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世界は異世界を目指した。~20の倍数でスキル無双~  作者: 小犬
一章 特異点は日常系を目指した
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第七十八話 うちのギルドマスターが滅茶苦茶すぎる件

 突然ですが、お礼を言わせてもらおうと思います。過去に感想をくれた方々、本当にありがとうございます!凄くモチベーションになっております。皆様がいなけれは今のこの作品はありませんでした。今後も頑張らせて貰おうと思うので、応援のほど宜しくお願いいたします。突然のお礼で申し訳ありません!




 リザとドロシーに暫しの別れを告げた俺はある程度の荷物を持ってギルドの前に立っていた。というのも、俺は今回のクエストでそう何日もかかるようには思えないのでそこまで沢山の荷物は持ってきていない。さっさと終わらして帰ってくるぞっていう俺の気持ちの表れでもあったりする。



 「にしても暑いなあ……」



 それから全くもって余談なんだが、荷物のせいかどうも暑く感じる。世界停止の際、夏で止まってしまったここら一帯はやっぱり暑くて、早くも帰りたくなる。こんな調子で大丈夫だろうか。



 「いやいや、お待たせ陽太君。君があまりにも準備が早いものだからこっちまで急いじゃったよ」


 「ああ、ごめん!とっとと終わらせたかったからさ。つい急いじまった」


 「ははは、秘匿クエストをとっとと終わらせる……か。相変わらず頼もしいね君は」



 そんな俺のもとにギルドから出てきたミサが現れる。歩くたびに揺れるその薄桃色の髪に見蕩れた俺は相変わらず美人だな、なんて思わず思っちゃったんだが、口には出さない。口に出したら何か色々と遊ばれそうだからな。



 そうやって俺が口を噤むと、こちらへやって来たミサに一つ違和感を覚えた。注目すべき点はその華奢な肩である。



 そこにはやや大きめの黄色いリュックサックが背負われていた。何故そこに違和感を覚えたのかって、それは言うまでもない。



 彼女ほど儲けていそうな冒険者ならば、というかそもそもそのギルドメンバー百人以上を従える立場にあるわけだから、かなりお金ならあるはず。つまり、出かける際はブランド物なんかを使っていても何らおかしくはないし、ましてやあんな大きいバッグは必要にならないはずなのだ。



 「――なんでだ?」


 「なんでそんな大層な荷物を持ってんの?って顔をしてるね、君」



 うん、いやその通りだよ。そのまんまミサに質問したいね。俺は小首をかしげて彼女に答えを促す。



 「はあ……。女の子にそれを言わせちゃいけないんじゃないのかい?ボクとしてはこの荷物から察して欲しかったんだけれど」


 「だってまさか一緒にクエストに行くとは思えないだろ?」



 まさかな。この考えは論外だったのでそもそも俺の中で話も上がらなかった。



 これは前にも言ったと思うが、最近のミサの様子を見るに明らかに忙しそうだったのだ。まず、ギルドで彼女の姿を見かけなかった。俺自身もEランクながらも念願の冒険者になったということでクエストを沢山こなして外に出ていたのだが、それを差し引いてもかなりエンカウント率は低い。一日に一度会うか会わないくらいだったはずだ。



 そんな様子からもギルドマスターってのがどれだけ忙しいのかは見て取れたし、だからこそ聞きたいこととかも敢えて聞かずにいた。そんな頑張り屋なギルドマスターに迷惑はかけられなかったからな。



 しかしその分、ビルやリチャードなんかとはかなり仲良くなった。あいつらは格好の奇抜さとは相反して性格はかなり紳士だ。その上博識だから、俺の質問にも快く答えてくれる。今、間違いなく一番交流を深めている男たちだろう。



 あ、もちろん他のメンバーとも仲良くなろうとしたんだぞ?でもなんかダメだったな。『七色使い」とか、『マスターのお気に入り」とか、『おホモだち』とか言われてるせいだろうか?最後に挙げた『おホモだち』については囁いてた人間全員に嫌がらせをさせて貰った。コップに入った水を顔にぶち当てたり、色々だ。――確認しておくが、本当に俺にそんな事実はない。信じて欲しい。



 「いや、それが付いて行くんだよ。よろしくね!」


 「え?」



 おおっと、会話がまだ終わっていないんだった。自分の世界から我に返った俺はミサを見る。え、というかこの人今付いて来るって言ったか?



 「それに、どっちかと言うとボクが君に付いて行くというよりも君がボクに付いて来るんだよ?ほら、立場上ね」



 ――ということらしい。



 確かにEランク冒険者を一人で秘匿クエストに駆り出すってのもどうかと思うよな。納得がいかなくもないが……。



 「でもいいのか?ミサ忙しそうだったし、仕事なんかもまだ残ってるんじゃ?」


 「ああ、それかい。そりゃあこの先一週間分の仕事をこの一週間で終わらせておいたからね!流石に忙しかったよ。それでも会議なんかは出席できないから、そのへんはビルとかに押し付け――頼んであるから大丈夫さ」


 「今押し付けたって言いそうになったよね?ってかほぼ言っちゃってたよね?」



 本が出せそうだな。タイトルは、うちのギルドマスターが滅茶苦茶すぎる件。



 「とにかくっ!ボクも行くから。異論は認めないよ?」


 「ははい、了解了解。それに俺も話したいことあったし、丁度いいや」


 「なんだい?恋バナかい?」



 ニヤニヤしながらこちらを覗き見るギルドマスターさんはこの際無視だ。こういうのもなんだが、最近うちのギルドマスターの扱いがわかってきた気がする。



 それから話は戻って、ミサも付いて来るという話。正直俺も聞きたいことなんかは山ほどあったからむしろ好都合だ。そうともなれば今回のクエストは実戦としても知識的面で見ても中々実りがありそうだな。期待できそうだ。



 そういうわけで、俺とミサのたった二人だけのパーティーが秘匿クエスト、”狂血の姉妹ブラッディ・シスターズの撃退”を達成すべく歩を進めたのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一方その頃。アルメリア王国某所にて。



 「やめろおおおっ!来るなっ!来るな来るな来るな――あああああああああっ!!!」


 「アッハハハハハハ!!!」


 「――――」



 一面に草原が広がる中、牛車に乗っていたであろう盗賊たちがその草原の一部分を赤く染め上げていた。



 それは紛れもない、彼女たちに負わされた傷から吹き出した鮮血によるものだろう。結果から言うと、今そこに在る命は二人の少女とどうしてか殺されていない二頭の牛だけだ。



 その二人の少女は辺りを見回し始めた。まるで何かを探しているかのように。そして少し硬直したかと思えば、ニタアっと嬉しそうに嗤うのだった。


 次回!遂に……遂に満を持してあの子が登場です!!いやー、長かった。ほんとごめんね○○ちゃん。


 ということで次回は公国サイドのお話となる予定です。暫しお待ちください!



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