家族とは。
「魔女の僕になること……」
俺はその意味を噛み砕くために敢えて反芻した。
黒猫に与えられた第四の選択肢。
「俺は魔女の僕とは何なのかを詳しくは知らない。……黒猫じゃないからな。だが、“ヒタム”も言っていたように、食に困ったりはしないだろう。……詳しい話は“ヒタム”に聞いてくれ。俺はただ、そういう選択肢もあることを、お前に伝えたかっただけだ。」
言うことは言ったという風で、ボスはこの場を去ろうとする。
そんなボスの背中に、一つ俺は問いかける。
「あんたは縄張りの全員の生き方について忠告をしてくれているのか?」
ボスは少しだけこちらに体を向けると、少し考えたあとで口を開いた。
「……全員ではないが。俺は縄張りのみんなを仲間……いや、家族だと思っている。家族が野垂れ死ぬのを見たくはないからな。出来る限りのことはするさ。」
「じゃぁな」というと、今度こそボスはこの場を立ち去った。
「……家族、か……」
俺は独り言ちる。物心がついたときから一人だった俺は血の繋がった家族を知らない。
親はどんな奴だったのか。
兄弟はいたのか。
……今、生きているのか。
ボスのように、ここにいる奴らを家族だとは思えないが、“漆黒”のことは友人だと思っているし、モモも何かあれば助けてやりたいとは思う。
俺は、考えても答えのでない疑問を切り捨て、“ヒタム”を探すことにした。
魔女の僕を増やすことで、“ヒタム”の序列が上がるのならば、俺を魔女に紹介することは、“ヒタム”にとっても歓迎すべき話だろう。
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「“3丁目”く~ん!」
“ヒタム”を探しているとモモと“漆黒”に呼び止められた。
そういえば、こいつらはいつの間にかいなくなっていたな。
と、そこで俺は2匹の背後に“ヒタム”がいることに気づいた。
「お前らが連れてきてくれたのか?」
「ボスとの話に割り込むのは悪いと思って。“3丁目”はきっと“ヒタム”さんに話を聞きたいだろうから、先回りしようってモモちゃんと話したんだ。」
「そうか、ありがとうな。」
俺は素直に礼をいうと“ヒタム”に向き直る。
こいつと話して、魔女について教えてもらう必要がある。