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世界は異世界を目指した。~20の倍数でスキル無双~  作者: 小犬
一章 特異点は日常系を目指した
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第五十四話 これは断じて、街ではない

日間ランキング二位、誠にありがとうございます。皆様のおかげです。それをモチベーションに今後とも頑張ろうと思いますので、応援のほどよろしくお願いします。


 第二世代。そりゃあ第一世代がいるんだから第二世代が存在するというのは至極当然のことだ。当然誰でも予想は出来たと思うが……



 「おいリザ。そのあからさまなドヤ顔やめろ」


 「えへへ……」



 隣にちょこんと座る我がパートナーもまた読めていたようで、凄いドヤ顔をぶちかましている。その翡翠色の目は爛々と輝いており……うわ、鼻の穴まで広げて……どんだけ嬉しいんだこの子!



 「陽太くん私実は、今の話……読めてました!」


 「わかるよその顔見れば!てか読めてましたじゃねえよ、小学生でもわかるわ!」


 「お、俺も読めてたぞ?」


 「お前はなんで競り合おうとすんのかマジで意味分かんねえよ!知ってて当たり前だろうが!」



 鼻息まで荒くして褒めてくださいとでも言いたげなリザと本気で意味のわからない意地を張ろうとする和真に俺は思わずため息を吐く。



 「大丈夫ですか?すみませんうちの子が……どうも私に似つかず賢いみたいで」


 「真美さん……俺を労うのか疲弊させたいのかどっちかにしてくれませんか?」



 とんでもない親子だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「話を戻しますね?」



 真美さんの一言でまた車中説明会が開催される。話は第二世代のあたりからだ。



 「私たち第二世代の人間には特別秀でたものなんてなくて……強いスキルや魔法を使えるものもいればそうでない人も、最悪そのどちらも使えない人だっている、そういう多種多様な世代です。でも問題はそこじゃなくて……第二世代の人々が動き出した以外に、この時世界には更なる変化が起きていました」


 「と言うと?」


 「第二世代が続々動き出したのと同時に世界中の大陸が移動したんです」


 「「大陸が移動!?」」



 ここで俺とリザの声が重なった。それも当たり前だ!今とんでも発言があったぞ!?地形が変化ってどういうことだ……。そのまんまか?そのまんまの意味でいいのか?俺はひどく困惑する。



 「それって、皆さんはご無事だったんですか?私たちはなんともなかったですが……」


 「それが、気が付けばあれ?こんなところに海なんてあったけ?みたいな感じだったらしいです。もともと謎の遺跡が建ってたり幻想的な森ができてたりっていうのはあったらしくて、後は大陸ごと移動して地球の模様替え終わり、みたいな……」



 リザの問いかけに答える真美さんの答えもよくわからない感じだった。というか大陸が移動して……それで今はどうなってるんだろう。俺は真美さんに問う。



 「それで、今の地球はどうなってしまってるんですか?」


 「ええっと、東西南北に四つの大陸が生まれ、四つの国に分かれています」



 うわ、簡単でいいなそれ。すぐに覚えられそうだ。



 「でも実際問題覚えるのは秦瀬さんやリザさん自身のいるこの国の名前、『アルメリア王国』さえ覚えていれば問題はないと思いますよ。あまり国と国とを行き来することもないでしょうから」


 「アルメリア王国……」



 なんかすげえラノベちっくな名前だな……世界停止と言い大陸移動と言い、本当にこの世界は何を目指してるんだろうか。先が読めなすぎる。



 「最後に『八天』のことだけ聞いてもいいですか?」



 そんな疑問を浮かべつつも、俺がおそらく時間的に最後になるであろう質問をする。正面の窓からは遠くに街が見えてきており、あともう少しで到着であろうことは明白だったからだ。



 「それは全然構わないのですが……本当にご存知ないのですか?」



 しかしここに来て真美さんの表情が曇った。なんだ、そんなに常識的なことなのか?もちろん俺はそんな単語は聞いたこともないのだが。



 「ああ、まったくだな」


 「私もです」



 俺もリザもさっぱり、ということで真美さんにご教授して頂かないといけないわけだ。一体何なのだろうか八天とは。



 「本当に知らないのですね……。八天というのは、第一世代の中でも選りすぐりの……この停止世界が現在に至るまでの基盤を作ったとされる方々です」


 「へえー!偉い人たちってことか」


 「そんなもんじゃねえよ!八天ってのはそんな簡潔に纏められないくらいにかっけえんだから!」



 そこでまたしても和真が割り込んで来た。八天の話になると急に熱くなるよなあ、こいつ。いっそ和真にご教授願おうか。



 「じゃあ説明してくれよ、八天のこと」


 「お安い御用だぜっ!」


 「きちんとお伝えするのよ?」



 どうやらやってくれるみたいで、途端に和真がやる気を漲らせる。真美さんは少し心配そうだが、これは期待できそうだ。



 「八天ってのはな、八人の『天』の称号を持った人達のことを言うんだ!その八人はそれぞれ”覇天はてん”、”剣天つるぎてん”、”魔天まてん”、”邪天じゃてん”、”聖天せいてん”、”蒼天そうてん”、”戯天ぎてん”、”憐天れんてん”って呼ばれてて、とにかく全員がすげえんだ!さっきはお兄さんも確かに強かったけど、それでも八天の足元にも及ばないだろうな!」


 「そりゃあそんな凄い奴らにゃ敵わないだろうさ。別に俺は強いわけでもないと思うし」



 それにしてもそんな凄い連中なのか……一度は会って見てみたいものだ。それにどの名前も厨二心を疼かせるネーミングだしな。そうなるとどの人が一番強いのか気になってくるのが男心ってやつで。俺は八天にだけは詳しそうな和真に訊ねることにした。



 「なあ、そん中でぶっちゃけ誰が一番強いと思う?」



 するとすぐに手を顎に当て、考え始める和真。何やら結構真剣に考えてくれているらしい。少し経って、和真が手を顎から手を離す。考えが纏まったみたいだ。彼が出した答えは……



 「よくわかんないや!」



 だった。



 「お前、詳しいんじゃなかったのかよ!色々知ってそうな雰囲気出しといて結局はその程度かこのっ!」


 「わはははっ!ちょ、ちょっとやめろよ!」



 肩透かしを食らった俺は助手席にいる和真の脇腹をくすぐる。もちろん、運転する真美さんの邪魔にならない範疇でだが。その後俺が一通りくすぐった後で放してやると、和真が複雑な顔をして言う。



 「ああもうっ、くすぐりすぎだろ……。その質問だけど、きっと最強は蒼天か覇天のどっちかなんだよ。この二人はあることがあってから別格だって噂されてる。でもいざこの二人のどっちが強いかって聞かれたらわかんないよ。タイプだって違うし、それに俺のイチ押しは戯天だしな!」


 「あることって……?」



 俺が丁度その『あること』について聞こうとした時、俺たちは彼らの街へと到着した。それに応じて全員の視線が前方へと向いてしまい、俺の質問は流されてしまう。まあいい、どっかのタイミングでまた耳にするだろう。



 俺もリザもそれぞれ近かった方のドアを開け、車外へと出る。さあ、眼前に広がる街の光景は――!



 「着きましたよ。これが私たちの住む街「”エストリア”です」


 「う、うわー……」


 「うわーーー!」



 俺とリザとで目の前の光景に相反する反応を見せた。まず衝撃的なのは、街の中には見るからに異世界な家が点々と並ぶ中、ごく普通の俺の地元で見たような現代風の建物も同じくらいの数建っていて、街の中央のような所にはビルが建っているのが見える。これを常識を持った人間が見たなら何というか。答えは一つ、「うわー」である。



 対するリザはあの小屋くらいしかきちんとしたとした家を見たことがないし、村や街なんて当然見たいこともないわけだ。つまり、これからの彼女の認識において「街」というのはこういったものを指すことになるのだと思うと、不憫でならない。俺がこつこつ矯正してあげないといけなそうだ。



 「ええ……私も最初はうわーっと思いましたが、きっと秦瀬さんもそのうち慣れますよきっと」



 等と、街の景観に絶句する俺を見た真美さんが気休め程度に言ってくれるのだが……



 「――いや慣れたくはないな、これ」



 なんかもう、来てまだ少ししか経ってないにも関わらず染まったらダメな匂いがするぞこの街、大丈夫なのか?



 「いつ見てもかっこいい街だぜ!」


 「ですよね!ですよね!?」



 なんて俺の心配を他所に、意気投合しているリザと和真とではそんな心配も分かり合えそうにないと思ってしまう俺であった。


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