コント「乾燥機」
つっこみ(以下、つこ)「どうも、先ほど電話を頂いた山本と申します。乾燥機の修理にやって参りました」
ボケ「湧いて出て下さって有難う御座います」
つこ「あまり良い印象の言葉ではないですが、受け入れられたので、修理させて頂きます」
ボケ「ガンバレ玄人!」
つこ「励ましなんでしょうか、有り難いと言えば有り難いですけどもね」
ボケ「この乾燥機なんですけども、コンセントに差していないとスイッチが入らないんですよ」
つこ「そりゃそうでしょう」
ボケ「あと何かすごくプリンの匂いがするんですよ」
つこ「どこがでしょうか」
ボケ「中です。パカッとな」
つこ「……!」
ボケ「その驚きフェイス……もしや『パカッとな』がオリジナルの台詞だと思ったんですか!」
つこ「いえ、そうじゃなくて、本当にすごくプリンの香りがしますね、と」
ボケ「実は! 『ポチッとな』という既存の台詞のオマージュなんです!」
つこ「いや『パカッとな』の話はどうでもいいですよ。ところで、何か心当たりはないでしょうか」
ボケ「えぇ、プリンというモノは柔らかくて食べやすいです」
つこ「……あっ、口当たりじゃなくて心当たりです」
ボケ「聞き間違いだなんて、お見苦しいところを見せてしまいました」
つこ「お見苦しいという話でもないですけども」
ボケ「う~ん、心当たりですか……難しいですねぇ……」
つこ「どんな些細な変化でもいいので、教えて頂けると有り難いです」
ボケ「……あっ、そう言えば」
つこ「何か思い出しましたか」
ボケ「もしかしたらなんですけども、乾燥機の中にプリンを入れたことって関係ありますかね」
つこ「それしかないでしょうね。というか何でそんなことを……」
ボケ「プリンが乾燥したら、プリン味のグミになったりしないかなと思って」
つこ「なりませんよ、プリンとグミの弾力性は全く異なるじゃないですか」
ボケ「そこはもう乾燥マジックというべきアレが」
つこ「無いですよ、というかもう原因分かりました。あのですね」
ボケ「何でしょうか」
つこ「こういう、説明書に書いてあるようなことで使えなくなった場合、無料で修理はしていないんですよ」
ボケ「えっ、でも、プリンを入れちゃダメとは書いていないような」
つこ「えっとですね、衣類以外は入れないで下さいと書いてあるんですよ」
ボケ「……く、くぬぅ……」
つこ「悔しがられても変わりません」
ボケ「……着る」
つこ「何でしょうか」
ボケ「着る! 僕! プリンを着る!」
つこ「えっと……一般的にプリンは衣類として認められていないので、今さら貴方がプリンを着ても衣類にはなりません」
ボケ「じゃあ食べる! プリンを食べるから!」
つこ「はい、勝手に食べて下さい」
ボケ「良かった……プリンは食べていいんだ……」
つこ「その制限はしないです。まあとにかく、修理は有料となります」
ボケ「有料……使っていない! 有料サイトは使っていない! 使っていないんだってば!」
つこ「何のトラウマですか」
ボケ「……ハァ、ハァ、すみません。お父さんにケータイの料金が高いことを追及されたことを思い出しました……」
つこ「思い出してもいいですけども、口に出さないで下さい」
ボケ「何でも口に出す、それが僕です」
つこ「多分だいたい迷惑にあたる行為だと思います」
ボケ「う~ん、こりゃ失敬」
つこ「……話が進みませんね、修理するかどうか指示して欲しいんですけども」
ボケ「う~んこ、りゃ失敬」
つこ「……」
ボケ「あれ、何でだろう……何でウケないんだろう……」
つこ「……」
ボケ「何でだろう、乾燥機は壊れているはずなのに、口の中がカラカラに乾燥してきた……」
つこ「スベったからじゃないですか」
ボケ「なるほどねぇ……って! 受験生に向かってスベるとか禁句!」
つこ「受験生だったんですか?」
ボケ「い、いや、受験生じゃないけども……」
つこ「じゃあ帰らせて頂きますね」
ボケ「ちょ! ちょっと待って下さいよ! 修理して下さいよ!」
つこ「でも有料になりますけども、よろしいでしょうか」
ボケ「有料も無料も一緒だからやっちゃってやっちゃって!」
つこ「いや一緒じゃないですけども。じゃあまあ修理開始しますね」
ボケ「えぇ、無料でやってくれない時の用心に、一応10万くらいは用意していたのでね」
つこ「それを早く言って頂ければいいのに」