何十個の計画立てたのに結局致命傷か・・・ラブレター作ったのがマズかったか♪」
私は急いで手当をしようとしたけど止められた。
「どうせこの身体もクローンだから気にしないで、そんなことより貴方に知らせたい話がある」
血は真っ赤に染まっているのに人間じゃない、ハルカさん見る度に人間とクローンの違いが分からなくなっていく気がする。
「ユカリちゃん、貴女は本当にここが現実だって言える?」
ハルカさんは血を流しながら奇妙な事を言う、私は頷くとハルカさんはそうだよねと笑った。
「残念、ここはアリアンロッドちゃんが創らせた六十万回目の世界よ」
何かの冗談かと一瞬だけ思ったがハルカさんの笑みはもう笑っていなかった。
何処か寂しく、私に対して特別な感情を抱いている、そう感じ取れたんだ。