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第6話 謎解きとゲームの終わり


「そこまでです。戦闘を終了してください。」


亜希の声が響き、零次は手を離す。


「ふぅ、疲れた。」


ポケットに手を突っ込んだまま壁にもたれかかりため息をつく。


「おい、お前が言うなお前が。」


それを聞き零次が、いや零次の変装をしていた雅史が文句を言う。


「こちとら爆発の余波を浴びた上に思い切り蹴られて拘束されたんだぜ、お前何もやってねーだろうが!」

「失礼な。俺だってちゃんとやったぜ。こいつを投げ飛ばしたじゃねーか。」

「…それだけじゃねーか。はぁ…疲れた。」

「冗談だ。お疲れ、ありがとよ。」

「おう。」


零次たちは労をねぎらうと亜希に向かいあった。


「で、この勝負俺の勝ちでいいんだな?」

「ええ。私を始め審判全員があなたたちの勝利ということで一致しました。」

「よし。これにて一件落着。」

「…そのセリフあってないぞ? それは桜をみせながらやるもんだ。」

「いいんだ。ここで肌を見せるわけにいかないだろ? なんだ、それともお前が見せるか?」

「…んなわけねーだろ…」


零次は途中からやってきて、いらないことを言った翔太を逆にやり込める。


そんな呑気な会話がいつまでも続くわけもなく、今回のゲームの原因、裕也が口を出してきた。


「これは一体どういうことだ? なぜ、俺は負けている?」

「教えて欲しいか?」

「もちろんだ。お前は啓介にやられて恭二に拘束されたんじゃないのか? いや、そもそも恭二は零次でもなかったと…」

「ふっ、落ち着け。順に教えてやる。」


零次は堰を切ったように話し始める裕也を遮ると言った。


「何が聞きたい?」

「…謙也は裏切ったのか?」

「いいや、あいつは裏切ってないさ。彼は拘束されただけだ。」

「つまり…雅史が零次に化け、その上から謙也の変装をしたということか?」

「その通り。」


ーー


「まず、直樹と翔太が裕也と反対側の教室に侵入した。ボールを投げている謙也と恭二を拘束するためだ。これは雅史を助けるためではなく、俺と雅史が謙也と恭二に変装しないといけないからだ。それはうまくいき、二人は無事拘束。やられたふりをしていた雅史と、近くの教室に潜んでいた俺は二人の変装に成功した。」

「それで俺たちはお前らが後ろから来るのに気付かなかったのか…」

「後は簡単。俺は恭二に、雅史は俺の変装をした上で謙也に変装。雅史が先に教室に入り、啓介を倒す。後から俺が入り、お前に近づいて、終わりだ。」


零次は今回の作戦を簡単に説明した。しかし、やっとダメージから回復した啓介が疑問を挟む。


「ちょっと待てよ。あの爆発は何だ?」

「ああ、あれか…」


零次は苦笑して言った。


「あれはドライアイス爆弾だよ。ペットボトルにドライアイスを入れてお湯を入れたんだ。知ってるか? ドライアイス爆弾って量によってはコンクリートブロックをも破壊するんだぜ。」

「そんな危ないものをよくも!」

「悪いな。ちゃんと威力は調節したんだがな。」

「調節したって言ったってあんな破片が飛んできて気を失ったんだぜ? 流石におかしいだろ?」

「破片? ああ、それは破片じゃないよ。あれはボールだよ。」

「ボール?」

「ああ。爆発と同時に高速で投げて一時的に脳震盪を起こさせたんだ。」

「そ、そうか…それにしても何でここまで…」


啓介は零次に問いかける。そこにはここまでして勝ちたいのか、という無言の思いが含まれていた。


「ああ勝ちたいさ。俺はあいつらに勝ち、この学校を解放する。その為には俺がリーダーにならないといけないんだ。その為なら俺は何でもする。」


零次はその問いに真摯に答える。


「…わかった。俺はお前についていく。」

「「俺もだ。」」


啓介は零次を信じ、ついていくことを決めた。それを見て恭二と謙也も零次のもとについた。


「お前はどうする? 裕也。」


零次は未だ沈黙したままの裕也に声をかけた。


「…すまなかった…俺のせいで貴重な時間を奪ってしまった。俺はお前についていく、何でもするから役に立たせてくれ。」


裕也は顔が地面に着きそうな勢いで頭を下げそう言った。


「いいさ、もう手は打ってある。これから頼むぞ、裕也。」

「ああ!」


こうしてゲーム開始まで数十分を切ってから零次のクラスはまとまった。


ーー


「…ゲームは終わった。これからは戦争、覚悟しなければ…俺は何としてもこの学校を解放する!」


零次は拳を握りしめ自分に誓った。


「その為にはなんだってするぜ。覚えておけ、テロリスト共。この俺を敵に回したことを後悔するんだな。」



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