「殺人の容疑者」その1
「いや、おかしいでしょ!?」
物語開始と思ったら朝から投獄されたよ!?私結構ひどい目に遭ってるのに酷くない!?
無理矢理手枷付けられて牢屋に入れられて理由も容疑も何も答えてくれないなんて理不尽の極みだよ!?
鉄格子を殴ると近くにいた近未来区の警備隊が電気棒を腹に突き立てて感電させた。
痛みが直ぐに伝わり私は大きく距離を取る、水星の電気椅子は痛すぎるけどこれも中々痛い。
「容疑者ユカリ、結果が出たぞ」
下手を打っても状況が悪くなる一方で私は兵士を睨んでいると大柄な男性が階段から降りてきた。
取り乱したあまりよく見てなかったけど、ここは何処かの地下?窓は無いし寝床も無いけど風が男性が来た所から吹いている。
横からたまに人の声が聴こえるが囚人というより警備隊の元気な声が聴こえる。
「処刑だ」
「いやだからおかしくありません!?いきなり捕まえて即処刑は酷すぎませんか!?普通なら罪状とか経緯とか理由とかあるじゃないですか!?」
法も秩序も無い星だったっけ!?
「疑わしき者は罰する、これが近未来区のやり方だ」
「理由無き罰は無差別殺人と変わりませんよ!?」
その男性はそれを言うと踵を返して去って行った。
もう滅茶苦茶だよ・・・こんなか弱い女の子虐めて面白いのかな・・・はぁ・・・
大きなため息を吐きながら私は良いの悪いのか持ち物は没収されなかったのでスカートの内側から【万能鍵】を取り出して手錠と足枷を外す。
キリちゃんの作ったそれはどんな鍵のサイズにも合う形の変わる鍵だ。
キリちゃんの窃盗する時によく使い罪を私になすりつけた畜生ぶりに反省して作った代物、正直言うならもう全然反省してない。
キリちゃんの性格なのか癖なのかよく物を盗んでしまうらしい。
「さてと、調査開始かな?」
元々警備隊なんか信用してないしシスターズも信用してない、神様も別に気にしてないので疑わしき者は罰するならこっちはこっちのやり方で自分を証明するしかない。
先ずは牢屋の外に居る人の声を聴こう。
私の事件の疑いを晴らす為に今日も頑張って生きようか。
本来なら朝はホットワインでも飲んで頭を働かせようとしたのに不運だ。