朝には弱い系勇者
『お兄ぃちゃんっ! 』
「ゆ.....り......? 」
枕から少し首がずれた事で沙代称江は目が覚めた。
「.....ニ....ハハッ.....夢...っか....」
ベットから身体を起こして目覚まし時計の時間を確認する。
刻は6:57分
目覚ましのアラームの設定は7:00になっていた、
「3分ねれたじゃねぇーかっ!!!」
枕を殴る。
さてと、ベットを直して下に降りる、リビングのテーブルの上に手紙と朝食がラップを被らされた状態で並んでいる。
「あー、ユリいねーのか.....いや、」
8主神会談は昨日の17:00だ、ここに料理が並んでいるのには少々違和感がある
確かにこのラップにはラップを取るまで出来たてのままという特殊(非常に便利)なユリの恩恵が施されているので、17:00前に作った可能性もある、が
俺が寝たのは21:00 (少し疲れてたから物凄く早めに寝た)
さすがにリビングのテーブルに料理が並んでいたら気がつく、夕飯テーブルで食ったし
ということは
「なんか問題あったな....こりゃ」
多分、何か問題があって途中で会談が中断になって家に何か取りに来たとかそのあたりだろう、仕事終わるまでなにもしてやれないし考えるのをやめよう。
顎に手を当てながら、手紙を手に取る、
『朝食作っておいた.....ラップを取るまで冷めないので食べるときまでは取らないでおいてほしい、それじゃあ、また明後日かな? 』
「バーカ」
手紙を裏返す
すると紙の右隅に
『タタエ.....帰りはちゃんと定時にしてくれよ.....私は結構寂しがり屋なんだがらな.....』
「やべぇ、めっちゃ可愛い」
ユリがいたらそのまま襲いたい気分だったが、いないのでその欲望を今日の朝食にぶつける事にした。
朝食を済ませ、食器を洗い、テーブルを拭き、歯磨きをし
現在着替えの段階なのだが、昨日まで血まみれだったジャージが綺麗になって綺麗に畳まれていた、
しかし問題はそこではなく、上にある置き手紙part2だ。
「どれどれ」
『タタエ、ジャージが動きやすいのもわかるがちゃんと正装で行ってほしい.....神としての私の顔もあるんだ、ジャージの横にあるからそれを着ていけ』
「ジャージ動きやすいんだよ」
しぶしぶ手紙を置きながら横に置いてある白い半袖の衣装と漆黒のコートを羽織る。
時刻は現在7:40分、
パチンッと称江が指パッチンをすると羊皮紙が上から手にゆっくりと落ちてきた。
「8:30までに到着で、9:00から仕事開始かな.....」
羊皮紙の下に書いてある時刻だけ軽く読んで羊皮紙を上に投げる、
するとパッと羊皮紙が跡形も無くなった形で消える。
「30分前行動とか当たり前だよね.....ん?」
玄関の横に弁当袋が置いてある、弁当まで作ってくれたのか......、また置き手紙part3があるが、食べるときに読もう。
弁当袋をもって玄関の扉に手をかけて外にでた、
玄関の外は、別の世界の神様がいる場所につながっている、 なので玄関を出てもお日様があって道路があってとかいう普通の空間ではなく、
空間そのものがないところにでる、
見渡す限りの灰色で自分が立っている床も同じ風景で視覚情報からはなにを踏んで歩いているかもわからない。
「さーてと......こっから20分もあればつくよな」
コートのポケットに手を突っ込みながら歩き出した。
〜とある世界〜
「では、異世界召喚を行います、王、よろしいですね? 」
「うむ!早くせよ! 」
中央に大きな魔法陣のようなものがある大きな広間にその魔法陣を囲うようにローブをきて大きな杖を持った人達が数人、その上の玉座に座った肥えた中年のオッサンが1人
そしてその魔法陣の中央に様々な鎧や武器をしている人達が8人。
「国王様.....我々は本当になにもしなくてよろしいのですか.....? 」
中央の8人の中の1人が玉座に声をかける。
「良い!そなたらはなにもせずしてこの私の役に立てるのだ喜ぶが良い!」
先ほど声をかけた1人がちょっと不思議な顔をうかべる。
「.....ただ、」
国王が突然声色を変える
「ちいと死んでもらうがな」
その言葉に8人が一斉に「なっ!? 」と声を上げた
「やれ」
国王の合図に杖を持って魔法陣を囲っている者全員が杖を上に上げる
「やめろおぉぉおおおおお!!!! 」
8人の1人が絶叫したが、それも虚しく魔法陣は青く光り出し、一瞬にしてその8人の姿を消した。