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プロローグ

 よろしくお願いします。




 異世界という単語を聞いて、俺たちは何を思うだろう。



 異なる世界と書いて異世界と読むわけだから、今いる俺たちの世界と異なる世界であれば、それはみな異世界と呼べるはず。

 そう定義付けると異世界の形というのも当然、想像主によって様々。

 自分が最強である世界も、自分がIQ200である世界も、自分がいくらお菓子を食べても太らない世界も、自分が亡国の姫である世界だって。



 つまり異世界と聞いたときに、ロマンを感じる者もいれば、場合によっては切ない気持ちになる者だっているはずで、各々が一度は望んだであろう理想的な自分なりの異世界というのが、胸中にはあるわけだ。



 だからこそ俺たちは異世界に憧れ、異世界を夢想する。

 現実では有り得ないことでも易々と叶ってしまう理不尽な世界に、期待してしまうのだ。



 そしてここにも、その崇高な存在に縋る者がいた。



 一縷の光を除いて真っ暗な部屋の中に、儚い光に照らされた一人の嗤った人物の顔が見える。

 そう、「笑った」ではなく「嗤った」だ。

 なんせ光の弱々しさもあってか、その人物の表情は酷く薄汚く見える。

 とても健全な人間のできる表情ではない。



 そんな空間にようやく一つ、声が漏れる。



 「――これで……ようやくだ……」



 光と同じでか細く、拙い、今にも消え入りそうな声だ。

 しかし、それと同時に不思議とその声からは深い生命力を感じた。

 深い、深い、不快な生命力だ。



 「二つが……一つになる……理想が……現実になる……」



 またも漏れた声。

 しかし今度は安堵の感情が伝わってくる。

 この者が一体何を成そうとしているのか、何を思っているのか。

 それを理解することのできる人間は、今ここにはいない。



 ――だが、こうして。



 新たな世界と特異点の物語が、創造された。



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