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夢の覚めるとき

 「ど~ぞ~、開いてますよ~」

ノックの返事はいつもの明るい声。

でも、今はその明るさがまぶしくて、つらい。


 「あれ?元気ないですね何かありました?」

作品いじりに熱中してこちらなど見ていないと

思っていたけど、気付かれてしまったようだ。


 「ええ、勇者様の送還の日程が、決定いたしました」

何事にも、いつか終わりが来る。


 「そうか、もうすぐこの世界に呼ばれて一年ですか

 時間の流れって早いものですねえ」

いつもの調子で話す彼。

そうよね、こんな不慣れな世界で暮らすより

早く住み慣れた、気の合う仲間のいる場所に戻りたい、

そんなことを思っていても仕方はない。


 「ええ、私にとっては長い一年でしたけど。

 ようやく送還です。

 また元の世界で親しいお仲間と一緒に

 馬鹿なことができますね。よかったですね」

どうしたんだろう、

こんなことを言いたかったわけじゃないのに。

まるで自分のものではないように口が勝手に動いた。


 「最初はね、なんで俺なんだろうって思ったんですよ」

私の皮肉めいた発言を気にするそぶりも見せず、

彼が話し始めた。

 「単純に戦闘力が高い人材が欲しいなら、

 それこそ現役の格闘家とか、軍の特殊部隊の人とか

 候補なんて山ほどいそうじゃないですか。

 魔道器で一気に殲滅しちゃえ、って話ならそれで

 大量破壊兵器の開発者とか探せばいいわけで。

 神託って「世界を平和に導け」ってだけでさ、

 誰を倒せとか、どこを滅ぼせとかじゃないんだよね。

 そもそもそんなことしたって戦争が始まるだけで、

 その結果一時的に平和になったところで

 そんなもの長続きしないでしょ?

 あえてこんな技術オタが選ばれた理由はきっとある、

 そう思ったからあえて自然体で、

 元の世界と同じ、自分らしい生き方、を

 心がけてみたんだけど、ね」

一気にそう話し、寂しそうにふっと笑う。


 「異世界人という異物を受け入れるのは、

 世界にも負担が大きすぎる。

 1年という期日は予算とかそういう話ではなくて、

 それが本当に限界だから。

 負担が限界を超えたとき、

 最悪世界そのものが滅ぶかもしれない、

 そんな説明も受けました」

身じろぎもせず彼の方を見つめる私の視線に

落ち着かないのかもしれない。

椅子から立ち上がり、壁の方を向いて彼は続ける。


 「他種族から見たらさ、そんな危険物を自ら招いたんだ、

 人族なんて滅ぼすべき、なんて口実になって

 それこそ戦争になっても仕方ないんじゃない?

 平和をもたらすはずの勇者が、

 逆に平和を壊す存在になるなんてまったくもう、

 B級RPGみたいな展開でちょっと笑えるよね」

吟遊詩人のごとく彼の唇が言葉をつむぐ。

いつもの技術的な話ではない、それなのにいやに饒舌だ。


・・・そうか、彼にとってはこの世界の成り立ちという

一つの技術としての仕組みの中の話なのだ。たぶん。


 「君が勇者付の補佐官になった理由も聞いてる。

 上司って人から一度呼び出されてね。

 こちらの世界に来てすぐのことだったけど。

 もう体でも何でも使って勇者に取り入って、

 世界の救世主の補佐官!って肩書で

 のし上がるのが夢なんだって。

 その結果がこんな役立たずの御守りでホントごめんね」

違う、確かに最初はそんな下心はあった。

でも今は。

否定したいけど言葉にならない。

涙が出そうになる。

ここで泣いてはいけない。

彼の方を見まいとうつむく私のもとに足音が近付く。

慰めようというのだろうか。

彼のてのひらが私の頭の上にかざされたが、

それは触れることなく戻っていく。


お互い無言のまま、時間だけが過ぎる。


 「でもっ!」

静寂を破ったのは私。

言うんだ。

ここで黙っているだけじゃ一生後悔する。

もう彼は自分の世界に帰ってしまうんだから。

そのあと、私には彼に気持ちを伝えるチャンスなんて

絶対に巡っては来ない。

 「今は、勇者様に来てもらえてっ、

 補佐官として一緒にいられてっ、

 本当によかったと思ってますっ!」


胸にすがって泣きじゃくる私を勇者様は、

抱きしめるわけではなく、

でも、ただやさしく支えてくれていた。

ずっと、ずっと・・・





それにしても-

体を使って、の部分は休憩時間の同僚との馬鹿話の中で

あくまでも冗談として言っていただけなのに・・・。

部下のプライベートな会話漏洩させるとか

もうなんなのあのクソ上司!

シリアスは苦手なんだぁー。

文章力がないので自分の書きたいことが全部盛り込まれているとはいいがたい!

精進します。

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