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「天使」

☆★☆★ ユカリ


 私はいつの間にかリナちゃんの背中に担がれていた。


 傍にはユーゴ君とお兄さんが揃っており私は事情を聞くと先程まで人間とは思えないほど狂っていて意味不明な言動や奇行をして皆にボコボコにされて意識を取り戻したらしい。


 あのお姉さんの話を聞くとリナちゃんが意識が戻る頃には既に立ち去っていて行方が分からない。


 目的のフラクチャーさんは、団長さんに既に殺されていたらしい。


 もう沢山、早く帰りたいと目的も達成したことにより皆で出口を出た時、上空から天使が現れた。


 人工的な天使、こんな暗くて寒くて鬱になる場所なのにまばゆい光を纏っている。


「天使?」


 私がそう告げると皆して苦い顔をする。


「不味いな」


「あぁ・・・急いで逃げねぇと全滅か?」


「あんな天使、私・・・嫌です」


 天使の方をマジマジに見ると口が大きく裂けて目玉が飛び出て何かを観察している。羽根をよく見ると人間の手そっくりだ。


 天使の輪っかが発光し、羽根付近に光魔法が詠唱される。


「リーダー、俺は敵を葬りに行く」


「ま、待ってよ!絶対ヤバいって!!もう誰か死ぬのは嫌だよ!」


 私は必死に気持ちを訴えるもお兄さんは既に覚悟は決まっている顔をして通じていない。


「キリヤマと取引したんだ」


「へ?」


 突如現れるグーさんの名前に私は嫌な予感が察した。


「本来なら俺達全員死ぬことが目的らしい、前の晩で俺はキリヤマに交渉を持ち掛けて命と引き換えにリーダーを見逃すと」


「ちょっと待て、俺は?」


「最初から居なかったと言えばいい、お前なら出来るだろ?」


 お兄さんの言葉にバツが悪そうにユーゴ君は頷いた。


「どうしても死なないといけないの?」


 もうすぐ此処は戦場となりシスターズが起こす殲滅作戦が開始される。


 そうなれば闇星は恐らく消えてしまうだろう。


「リーダーはまだ死ぬべきじゃない、お前を待つ人間が居ることを忘れるな」


「それはお兄さんだって!」


「俺は違う、俺が消えても結果は多少変化があるだけだ・・・仲間達に親愛されてる人間と違ってな」


 私とお兄さん、どちらに価値があるなんてどうでもいい、私は皆と帰りたい。


「ユイちゃんはどうするの?」


「記憶が無い人間に価値なんか無い、リーダーもそうだろ?」


 お兄さんの反論に私は言葉を返せなかった。


「元々俺達は無理矢理入ったんだ、好きに抜けても困らないだろ?」


「でもそれは・・・!」


「それとも俺と此処に残ってお前を待つ仲間達を泣かせるのが趣味なのか?」


「っ!?」


 私が死んだら・・・?リーダーが死んだら皆は?夢を叶える手伝いは?私が特別な人になる目標や夢は?


 溢れ出てくる皆の顔や思い出、かけがえのない仲間達を見捨てて負け戦なんてやったら誰も不幸にしかならない。


「ぐっ!?」


 発狂した時に皆でボコボコしてくれたお陰で身も心もボロボロ、魔法も殆ど使えない、特別の能力も全部使えない。


 それを察したリナちゃんは私を降ろして肩を貸してくれた。


「ユカリお姉ちゃん、行こう」


「離して!私はげほ!!ごほ!!許してない!!」


 口から血を吐き動かない右膝をバタつかせてもびくとも動かない。


「旦那、世話になったぜ」


「やめて!!離してよ!!」


 駄々をこねても無駄だった、二人は私を列車まで歩かせる。


「助かる、もしまた出会う機会があれば宜しく頼む」


 お兄さんは初めて笑みを浮かべ、颯爽と敵陣の方へ走って行った。


 抵抗したけど身体が動かなくて眠たくて私は後悔を残したまま列車まで連行されてしまった。

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