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ウォーターガン  作者: はる
序章
4/6

3 報告

今まで書いてなかったので、人物紹介です。(名前だけ)


初めての武器(銃)の製作者、《鬼原 勇太》 (とがし ゆうた)

初めての武器の被害者、  《奥泉 誠人》 (おくずみ せいと)

事件を収めた真面目くん、 《成田 魁》  (なりた かい)



'15,10/20に変更しました。

「ふむ、武器の誤制作か……」

 事件のあった日の夜、その旨がこの学校の校長兼国家工場新人育成部部長に報告された。

 はじめこそ驚いていたが、すでに彼はいつもの落ち着きを取り戻している。

 と言うのも、傷害事件そのものは初めてではないからである。

 もちろん、刃傷事件などではない。

 たとえば魔法で生み出した熱湯の操作を誤り放出してしまい周りの人が火傷を負うことや、爆発物を誤爆させてしまうこと。あとは制作時の失敗作だ。手慣れた作業員がつくる分には失敗などまず起こらないが、そうではない新人や、新作をつくるときに発生することがある。とはいえ、それが原因で傷害事件が起こるのはごくごくまれなことだ。

 現在時点で事件と呼ばれるもののほとんどが地球でいう事故と同様なもので、それこそ当人が悪意をもって事件を起こす件は極めて少ない。

 それは思いつかないからであり、普通はそんなことをする余裕がないからである。

 今は統合や企業化が進み裕福な人もいるようになったが、それでもまだまだそう言った人は少ない。昔のように明日生きていけるかわからないというほどでもないが、それでも自給自足である。たとえ不作だとしても、普段から持ちつ持たれつの関係が成り立っている以上、奪い合いなどは起こらない。つい数十年前に大飢饉が発生したが、過大な備蓄とわずかながら収穫できる食物で乗り切ることができた。それを踏まえて現在は食糧保存の研究も進んでいる。飢饉が二年連続で起こることはまずあり得ないから、食糧の奪い合いは起こらないだろう。

 また、こうして暮らしているため人口爆発も起こりえない。家族を増やして収穫量を増やそうとする者もいるが、そうなる前に食糧がなくなり諦めるのがオチだ。

 家のある土地も昔から引き継がれてきたもので奪い合いになることはない。

 相続関係も問題なく、わけるくらいなら一緒に住もうというのが基本的だ。

 そもそも男女の二人兄弟と言うのがこの世界では一般的で、そのうち女の子供は嫁に行き男の子供は嫁を迎えるため結局問題なく次の世代に引き継がれていくのである。

 この星で貧富の差など無いに等しい。それこそ現在は企業などのトップが地位の高さ分裕福だが、他の人はほとんど同じだ。もちろん不作や事故、災害などで暮らしていくのがつらくなる人もいる。だが、そういう時は他の人がその人を自分のところへ引き込むのだ。引き込んだ人はそれにより収穫量が上がり、引き込まれた人は生活していくことができる。お互いに利のある関係になるのだ。そう言った面で地位や権威の差はあるが、普通に暮らしている分にはそれはさほど影響しないのである。

 だから、この世界では犯罪はない。

 それは必要ないからで、そして不可能だからだ。

 必要がないことについては今話した通り。

 不可能と言うのは、まず個人の力は皆ほとんど同じなのである。

 何かの大会などがあるわけではないから特別鍛えている人はいなく、だからと言ってほとんどの人が農作業をしているため筋力や体力はそれなりにある。

 このとき、たとえば他の家に盗みに入ったらどうなるか。

 そもそも自分と関係のある人の家には入れないから離れた、知らない人の家に行く必要がある。

そして、仮にその人の家に誰もいなかったとしても、その敷地内にだれもいないということはまずあり得ない。飛び地などは存在しないわけだから基本は家にいるか、それに隣接する田畑にいるだろう。

物の交換に行くにしても全員で行くことはそうそうないだろう。

だがそれをあることにして、敷地に誰もいない状態だとする。それでも、誰にも気づかれずに進入することは不可能だ。

それは近所関係がものすごく活発なこの星だからであり、そもそも公共の道が存在していない。道のような場所はあるが、そこは誰かしらの土地の一部なのだ。

だからこそ、そもそもその家に侵入するまでに色々な人の敷地に入ることになり、そしていろいろな人に見られるのである。

これで盗みが成功したとしても、必ず見つかってしまうだろう。

 自分の生きていくための物が盗まれては、盗んだのが子供だろうと笑い事では済まされない。ただ、それを取り締まる警察のような機関はこの星にはなく、だからと言ってその犯人を野放ししておくわけにはいかない。

 となると、結局その犯人は盗んだ家に引き込まれるのである。もちろん、その時は犯人の家族やその家、土地もろともになるだろう。

 ただ、こうして引き込まれても後々まで犯人に対する不信感は残る。

 だから、結局引き込まれるなら自分から自分を売りに行った方がいいという考えに落ちこむのである。

 だから盗みは起きない。

 そして、武器など人を傷つけられるものがない以上、戦うとしたら素手と素手との戦い。

 ただ、この星の人の性格上、それを嫌うものが多い。

 見ていて進展が分からず、なかなか決着のつきにくいものが嫌なのだ。

 だから分けたり一緒にしたりと言う発想になる。

 話を元に戻すと、今までの傷害事件はほぼすべてが事故で悪意のないものだった。

 今回も同じように悪意はないのだが、これが知れ渡るといろいろと問題が起きてくる。

 一番は他人を気付つけられる道具が誰でも作れるようになってしまうということ。

 話を聞いただけではわからないかもしれないが、あの場にいた人なら作れる可能性がある。一度現物を見れば作れる人はたくさんいる。そうなれば、瞬く間に武器が流通してしまうだろう。

 もしそうなると、統制ができなくなってしまう。今だからこそ、お互いを思って生きていけるが、武器をもって一方的に取引が行われた場合、そしてそれが武器同士の争いになってしまった場合、手が付けられなくなってしまう。

 だから、彼はこの日の出来事を秘匿するよう命令した。

「だが、もしすでに漏れていたら……」

 現在、この件について一番情報があるのは何言わすこの報告用水紙(水紙:色の違う水を使って、絵や文字がかけるもの)だろう。これには加害者、被害者、そして第三者からの情報が載っている。ただ、出来事ではなくそのもの――武器の情報は、一番加害者が知っていて、次に被害者が知っているだろう。

「ただ、加害者――鬼原君が漏らすとは思えない」

 それは、自分が加害者だからではない。まず、性格上そういうことをする子ではないということを知っている。そして、この子は怪我を負わせたときに震えていたという報告がある。

 これを踏まえて彼は鬼原を、秘匿のことを伝えればそれだけで問題ないと判断した。

「問題は、奥泉……」

 彼は有名な工場の社長の一人息子だ。

 情報さえ入れば作ることは簡単だ。

 そして彼は父の性格を引き継いで利益をとことん得ようとする人物だ。

 こんなうまい情報を逃すはずがない。

 この情報が父に伝われば、父はすぐに作り出すだろう。

 そして、あの工場のことだからすぐに完成することだろう。

 校長兼国家工場新人育成部部長、もとい小見はそう予想した。

「今更秘匿を流しても無駄だろうが……」

 そう言いながら、秘匿を命令する名簿に奥泉の名を加えた。

「だが、もしもがある。一応上層部に報告してこちらも秘密裏に制作にあたるか」

 最悪自力で作れなくても、こっちには製作者(鬼原)がいる。

 彼には悪いが聞き出すことはできるだろう。

「うむ。今日のところはこんなものか」

 小見は机の上に乗っていた水紙をすべてしまい、席を立つ。

 そしてそのまま部屋を出て、照明(虫眼鏡のレンズのような形にした水で夜空の星の光を集めるもの)を消した。


少なくとも、序章はひたすら説明回になりそうです。

すいません。


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