「思い出も記憶も全て灰燼に帰す黒い煙」その1
「後少しだよユカリお姉ちゃん!」
一歩ずつ、一歩ずつ重くなる身体に意識半分途切れてる。
それでも何とか二人の力で乗ってきた列車まで後少し。
もう少し、後少しで帰れる。
お兄さんは恐らく帰って来ない。
ごめんねもバイバイも言えなかった。
せめて皆の分まで生きて帰らないと。
もう少しと思った矢先、背後から殺意を感じ取る。
咄嗟に振り振り向こうとするが身体が動かない、異変に気付いたリナちゃんが代わりに振り向いて絶句する。
「うそ・・・」
放たれた大きな弾薬は私とリナちゃんを吹き飛ばして暗闇の地面にぶつかり転がる。
体力も殆ど残っておらず視界がぼやけてきてる。
痛みすら遠のく感覚に命の危機を感じる。
でも私は動けない。
「ユカリ、せめてお前だけでもッッッ!!!!」
彼の身体も殆ど無いのに、死なば諸共と大きな武器の筒が回る。
「最後まで・・・自分勝手なんですね」
リナちゃんの声が聴こえる。
「私達は貴方を優しい人間だと思い忠誠を誓ってきました・・・皆で生きようって、俺達は家族だって・・・なのに!!なのに貴方は!!」
怒りに溢れた言葉は同じ怒りの言葉に相殺される。
「黙れ!!生かしてやっただろ!?永遠に生きる為にどれだけ犠牲にしたか、その結果がこれさ!」
「私達の人生を踏み台にして来る人を喰らい!何百人の少年少女を殺して!!今更被害者面するな!!」
リナちゃんはボロボロの錆びたナイフを持って走る。
団長さんは構わず大きな弾をリナちゃんに放つ。
リナちゃんの上半身は吹き飛んだ。
「っ!?」
それでも下半身しか残ってない足の指先で錆びたナイフを拾う。
団長さんは威力が強すぎて撃った反動で千切れかけていた腕が飛んだ。
怨念とも言えるリナちゃんの下半身は動かない団長さんの身体を何度も何度も刺した。
義足の足が取れてももう片方の足で劈く悲鳴が途切れるまで、刺し殺した。
私はユーゴ君におぶってもらい凄惨な現場を後にして列車の駅に向かうとそこにはグーさんがシュガレットのお菓子を食べていた。
「どうぞ此方へ、光星に帰りますよ」
交渉は守られた、私とユーゴ君は闇星から離れると最後に大きな爆発を目の当たりにして私は悟った。
皆、本当にごめんなさい。
私・・・皆の役に立てなかったよ。
何度も泣きこぼす果てにいつしか瞼が閉じて眠りについていた。




