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天才美少女錬金術師の末路 第二章「見たくない現実」その2

 一人取り残されたキリちゃんは母親の死を受け入れることが出来ずずっと家に籠もって錬金術の腕を上げていた、それがどれだけ現実を拒絶しても時間が経つに連れてそれを理解してしまう。


 家の外には野次馬が罵声を浴びせて死体蹴りまがいの所業を子どもながら受けても親の死を受け入れたくなくてついにキリちゃんは荷物をまとめて家から出て発展途上国である商業区に逃げた。


 誰も知らない土地で傷を癒すようにひたむきに真っ直ぐに親を越えた皆を幸せにする錬金術師になるために家を捨て、名前を捨てた。


「というのがキリちゃんのあらすじだと思います」


 重すぎる話に胃もたれしそうだけどキリちゃんはあまり納得いってないみたいだ。


「アタシはキリだよ、これは本名でもあるし戒めでもある・・・ノア先輩の話は悪くないけどそんなに綺麗な話じゃない、星界はもっと残酷だし・・・アタシの家を壊したのは当時尊敬していた人達ばっかで皆して腫れ物扱いだ・・・お母さんがあんなに幸せにしたのにとんだ掌返しだよね」


 ぎゅっと握る拳は恨みや憎しみを伝えてくる、その復讐心を抑えながらずっと過ごしてきたんだ。


「アタシ・・・お母さんのようにはなれない、近未来区の奴等にはいつか絶対後悔させてやる・・・アンタ達が馬鹿にした錬金術は恐怖さえ与えることができる!」


「キリちゃん、君の信じる錬金術はそんなことのために使うの!?」


 私はキリちゃんに落ち着いてもらおうとした、だがそれが裏目に出て胸ぐらを掴まれ見たこと無い憎悪に満ちた表情で怒声を発する。


「アタシは近未来区の奴等が嫌い!科学技術なんか無限の可能性のある錬金術師の力で吹き飛ばしてやる!!アタシの信じる錬金術は科学すら超える、その為にアンタに付いてきた!今なら沢山の兵器だって作れる!」


 キリちゃんは分かってる、それは多分お母さんの為じゃない。それでも恨みを晴らすためには非人道的な力に染める必要があるって。


 でもそれは・・・。


「キリちゃん、それってお母さんの事を死体蹴りするのと同じだよ?」


「違う!目にも見せてやればきっと変わってくれる!ずっと錬金術の腕を上げきたのは・・・」


「だから!それが死体蹴りなんだよ!!キリちゃんはお母さんから何を学んだの!?人を殺す道具作ってもしそれで私達が死んだらどうするの!!そんな事させる為に私は君の夢を応援してる訳じゃない!!」


 キリちゃんの錬金術は確かに兵器だ、水星で起きた事件は今でも覚えてる。あの爆弾は核と変わらない、世界を滅ぼす力まで有するのが錬金術師だと改めて解釈を得たんだ。


「分かってるよ・・・そんなのこと分かってるよ!!でもアタシにはそれしかない!!復讐心は誰にも止められない、あの事件でアタシは益々怖くなった、それと同時に悦びを感じたのも事実・・・でも・・・胸が痛い・・・もう少しで大切な人を失うところだと現実を直視するほどアタシの錬金術はもう何を目標にするのかさえ分からなくなった・・・」


 怒りに任せた訴えは私を直視すると一気に冷え固まる。キリちゃんはもう錬金術師の意味が分からなくなってる、話し終えたキリちゃんは今にも泣きそうになりながら私に助けを求めている。


 私は難しくて応えることが出来なかった、それはキリちゃんも分かってる・・・最後にキリちゃんは脱力感に苛まれながらごめんと言って何処かへ行ってしまった。


「錬金術師の意味ですか」


「そんなの分からないよ・・・」


「暫くはそっとしておきましょうか」


「うん」


 キリちゃんは心を閉ざしてしまった、その後何度会っても悲しそうに逃げるようになってしまった。


 後日、キリちゃんから手紙が届いた。


 柄でもなく畏まった文と店の名前が記してある“仕事終わったらエミと一緒に行くからユカリちゃんも来て欲しい”と。


 私はすぐに返事を書いてキリちゃんのいない時間を見て部屋に届けた。

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