~固定台~
人生に汚点を残したなんて、この口から発せられる訳もなく。
その横一文字に閉ざされた唇が、開くこともなく。
目の前の男は、ひたすらに天井を眺めて、その先の天空をも
見据えてるのだろうか。
『答えなさい! 誰に与えるのか、継がせるのか!』
一族の掟、存命ならば宣言させられるそうだ。
自らの後継者を誰にするのかを。
まぁ特に宣言なく息絶えた時は、一族の総意を獲るであろう立場の者達が無記名投票の末、その地位に治まる訳で。
だから総意を得られないであろう者達は、必死に言わせるのである。
薄い可能性と、自らの身内に賭けて。
『脈拍低下…血圧上昇…』
一切の感情を含まないその声に反応し、更なる声量にて闘う。
『仙郭の名を!』
『弧弓よ!』
息子の為に母親は成れるる、鬼だろうが悪魔だろうか。
勿論、天使にだって。
考えてみたら一番の理解者…まぁその記憶の無い自分には、
縁も所縁も無い話なのだが。
その時、天しか見つめなかった老人の両目が、
顔ごとこちらへとシフトしく…目が合う?
俺を見ているのか、じいさん?
『継がすのは怜樹…貴様だ…』
…冗談を聞いてる余裕、こっちにはあってもアンタには
無いだろうが…
standing way




