「殺すか殺されるか」その3
☆★☆★ エインデ
激しい火花を散らし互いの魔法で相殺し一度も気を抜く事もなく相手の隙が生まれるまで弾き、守り、攻める。
これほど耐えるとは伊達に此処で生きていないか。
暗闇で見えなくなる染料を使った武器でさえ奴は爪に装着するネイルクローで弾き飛ばす。
魔法を撃っても跳ね返すマギアカウンターのタイミングも完璧で本来なら張る時間分の魔力を消費するが彼の場合殆ど当たる直前でしか使わず耐久戦にも優れている。
だからといって距離を取れば奴のグレネードランチャーが俺を消し飛ばす。
戦士としては圧倒的な判断力、戦略性、引き際を弁えており身寄りの無いガキを先導して最後に殺して食して少女の心臓を体内に入れる奇行さえなければ厄介だな。
だがそんな奴にも弱点がある、奴は俺を知っていると思い込んでいる。
綺麗に勝とうだなんて毛頭も無いのも知っているだろう。
だから俺はこいつに勝てる。
距離を置くとグレネードランチャーを放つ。
俺は巨悪な弾に自ら飛び込み吹き飛ぶと同時に魔法を叫ぶ。
「リバースバースト!!」
吹き飛んだ方向を逆に変え、その勢いで奴の懐に飛び込む。
「そう来ると思ったさ」
奴は絶好の機会だと腰から一発だけ入った簡易的な銃を構える。
「特性能力解放:アブソリュートゼロ」
氷を全身に纏わせて地面に拳を叩きつける。
円形状に包まれた氷のフィールドを形成して逃げ道を塞ぐ。
「この場所は武器の持ち込みも魔法も使えない、あるのは己の拳のみだ」
だが俺には通用しない、此処は俺だけが有利に殺せるフィールド。
しかし残念な事に俺は氷で纏った拳しか使わない。
強い奴には絶対拳だけで勝つ、卑怯も小細工も一切無し。
どちらが死ぬまで殴り合う、単純かつ簡単な殺し合いさ。
「ちっ・・・面倒だ」
武器が凍結し使えないと察した団長も拳を構える。
それから俺達は男臭いやり方でノーガードでただ単純に殴り合う。
奴の攻撃は悪くない、筋はあるが・・・拳に掛ける炎が足りないようだ。
「悪くなかったぞ」
奴は防ぐ為にクロスさせたのが致命的になった。
顎を一撃で撃ち抜く渾身の一撃を放ち、大きく怯んだ隙を見逃す事なく息の根を止める程の力を振り絞り全体重を乗せた右ストレートを喉元に打ち抜いた。
形成してフィールドが消えると同時に勢いよく壁に激突した。
「ゼーナ、少しだけ借りる」
トドメに近くに落ちていたゼーナの刀を拾い上げて右肩から斜め一線に抜刀して右腕以外全て切断した。
俺はリーダー達の後を追うためにその場を後にした。




