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老馬の智の章「人肉者」その2

 ゼーナちゃんと話しているとふと酒場での会話を思い出す。


「酒場で聴こえた話なんだけどさ・・・」


 人肉者について噂話を軽く話すとゼーナちゃんの様子が豹変した。


 明らかに動揺して話し方もたじろいでいる。


「で、では私はこれで・・・!!」


 分かりやすく反応し、いつもだったら私が離れるまでずっと傍に居てくれるのに怪しい。


 私はゼーナちゃんの後を追うとミズガルズ住宅区に入り裏路地に向かうのが見えた。


 こっそり追尾すると相変わらず死体が転がってる。


 発展途上区は表面だけ小綺麗だけど裏に入れば死体やゴミが散らばって最悪の場合【狂う病】に罹った生命体が蔓延ってる。


 そんな危ない場所をいくら強いゼーナちゃんでも理由が無い限り此処に訪れないはず。


 幸いな事に今回は死体だらけみたい、キツイ腐乱臭とぐちゃぐちゃの肉塊に吐きそうになるのを堪えて前に進む。


 私はそこで目撃した、ゼーナちゃんの本質を。


「あ・・・・」


 これがきっと人肉者だ、ゼーナちゃんは四つん這いになって死体に貪り食っている。


 その仕草は最早獣でまるでご馳走様にありつけたのように一心不乱に生肉を食べて骨をしゃぶり喰らい尽くす。


 その凄惨な光景を見て私の気配にゼーナちゃんは青ざめた顔で振り返った。


 口の中に赤黒い肉と内臓を引き千切った物が歯茎にこびり付いている。


 ゼーナちゃんは逃げようとしたからすかさず抱きついて阻止した。


「私・・・おしまいですか?」


 直後に大粒の涙を流したゼーナちゃんは逃げられないと判断して抵抗しなかった。


「主様は・・・こんな私を見て嫌いになりましたか?」


 ぐちゃぐちゃとそれでも食べるゼーナちゃんに私は頭を撫でた。


「ううん、それがゼーナちゃんの本質なら否定しないよ」


「化け物ですよ、こんなの・・・自由になって、久し振りの人肉にありつけて・・・力が湧き出るんです・・・風星の人からは気味悪がられて私の種族を罪も犯してもないのに擦り付けて・・・・私以外皆魔女狩りのように殺されて・・・・・」


 自暴自棄になったゼーナちゃんは更に口に肉を含む。


「どうせ・・・私達は化け物ですよ・・・忌み嫌われて人肉者ってだけで共食いさせられて・・・・最後は優しい主様に見つかって・・・・・」


 ボロボロ目と鼻から水が溢れてもむしゃむしゃと食い荒らす。


 私はそんなゼーナちゃんを抱き締めた。


「主様お止めください!!血が・・・肉が・・・!!」


「いいよ別に」


「可愛い服を私なんかの為に汚してはいけません!!汚物で卑しい私になんで優しくするんですか!?」


 そんなの決まってる。


「仲間だから」


 私の一言にゼーナちゃんは言葉を失い咀嚼が止まった。 

 

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