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世界は異世界を目指した。~20の倍数でスキル無双~  作者: 小犬
一章 特異点は日常系を目指した
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第七十九話 公国の二天(前編)

 ごめんなさい、前後編に分けます!!その都合上切り方がおかしくなってしまいましたし、〇〇ちゃんを出せませんでした……。〇〇ちゃんが誰なのか、答え合わせをしようと思っていた方には申し訳ないです。


 続きは明日か明後日に更新致します!



 舞台は移ろい、ここは世界地図における西方の国――レストール公国。国の頂点を”貴族王”エストール・フォン・バトラーが統べる国だ。



 そもそも世界停止が起きてからというもの、世界の激変、魔族を率いた魔王の登場、土地の変化等により混乱に満ちたこの世界では、誰もが人類の指揮を取ろうなどとという気にはなれなかった。結局のところみんな自分のことで精一杯だったのだ。



 なんせ世界は荒廃していたから。動かない人類を前に好奇心の沸いた愚かな者はその無抵抗の人間を殺害したり、強姦騒ぎなんて日常茶飯事。殺された人間が身内だった第一世代の人間がいればそれは復讐に走り、それもまた多くの人間を殺す。世界の統率なんて微塵もとれてなんかいなかったのだ。



 しかしそんな混乱の中に、八天が現れた。彼らはその大きな力で人類を激励し、それにより第一世代と呼ばれた少数の人間たちは奮い立ったのだ。彼らは剣を持ち、呪文を覚え、スキルに磨きをかけ、平和のために戦った。そしてそれとほぼ時を同じくして、こういったことを口にした男がいた。



 『此処へ来い。お前たちの欲しいものは全て此処にある。武器も、仲間も、平穏もだ!我々だって一致団結すれば八天にも劣らぬ力となれるのだ!』



 彼の呼びかけにより、西方にある大きな島に人々が移り始めた。実際のところ第一世代自体の人数が少なかったということで人数としては些か少なかったのだが、それでも世界において活動することのできる人類のうち約半数が公国へとやって来たとなれば十分だろう。



 こうして島は国となり、人々は個から集の力となり、人類は大きく沸いた。当時の公国は人類の拠点とも言える場所になったのである。全ては一人の男の発言によって。そう、国という一つの集団を作り、団結を図ろうとした男。それこそがエストール・フォン・バトラーなのである。



 そんな彼が治めるこの公国は他国ともある程度の流通こそ行っているが、どちらかというと国内での商業の方が盛んだ。曰く、他国が滅ぼうと問題なく生活できるほどに自給率が高い。その理由としては国内の情勢が激しく、日夜土地を持つ人間――領主でもある貴族たちにより激しい論争が行われているからだろう。



 バトラーは貴族王と呼ばれ人々に敬われたりもしているのだが、他の貴族たちにだって野心がないわけではない。あわよくば自分がこの国の頂点に……なんて考える人間も決して少なくはないのだ。それに、魔族の撤退以降そんなことを考える余裕が彼らにもできてきたのだと考えるとむしろ世界が平和へ向かっていると喜ぶべきだろう。



 故に貴族たちは自分の治める土地を繁栄させることで自らの権威を高めようと内政に酷く真剣になっている。つまり皮肉に言えば、今のこの国の富というのは彼らの野心によってもたらされたものであると言えるだろう。



 それでも現に公国の国民は目立った苦労をしていないし、充実していると感じている者も多くいるというのも事実であり、これはこれでいいと思う。というのが国民の総意だ。



 それから、この国が持つ天の加護は二人。戯天と憐天によるものだ。八天の実質的リーダーである戯天がここにいるというのは国民にも莫大な安心を与えており、戯天自身もその人柄からか人気が高い。近々戯天をもとにしたアニメなんてのも公開されるらしい、という話からも彼の人気は明らかだ。



 しかしそれに引けを取らないほどの人気者がもう一人の天、憐天だろう。彼女は公国の人間であるにも関わらず、世界的に人気が高い。それは何故なのかという話だが、実は彼女……アイドルなのである。



 世界停止以前からある人気アイドルグループにて不動のセンターを務めていた彼女は、まさかのアイドルが八天のメンバーということで世界停止以降も評判はうなぎのぼり。今では世界一のアイドルと称され、その人気は最早信仰の域にさえ達しているほどだ。



 これを聞いてわかると思うが、公国には八天の中の人気者二人が集まっている。これが偶然なのかは不明だが、とにかくそれが公国にとっていい影響しかもたらさないというのは明白だ。



 これらのような理由で、このエストール公国というのは他の三国と比べても非常に良い国であると言える。他国からこちらへ移り住む者だって少なくはない。



 ――そんな公国の戯天領。その中心に位置する彼らの本部、人々には時之宮ときのみやと呼ばれている学校のような形をした建物にて、二人の人物が話し合っていた。



 「それで?バトラーさんにはなんて言われたの?」



 幼い顔立ちをした少年が、顔立ちの整った女性――憐天にそう訪ねた。



 少年の柔らかい物言いからは優しさがにじみ出ており、その人格が伺える。そんな彼に憐天は少し心配そうにこう告げた。



 「『お遊びもほどほどにしてくれたまえよ』って……。それだけ」


 「あくまで茉依ちゃんの動向は知ってるぞってことだけを伝えたかったみたいだね。あの人らしいや」


 「そんな簡単に考えていいの?わかってると思うけどあいつ、相当意地汚いよ?」


 「いや、そのくらい当然知ってるよ」



 どうやら二人の中で彼の評判は酷いことになっているらしい。



 「だったらどうして……!?」



 一方憐天の方は彼の平然とした態度に焦りを感じているようで、彼の余裕の根拠を聞き出そうとする。



 「彼は茉依ちゃんの妨害が入ってもなんら支障はないって思ってるからね。茉依ちゃんの抵抗を相手にしてないんだよ」


 「あんたあんまりアイドル舐めないほうがいいわよ!!」



 彼の返事にムキになる憐天。その対等な会話から幼い顔立ちの少年の素性がなんとなく理解できる。彼はおそらく――



 「あんたも天の一人なら戦争の一つや二つ止めてみなさいよーー!」



 この憐天の発言通り公国の天の一人、戯天だろう。



 

前半を設定が占めている……だと!?



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