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第十九話 小屋の中にて

 少しリザのスキルに詳細を付け加えました。


 「んじゃまあ、一回整理しようぜ」


 「はい、そうですね」



 小屋の中のダイニングのような場所で、俺とリザは机を挟んで向かい合って話をしていた。リザに案内されて入ったこの小屋だが、その外観と同じく中もいささか質素なものだった。玄関から入って左手にはキッチン。向かいには扉があり、その反対側にも一つ扉が。そしてこの部屋のほぼ中央にはやや大きめの机。以上、説明終わり。中々簡単な作りだな。こういうのも趣があって俺は結構好きだけど。



 それで、案内された後俺はここでリザのここに来た成り行きを聞いた。成り行きとは言っても、リザ曰く、「目が覚めたら既にここにいたんです」とのことだったので、その後の話を聞かせてもらっていた。泉で溺れかけたとか、森の中で変なのを見たとか……なんか色々大変だったみたいだ。



 「つまり、ここには俺とリザ以外には誰もいない。ただし食料は結構あって、飲み水も泉の水とは別にそこの食料庫的な所に入っている。そんで部屋ももう一つあるから俺が住む分には問題はない。そしてここから出ようにも外には変なのがうろちょろしてて厳しそう。え、マジでどうしよう。ってことであってる?」



 「はい、そういうことであっていますね」



 落ち着いた面持ちでリザが頷きながら言う。確認してみたところこれでオーケーらしい。なるほど。それじゃあ次はこっちのターンだな。



 「俺の方はさ、正直よくわかんないんだ」



 リザがキョトンとした顔でこちらを見る。あらやだ、可愛い!



 「どういうことなんですか?」


 「あーー、話すと長いんだよな、これが。取り敢えずざっくり、すっごく要所要所を端折って言っちゃうとね」


 「はい」


「俺死んでるんだよ」


 「なるほど……それは大変でしたね。私も幸い死ぬことはなかったので」



 うん、そうそう。人間死んだら終わりだからね。ってあれ?全然驚かないねこの子。なんかもうちょっと激しいリアクションを求めてたんだけ



 「―――――って、えええええええっ!?」


 「うわあ!びっくりした!」


 「ご、ごめんなさい!ちょっと頭が追いつかなくて……」



 急に席から飛び上がって驚きだすリザ。いや、遅えよ!逆に驚いたわ!でもまあ、そうだよね。「俺死んでるんだよ」とかこんなピンピンした奴に言われたらそりゃ驚くわな。いや、こういう反応を求めてたんだよ俺は!そして驚いてるこの子もほんと可愛い。



 「いや、仕方ないよ。自分でも相当突飛なこと言ってる自覚はあるからさ」


 「はい、頭がおかしな方なのかと思ってしまいそうです」


 「しまいそうです!?まだ頭のおかしい方認定される可能性はあるってこと!?」


 「そうなってしまいます。ごめんなさい。でも気持ちは察して欲しいです」



 そりゃあそう思われてもおかしくないけどさあ……そこまで純真無垢な顔で言われると結構堪えるんだけど。



 「まあその不名誉は後々挽回させてもらうとして、大事なことがあるんだ」



 俺は表情を真剣なものに変える。これはここを出るためにもかなり重要になってくる話だ。リザも俺の表情から察してくれたようで、こちらへと耳を傾けてくれている。俺は本題に入る。



 「ステータスってわかるか?」



 俺から出た言葉の意外性にリザは少し不思議そうにこちらを見る。



 「ステータス、ですか?ゲームとかでよく耳にするようなあの?」


 「ああ、そうだ。そのステータスで合ってる」


 「それがどうしたんですか?」



 それを知ってますます不思議そうにするリザ。それもそうだろう。でも別に俺は真剣にゲームの話がしたいというわけではない。まあ別にしても良いんだけどね?



 「よくわかんないんだけど今、俺はそのステータスってやつが見えるんだよ。さっき森にいたやつもそうだし、多分・・人間相手にも」



 正直なところまだ人間相手に『神魔眼』を使ったことはないから、本当に見えるのかはわからない。でもあれのステータスが見れて人間のが見れないとかそんなわけないだろ、という憶測の元に話を進めている。そういう意味での多分だ。



 「それは冗談とかを抜きにして、ですか?」


 「ああ。冗談抜きで、絶対だ。この命を懸けたって良い」


 「えっと、でも死んでるんですよね?」



 痛いところを突いてくるぜこの子!でも本当なんだもん。信じてもらいたい。と思っていると、またリザがその口を開いた。



 「……でも実際、私の身の回りではわけのわからないことばかり起きているので、それくらいのことならあってもおかしくないのかもしれません」


 「つまり?」


 「信じてみようと思いますっ」


 「マジか!」



 両腕を胸の前でグッと握り、笑顔で言うリザ。ま、眩しい!ここ最近延々と照り続ける太陽なんかが消えかかった豆電球に思えるくらいの眩さ!いずれはリザを教祖とした宗教団体が完成することだろう。



 「んんっ?何かおかしなことを考えていませんか?」


 「考えてないです」


 「だったら良いんですが……」



 まあ何はともあれ信じていただけたようなので、確認させて貰おう。リザのステータスを。



 「てなわけで、リザのステータスの確認をさせて貰ってもいいか?」


 「はい、大丈夫です」



 では早速……『神魔眼』発動!!



=========================================


名前   リザ


 Lv1

 ・HP 30

 ・MP 20

 ・AP 10

 ・DP 20

 ・SP 30


 種族   人間


 性別   女


 年齢   16


 スキル   『レベル吸収ドレイン

 ・指定した相手のレベルを半分吸収する。(しかしどちらかが戦闘不能になった時、互いのレベルは元に戻る)


=========================================


 「ええっと?つまりこれは?」


 「どうだったんですか?私のステータス!」



 よほどウキウキしているようで、リザはとても楽しそうに聞いてくる。



 「そうだなあ、リザのステータスなんだけど……」



 そんなリザに、俺はその可憐な姿には似つかわしくない物騒なステータスを見ての感想を、正直かつ簡潔に伝えた。



 「ただのチーターだったよ。」



 ……まさかのチート性能でした。


次回はリザのスキルについてです。

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