「互いの価値観」その2
「げほ・・・げほ・・・はぁ・・・はぁ・・・・」
無慈悲な暴力に耐えて身体中ボロボロ、私の身体は既に限界だった。
魔法が使えるのに下級しか使えないからグーさん相手に使っても目くらましにすら出来ない。
立ってることすら困難の私にグーさんはトドメを刺そうと私の剣を引き抜き振りかぶる。
「ブロッサム、何故血の魔法使わない?」
その問いに私は瀕死ながらも捻り出した笑顔を見せた。
「一人じゃ戦えないから・・・私の血の魔法は誰かの血を使いながら代価に私の血液を使うと分かったから・・・一人ぼっちじゃ何の役に立たないの」
「そこら辺の血液は何故使わない?盗んだデータからはお前はどの血液にも己の血液と融合するように変化されるんだろ?」
「あはは、私だってフルパワーで使える程凄くないからね・・・半端者だし、弱いし・・・自分を盾にするしか出来ない役立たずだからね」
私があんなに強い仲間達の上に立ってるなんて宝の持ち腐れ感あるけど皆を、守れたら、幸せに出来るのなら私は特別な人間になれるかな。
「お前には過ぎた力か・・・人を殺すことしかできない魔法と獣の病、二つを制御出来る唯一無二の存在が“優しさ”が殺してるんだな」
「はは、私は優しくないよ・・・私はただ・・・必死だったから、誰かが死ぬのなんて嫌だもん・・・私は人の笑顔が好き、受けた愛情も貰った恩も倍に返したいくらいの人間だから・・・こんな惨めな人間が出来たんだ」
立つのが辛い、膝がどんどん崩れ落ちる。
「ブロッサム、俺は惨めだなんて思わない・・・お前の覚悟や勇気を出した結果が今の結果だ、だがお前がやらなかったら水星や炎星、ましや光星の発展途上地区は大惨事になっていた、違うか?」
「でも、それがきっかけでユイちゃんやサナエちゃん、クラフトさんやメイドさん、子供達は・・・」
「それならお前が必死で戦わず逃げ出していたら生きていた奴等全員が死ぬかもしれない、どっちがいいかなんて迷わないだろ?」
(そんなの答えなくても決まってる)
「ここで答えを出せないのは残念だな、生まれ変わったらもっとのんびり迷いながら生きることが出来たらいいな」
動けない、死ぬ。
私の人生も終わるんだ・・・皆に謝れないや。
私はかすれていくグーさんの姿に瞳を閉じた。
「主様っ!!!」
その一言で私は目を大きく開けた。
疾風のような風が私の背中を押す。
「ぜ、ゼーナちゃん?」
背後からゼーナちゃんが目にも止まらぬ速さで突っ込む。
「特性能力開放:絶影!!」
ゼーナちゃんの影を追うのがやっとでグーさんの背後を取り抜刀する。
「残念ながら死者は一人みたいですね」
ユイちゃんでさえ見抜けない攻撃にグーさんはいとも簡単にゼーナちゃんの刀を篭手で弾き腕を捕まえて鋭く尖らせた腕でお腹を突き刺した。
「うそ・・・・」
お腹の中の臓物を引き千切るようにグーさんは勢いよく内臓を地面にぶち撒けてゼーナちゃんをたった一撃で抹殺した。
お腹の殆どを描き出されたゼーナちゃんはそれでもグーさんに取り付いた。
「ゆ、ユカリお姉さんから離れて!!」
それと同時にリナちゃんは医療箱を背負いながらツヴァイヘンダーと呼ばれてる細長い大型の剣を振りかざすが私の剣を投げ付けて大剣だけ吹き飛ばす。
「はあぁぁぁぁ!!」
剣が無くなったのにリナちゃんは一所懸命走りグーさんは銃を取り出すがゼーナちゃんが肉壁になり防いだ。
グーさんを通り過ぎて私を抱えて脱兎の如く逃げる。
「ま、待って・・・ゼーナちゃんが・・・」
「あの人は命を捨てました、お姉さんを助けるために!」
「戻って!!まだ生きてるの!!ゼーナちゃんは!!」
私は何度もゼーナちゃんを助けたいと懇願した、それにリナちゃんは激怒して大声で怒鳴った。
「うるさい!!お姉さんはゼーナお姉さんが託した命を捨てるんですか!?」
あまりにも大きな声に驚いた。
「お姉さんが身を挺して、命まで落してお姉さんを助けたんです!!!大切で大好きなお姉さんを助けるためです!!それなのにお姉さんは無下にしてゼーナお姉さんの行いを無駄にする馬鹿なんですか!!!」
「わ、私・・・そんなつもりじゃ・・・私・・・私も大切で、大好きで・・・」
胸倉を掴み何度も何度も怒られた、涙を溢しながら私を言い聞かされた。
「生きましょう、お姉さんの為に亡くなった人達の想いを背負って生きていくんです、いいですね?」
リナちゃんの言葉は私の声を塗り潰して私は悔しくて悲しくて泣きたいのに泣けなくて・・・ゼーナちゃんの命を預かった。




