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第4話 操り人形

放送が途切れ、静まりかえった教室。零次は重い口を開いた。


「…みんな、聞いてくれ。先生のことは残念だったが、俺たちはこれからのことを考えなければいけない。一週間後に俺たちが生き残れる確率は5分の1なんだから。まずはどうするか話し合おう。みんな意見を出してくれ。」


時間を無駄にしないために、これからどうするかみんなに問いかける。同時にこれは零次がこの件について主導権を握ることを暗黙の内に分からせるためでもあった。クラスのほとんどが頷き、それはうまくいく、様に見えた。


「ちょっとまってもらおうか、どうして君が仕切っているんだ? ここは親が警視正であるこの僕がみんなをまとめるべきではないのか?」


ふむ。これはこれは…


成績優秀でスポーツ万能、その上イケメンという典型的なリア充である、橋本裕也の参入に零次は心の中で軽く頷き、ニヤリと笑う。もちろん、そんな思いは微塵も見せず、悲痛な表情を保ち応答する。


「そんなことを言ってる場合じゃないだろ? 仕切ってるわけじゃなく、ただみんなに聞いただけさ。」

「今はそれでいいとしてもこれから一週間乗り切るのに優秀なリーダーは必要だろ? それに僕がなる、って言ってるんだ。」

「優秀なリーダーねぇ…お前は自分がそれに足る人物だと思ってるのか?」

「もちろん。成績優秀で、その上キャリア警察官僚である父の教えを受けてるんだ。優秀でないはずがない。」


まいったな。これは予想以上の面倒くささだ。零次が悩んでいると、それを否定と見て取ったのか裕也が偉そうに言ってきた。


「そんなにリーダーになりたいのならこの僕と勝負しろ。勝ったら君をリーダーとして認めてやろう。」

「やれやれ、誰もリーダーになりたいとは言ってないのにねぇ…いいだろう。その勝負のった。」

「言ったな! 後で後悔するなよ!」

「もちろんだ。」


後悔なんかするはずがない。なぜならこれは多少違ったとしても俺が想定した通りの筋書きであり、俺が負けることなどありえないのだから。零次はまた心の中で笑うと早速彼とルールの設定に入った。


今回はリーダーを決める闘いであることから一対一ではなく、部下を率いての小隊戦闘になった。勝利条件は大将が負けを認めることである。1チーム4人で全員を倒す必要はない。大将が倒れたら負けだ。他の生徒は動けない、と判断されたら戦闘不能となり、ゲームから脱落する。チームメイトは自由に決めて構わない。ただしこのクラスの生徒に限る。戦闘不能の判断はクラスの女子が務める。開始時刻は30分後でフィールドはこのフロアの上下だ。


これだけを決めると零次は修を呼ぶと廊下に出た。


「頼みたいことがある。」

「なんだ?」

「実は…」


そう言って零次は修に囁く。聞き終えた修はため息をつき、


「…お前は…全く、最高だよ。素晴らしい。」

「やってくれるか?」

「ああ、せっかく俺を信用してくれてるんだ。応えてやるぜ。」

「どうも。はぁ…こういうのって大抵部下が美少女なんだけどなぁ…俺の場合は違うのか。」

「さっきから美少女美少女って。いい加減殺すぞ、おい。」

「冗談だ…頼むぞ。」


真剣な表情になるともう一度言う。


「おう。」


修も見つめ返し、頷く。


修との会話を終えると零次は適当にいつもダベってるメンバーを集めると校外に出た。


30分後、教室は静寂と緊張に包まれていた…一部を除いて。


「前から思ってたけどお前の趣味なんとかならねーのか?」


零次が1人に向かって言う。


「それなー、俺も思ってた。」

「趣味は人それぞれとは言うけどさー流石にあれは…」

「しゃーねーだろ、好きなんだから。」

「でもさー俺たちまだ16歳だろ、年齢誤魔化してそんなゲームを買うのはどうかと…ンムギュ!」

「そこまでだ。俺はまだこのクラスで学級裁判の被告人になって自主退学を勧められたくないんだよ。」

「安心しろ、これが終わったらじっくり裁いてやるよ。」


零次たちはこれから闘いがあるというのにいつものテンションだった。


「おい、お前ら! 準備はいいのか?」

「もちろん。いつでもオーケーだ。」


それを聞いて今回女子たちの話し合いの上で主審に選ばれた、大塚亜希が宣言する。


「では、始めます。私が「スタンバイ」と言ってから1分後に2人の携帯にメールします。それが試合開始の合図です。ルール違反はその時点で失格です。私達が見てますからズルしないように。」


零次はポケットに手を突っ込んで、裕也は零次を睨みつけて、開始を待つ。


「いきます。「スタンバイ!」」



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