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「それでも心はまだ燃えている」

 数年前・・・


「ユカリちゃん〜おはよう」


 商業区の病院は何かとお世話になることが多くてたまに手伝いに来る、そんな時によく背後から胸を鷲掴みしてくるドスケベなお姉さんがアヤちゃん。


 格好は現在と変わらず医者とは思えない肩から胸の辺りまで露出した身体の曲線が分かるくらいにセクシーニットを着ている。


「相変わらず破廉恥だね〜」


「ふふ♪女の部位で大好物なのよ〜♪」


「胸なの?」


「ええ♪細かく言う?」


「イイエケッコウです」


「恥ずかしがり屋さんなんだから〜♪」


 独特な話し方といい癖のある喋り方といいこの人は芯からエロに染まってる。


 でも私は誰も知らないアヤちゃんの事情を知ってる。


 それは二人きりでしか話すことが出来ない内容、私は亡くなったアヤちゃんのあの時の言葉が鮮明に思い出した。


【余命三年】、このまま痩せたらアヤちゃんの命はそれだけと言い渡された。


 今の院長にすら内緒にしていたからきっと誰も知らない。


 それを私にだけは話してくれた。


 アヤちゃん自身は達観していてエロ好きの敏腕お姉さんの皮を被って過ごしている。


 二人きりの時はなるべく食事を挟むよう努力している。


「アヤちゃんって余命の事言われてどう感じた?」


 あまりにも無関心な性格な為私がたまに忠告を挟んでいたがこの話題は少し良くなかったのか少しだけ微妙な空気が流れる。


 失言してしまったと誤解を解こうとしたその時、アヤちゃんは微笑んだ。


 そこはどこにでもある普通の公園でベンチ一つしかない物悲しい近未来区促進によって淘汰された場所でもあり、二人きりで話す時に病院が近い理由だけでそこに通っていた。


「ユカリちゃんはそんなの信じるの?」


 悪意すら感じない単純な疑問に私は自分らしく答えた。


「それはまぁ・・・残された時間でもあるし」


「でも治ったら関係ないわよね?」


 ごもっともな事を言うな、何も考えてなさそうな私と同類かと思ってたけどやっぱりクセが凄い。


「それなら治してくれない?」


「いや、貴女が医者でしょ!?」


「これは医者の客観的や技術的、主観的とか医学的な療法じゃなくて“誰か”が必要なの」


 急に真面目になった!?


「第三者の力って政治的経済的には煙たがられるけど医療的には逆に必要される事が多いわ、病気との苦痛は一人だけで戦うには限界がある、そこで必要なのが第三者よ」


「でもそれは心が弱くなってる時に必要な力じゃない?」


「余命宣告されて明るくなる方が無理な話よ♪」


 そんな人が目の前に笑っているのですが突っ込んだら負けなのかな?


 アヤちゃんはにこやかな口ぶりで私の掌に自身の手を重ねる。


「私にも第三者が必要なの♪ねね!もし治ったら二人きりで旅行行かない?」


 唐突すぎる内容に思考が追いつかないよ!?


「これまた急だね・・・う〜ん、本気で治すなら考えてもいいよ?」


 保留と私は告げるもアヤちゃんは嬉しそうに抱きついてきた。


 この人相変わらず色気の香水と豊満の柔らかさで理性を制御するのが大変だ。


「なら約束よ?」


「はいはい、もし守れたらね?」


「勿論よ〜♪」


 最初は軽い気持ちで面倒を見てたのに気付けば私も夢中になって本当に夢が叶うかもしれないと思っていた。


 私は遺体を見るのは明日にして今日は廊下で反省しよう。


 どうせ涙は出ないんだ、私はこの現実を受け入れるのに一人では厳しいと感じた。


 こんな時誰かが居てくれたら幾分はマシだったのかな?

 

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