表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

第3話 対応〜警察side〜

今回は警察サイドです。


3/29修正しました

ーー警視庁刑事部捜査第一課特殊犯捜査第一係


プルルルル プルルルル


デスクがひしめき合うオフィスに電話の音が響いた。


「はい、特殊犯捜査第一係。」

「管内で立てこもり事案発生。直ちに臨場せよ。場所は都立相楽高校。」

「了解。」


特殊犯捜査第一係係長、梶田智宏は受話器を置くと叫んだ。


「警視庁より入電。管内で立てこもり事案発生。これより臨場する。場所は都立相楽高校だ。」

「了解!」

「学校か…無事だといいが。」

「相楽高校と言えばあそこか? つい数年前に新校舎が完成したばかりの。」

「だろう。まさかできて5年も経たないうちにこんな目に合うとは思ってもいなかっただろうがな。」


係員たちは話しながら準備を整える。梶田が率いる特殊犯捜査第一係は刑事部捜査第一課に所属し、SIT、特殊犯と略され、誘拐、立てこもり事案を担当する。係員は部屋を出、装備課を訪ね拳銃、ベレッタM92を受け取った。SITはその任務の性質上、臨場する際は基本的に拳銃を携帯する。通常の警官が持つリボルバー式ではなく、オートマチックだ。突入するのは最後の手段であり、滅多にすることはないため護身用だが。


「ほら行くぞ。話は車の中だ。」

「「はい。」」


通信指令センターからの連絡から10分、第一係は現場に臨場した。


「状況は?」


到着した梶田は車から降りるや否や、現場にいる機捜の隊員に声をかけた。


「まだなんとも。逃げ出した事務員の通報で交番の巡査長が急行。それから数分後に巡回中の我々が到着したところです。」

「そうか。取り敢えずここを封鎖してくれ。」

「はっ!」


機捜の若い巡査は敬礼をすると走り去った。


「係長、前線本部はどうしますか?」

「今管理官から命令があった。校門前のビルに前線本部を設置しろとのことだ。既に許可は取っているらしい。」

「了解。」


梶田の指示を受けて班長と係員は車から各種機材を取り、向かいのビルに運び込んだ。梶田も学校を見上げると指示を出すため前線本部に向かった。


ーー警視庁内に設置された対策本部


「状況は!?」


対策本部となった会議室に寺田隆行捜査第一課長が足取り荒く入室してきた。


既に対策本部に詰めていた木下敏史管理官が答える。


「現場は相楽高校。相手の武装は少なくとも短機関銃(サブマシンガン)、拳銃を所持しているものと思われます。」

「特殊犯はどうなってる?」

「第一係の数班が既に向かいのビルに前線本部を設置、情報を収集中です。現場の指揮は梶田係長が。」

「あいつか。前線本部には引き続き情報収集に当たるように言っておけ。指示は追って連絡する。」

「わかりました。今回の指揮は一課長が?」

「いや、まだわからん。相手の武装を考えるとSATが出てきてもおかしくない…いや、確実にそうなるだろう。おそらく警備部と合同になる。なんにせよ、とにかく早く片付けるぞ。」


寺田はそう答えると前線本部から送られてくる映像を映したモニターを睨みつけた。


ーー前線本部


向かいのビルに設置された前線本部では所狭しとSITの係員たちが歩き回っていた。


「人質は何人だ?」

「それが…事務員の話によると二年生5クラス計200人だと…」

「安否は? その生徒全員の名簿を取り寄せろ。」

「まだわかりません。ただ抵抗しないなら危害は加えないと犯人が言っていたという証言もあります。名簿は今問い合わせ中です。もうすぐ届くかと。」

「無事ならいいが…人質の安否確認が最優先だ。学校とのホットラインは確保できたのか?」

「いえ、まだです。連絡は取っているのですが応答はありません。」

「急いでくれ。NTTにも協力を要請して相手との連絡手段を確保しろ。ファイバースコープと集音器はどうだ? 設置できたのか?」

「いえ、それもまだ。何しろ現場が五階建てなもので。校内に侵入しようとすればすぐ発見されます。」

「くそっ! ひとまず情報収集に徹する。一つでも多くの情報を集めろ。」


梶田は第一係の班長に命じると無線機を取り上げ、下で事務員から話を聞いていた所轄の刑事課員を呼び出した。


「事務員の事情聴取は終わったのか?」

「はい。犯人は少なくとも5人以上はいるそうです。そのほぼ全員が短機関銃(サブマシンガン)を所持していたと。」

「5人以上が短機関銃(サブマシンガン)を!? 何者だ奴ら…他には? わかった事はないのか?」

「それ以外に目新しいことは何も。ただ…」

「何だ。」

「いえ、妙な事を言っていたもので。」

「妙な事?」

「はい、何でも犯人はゲームをすると言ったそうなんです。」

「ゲーム?」

「はい。追い出される前に事務員の一人が何をする気なの、と犯人に質問しています。それに対して犯人は真剣な顔でこう答えたそうです。“これはゲームだ。それも大切な。”と。」

「…何なんだ、いったい。」

「さあ…それはまだなんとも。事務員の方たちはもう帰していいですか?」

「ああ。念の為住所と電話番号は控えておいてくれ。」

「わかりました。」


刑事課員が去ってからも梶田は考えていた。ゲーム…それはいったい何を意味するのか。

普通に考えれば快楽犯の戯言だろう。だが、梶田にはそうは思えなかった。何か意味があるのだろうか。


元々SITは(Sousa Ikka Tokushuhann)の略でしたが、ある管理官が(Special Investigation Team)だと解釈してしまい、公式名称となったそうです。


他に、警察では特殊犯、マスコミでは特殊班と略します。


機捜は機動捜査隊の略で、通常は捜査車両に2名で乗車し担当管轄内をパトロールし、重要事件発生の際は犯罪現場に急行し、事件の初動捜査に当たる組織です。


通常立てこもり事件の際は現場近くに前線本部、各都道府県警察本部に対策本部を設置します。


ブックマーク、感想、アドバイスお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ