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じばくれい




「もしもし、どうも」

「ああ、こんにちは」


 影と影とは、互いに、消え入りそうな声で会話する。


 互いに互いの姿をそれと見ることはできない。宙空に互いの輪郭だけが歪んで浮いているような、そんな姿のまま、影と影とは先を続ける。


「何されてるんですか、こんなところで」

「ええと、待ってたんですよ」

「私をですか」

「いえ……いえ、どうなんでしょう」


 待っていた影は思案げに首を捻ると――もっともその仕草は誰にも見て取れない程度のものであった。何せ影らには体かたち がない――周囲に目を向ける。視線の先の景色は、とある一軒家の屋根を映し出している。かと思えば、遮断機に光る警報灯が、寂れた小学校の校舎が、ぬかるんだ畑道が流れ込む。

 それは、そこにあるモニタにそれぞれの景色が映し出されているというよりも、影たちの持つ意識が空間全体に流れ出し、また、それと同時に影たちに世界の営みが流れ込んでいるようであった。


「……すみません、少し混乱していて。あれやこれや、思い出せないのです」

「そうですか……まあ、無理もありませんよ。だって、私もあなたも、すでに、死んでいるのですから」




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