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第四十話 現実においてゲームが役に立つ日が訪れたんだね

 昨日は申し訳ないです!

 テレビ局の大広間にて、初乃ちゃんの話は続く。



 「それで、それは一体どんなスキルになるのかな?」



 僕が尋ねる。僕のとは違って名前だけ聞くとかなり強そうな気がするけど、実際のところどうなのかというのはやっぱり本人たちの口から聞かないことにはわからない。故に僕は彼女に説明を求めたのだ。すると、彼女は自らのスキルについて語り始めた。



 「私のスキルは『聖戒』です。能力としては……そうですね、光属性以外の魔法を使えなくなります」


 「それは決して良いことではないよね?」



 僕は初乃ちゃんにそう問いかける。しかし問いかけるとはいってもそれは話を聞いている寺嶋さんからしても、ましてや僕からしてもその答えは聞くまでもないこと。あくまでも僕は確認という形でそれを初乃ちゃんに聞いた。



 「もちろんそうだと思いますよ。そもそも他の属性の魔法とか言われても、私は見たことも使ったこともありませからよくわからないのですが」


 「でもそんなのどこにメリットがあるのよ。聞いた限りではどこも強くなんてないじゃない。なにかその代償の代わりに得られるものだってあるんじゃないの?」



 僕も思っていたことを寺嶋さんが初乃ちゃんに言ってくれた。いや、実際そうであるはずだ。じゃないとさっきの勇吾の超回復の説明がつかないし、彼女の話にはどこか含みがある気がする。



 「はい、その代償に私は光属性を操れるようになっています」



 操る?魔法を使えるとかじゃなくて、操るなのか?まだそこらへんのことまで理解が追い付けていない僕は、彼女に追って質問した。



 「その操るっていうのは具体的にどういうことなのかな?」



 俯いて少し考え込む初乃ちゃん。だが少し考えると答えは出たようで、すぐさまその顔を上げて、



 「すみません、この感覚というのは説明しづらいんです。ですが、光を用いたイメージを頭に浮かべるとその通りになってくれて……」


 「なるほど。魔法みたいにやることに縛られないのか」



 つまり、よくRPGのゲームなどである魔法――例えば「ファイアボール」とかいう魔法を覚えて使用したとして、それは結局は名前の通りただの火の玉だ。しかし、彼女の場合はその火の玉をイメージすることで、実際には覚えていなくとも本物に近い、擬似的な「ファイアボール」を放てるということになるのかな。それは確かにすごい。



 「それで、光属性は回復が中心みたいで……もしくは私の想像力が悪いのかもしれませんが、あまり攻撃的なことが出来ないんです」



 「そうなると、さっきのそこのバカの回復は妹のあんたのスキルによるものだってことね?」


 「はい、そうなります」



 最後は寺嶋さんが結論を出してくれた。うん、これで彼が死なずに済んだ謎は解けた。となると、次は兄の方のスキルはどういう感じなんだろう……。



 「それで兄さんの方なんですが、兄さんの『邪戒』も私と似たようなもので闇以外の属性の魔法が使えなくなりますが、その代わりに闇属性を操作できるようになります」


 「本当に初乃ちゃんと似たようなスキルだね」


 「はい、ですが私と違って攻撃にばかり特化しているみたいです。それにイメージが難しいみたいで、スタジオに試しに穴を開けた時は成功したのですが、さっき死にかけた時のパンチではその手に闇属性を纏えていませんでした」



 気になっていたら、丁度タイミング良くその話を始めてくれた。それにしても兄弟だなー……二人揃って同じようなスキルを得るなんて。というか、そう考えると僕のスキルって結構しょうもないんじゃないかな?勇吾は試しで建物に穴をあけたんだよね?そう思うとなんだか自分が惨めになってきた。



 「でも、それをお互い把握していたにしてもかなり良い連携がとれてたよね?それはなんでなの?」



 そこで僕は話を移す。これも気になっていたことで、兄妹……それも双子ということを踏まえても、明らかに上手くいっている連携だった。その理由聞いておきたかったんだ。すると、初乃ちゃんはそんな僕と寺嶋さんを拍子抜けさせる回答をする。



 「ああ、それは私と兄さんがゲームが好きだからですね!よく一緒に協力してやってたりしてましたし、その役割も私が回復で兄さんが攻撃役だったので」



 こんな馬鹿なことがあるだろうか。ゲームをやっていたおかげで、彼らは上手く戦えるらしいのだ。ここに陽太を連れてきてやりたいよと僕は心底思う。きっと彼にこんなスキルがあったら無双しちゃうんだろうなー、ゲームだけなら散々やってたし。でもこんな強いスキル、陽太に得られるとも思えないんだけど。



 ――そう思う悠斗は、陽太が全属性を操るスキル持ちになっていることなんか知る由もないのだった。


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