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第四十二話 逡巡の結果

24日、26日はお休みとさせていただきます。申し訳ありません。


 「ええっ!?悠斗さんって空を飛べるんですか!?」


 「あなた、せっかく持ってるならその『魔眼』ってやつ使えばよかったのに忘れてたとか……馬鹿すぎ」


 「俺も脳筋とか初乃に言われるけどなぁ、お前も大概だと思うぜ?」


 「うるさいよもう!」



 自分について淡々と語らせてもらった僕は、みんなからの総口撃を受けることになった。まぁそれも当然だ。さっきの大回復だって僕が『魔眼』を用いて初乃ちゃんと勇吾のことを視れば、ぱぱっとわかっていたかもしれないわけだし。



 「それにそのスキルの数もかなり凄いですよね?」


 「そうかもしれないけど、一つ一つはそれ程すごいわけじゃない気がするかなー。なんていうか、器用貧乏ってやつだよね」



 そんな中でも素直に褒めてくれた初乃ちゃんに僕は照れを隠しながら僕自身のスキルの見解を告げた。器用貧乏、まさしく僕のスキルにはその言葉がお似合いだと思う。なんせ一つ一つは彼女らのような強いスキルではないし、殺傷力のあるものも特にない気がする。



 「それで?どうすんのよこれから」



 すると、ふいに寺嶋さんにそう聞かれた。そうだね、この先のことは特に何も考えてなかったし。作戦をたてなきゃ。その為の話し合いなのだから。



 「うーん、作戦とは言ってもなぁ……簡単には浮かばないよね。何かいい案がある人いないかな?」



 そこで僕は他の三人に意見を求めてみることにした。何か良い案が浮かんでいる人だっているかもしれない。しかし、



 「そう言われてもねー。私、アイドルだからわからないわ」


 「――――」


 「俺は考える気にもなんねぇ。殴って終わりで良いじゃねえか、何を考える必要があんだよ」


 「でもさっきそれで吹っ飛ばされたのは誰なのさ」


 「――ちっ」



 だけど、それでも話は進まない。ていうかみんなそもそも考える気はあるのかな!?アイドルだからって……うん!やっぱり関係ないよね!?もう一度考えては見たけど一切関係ないね。何言ってんだろこの子は。勇吾に至っては反省の色が見えないし。初乃ちゃんは……。



 「あのー私は一つ提案があるのですが……」


 「でかした初乃ちゃん!」



 ここで救世主が現れた。彼女なら僕らに良い打開策を授けてくれるやもしれない。僕は期待も込めて彼女の名を呼んだ。



 「それで、作戦というのは?」


 「えっと、それはですね……」



 ようやっと、僕らの反撃が始まる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「おーう、いやがるいやがる」


 「ホントにおぞましいわね、あれ」



 彼らの言う通り再びやって来たスタジオの中心に奴はいた。今も瘴気を散らしながらあそこにいる。しかし、どうも様子がおかしい。なぜならあそこは本来この番組の司会者が腹を抱えて笑っていたはずの場所だ。でも、今そこにそのシュールな状態の司会者の姿はない。



 「ねえ、あそこにいた司会の人は?」



 僕は彼のことを同じ番組の出演者として多少は詳しいであろう寺嶋さんに話を聞く。幸い奴もまだこちらには気付いていないみたいだ。しかし、返ってきた返事は、



 「知らないわよ。誰か動かしたんじゃないの?」


 「え?」



 わからない、というものだったんだ。戸惑う僕は他にも意見を仰いだ。しかし、他の二人も知らないの一点張りだ。――何か嫌な予感がする。



 「ねえ、一回あいつをじっくり見ておかない?そしたら実は動けるようになったとかで司会者の人もひょこっと現れるかもだし、僕らみたいに動き出す人が出てくるかもしれないよ?」



 だから僕はこう提案した。これでしばらく様子を見ていれば何かがわかるかもだし、それがどういう結果であれ僕たちはそれを受け入れないといけない。だから僕はここで見ていたかった、希望を持って。



 「まあ、いいわ。急いでるわけでもないしね」


 「――隙があれば殺る」


 「別に構いませんよ?」



 うん、途中物騒なことも聞こえた気がするけど、きっと照れ隠しだ。華麗に流しておこう。とにかく、そうして僕らは奴の行動を覗いておくことにしたんだ。



 幾らか時間が流れた。僕らはあまりの変化のなさにそろそろ攻撃を考えていたんだ。でも、それでも僕らはまだ手を出さなかった。



 ――その結果、僕らの前で、人が一人、喰われた。



 「ああん?」



 勇吾が小さく吠える。



 「――嘘でしょう?」



 寺嶋さんが言う。



 「あっ、あああ……」



 初乃ちゃんが嘆く。



 僕は、ただ――



 「は、ははっ……」



 小さく笑っていた。


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