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第1話 始まりは銃声とともに

それは唐突だった。


ガラガラガラ

ドアの開く音と同時に銃を持った黒ずくめの男が教室に入って来た。


「うわっち。」


おいおいおいおい、なんだありゃ…こちとら授業中なんだぞ…俺が天才だから聞く必要がないとはいえ……ごめんなさい。冗談です。いくら俺でもノー勉で高校の内容を理解できはしない。何が起こっているのかはともかくまずは情報だな。ボヤきながら零次は後方に後ずさり、分析する。あれは…MP5短機関銃サブマシンガンか。高い連射速度と命中率を誇る、H&K(ヘッケラー&コッホ)社の最高傑作だ。男はMP5を構えるとフルオートで床に発砲した。

ダダダダダダダダ

軽快な発射音が響き、床に穴が空いた。


「きゃぁぁぁー」


生徒たちが悲鳴をあげ一斉に窓際に集まった。零次もそれにならい、周りを見ながらゆっくりと後ずさる。ナイフや包丁ならまだしも、相手は銃、それも毎分800発もの弾丸を発射できるサブマシンガンだ。ましてや零次は何処ぞのアニメの主人公のように銃弾を斬ったりできるわけでもない。相手にするのは不利すぎる。


「静かにしろ。抵抗しなければ危害は加えない。」


男が初めて口を開いた。それは硬く、感情が感じられない声だった。まるで軍人だ。零次はそう感じた。此処は従うに限る。さっと結論を出した零次は黒板を爪で引っ掻いた。


銃声の余韻と悲鳴が混ざり合う教室でも黒板の音は効果を発揮し、その音に他の生徒たちは正気を取り戻し、否取り戻さざるを得ず、口を噤んだ。


「オーケー。静かになったぜ、どうすればいい?」

「……ほぉ。思いのほか立ち直りが早かったな。まぁいい。後でボスから連絡がある。それまでは此処で大人しくしてろ。何をしても構わん。あぁ、それと今は携帯は使えん。俺たちがジャミングしてるからな。適当に本でも読んで過ごすがいい。そう待たせはしない。」


男はフッと笑うとそう言った。


「おい、ジャミングってなんだよ。」


零次の隣にいた修が聞いてきた。


「通信妨害のことだよ。要するにこの学校全体が圏外ってわけだ。よくカンニング対策に使われるんだ。本当は資格がないと使っちゃダメなんだけどな。こいつらにそれを言っても無駄だろうな…というかお前知ってるだろ。聞くなよ…ってそういうことか、相変わらず気配りのできるやつめ。」


零次は修と話しながら考えていた。MP5はその性能故に非常に高価で、普通は軍や警察などの法執行機関でしか採用できないのだ。加えてジャミングができる技術と装置を持っていることを考えると、これは相当大きな組織が関わっていると考えて良さそうだ。最低でも暴力団か、それともあるいは外国のマフィアか…


「零次は冷静だな?」

「…そんなに冷静に見えるか? まあ安心しろ、俺がいる限り殺させはしない…このセリフ美少女に言いたかったなぁ…」

「残念ながら、君の求めている様な美少女は現実にはいないよ。」

「悪いな、俺は二次元から三次元までいける口なんだ。」

「…それは新しいストライクゾーンの分け方だな。」


二人の気の抜けた会話に他の生徒たちは落ち着きを取り戻し、コソコソと周りの奴らと話し始めた。


ピンポンパンポン


「…トントン、えーテストテスト。ご機嫌よう、みなさん。」


二人が話していると突然放送のスイッチが入った。


「私は今回この相楽高校を占領した東雲周一だ。突然だが、君たちには我々の指示に従ってもらう。我々からの要求はただ一つ。ゲームをしよう。」


なんだこいつ? まあいい。なんにせよ、俺に歯向かったことを後悔させてやる。俺はこういうイレギュラーな事態が好きなんでね。それこそ授業中にテロリストが襲ってこないかなーなんて夢想していた時期もあったくらいでね。今となっては黒歴史だが。やってやろうじゃねーか。さあ、ゲームの始まりだ!


そう心の中で叫んだ零次が数分後、


うわ…俺めっちゃ恥ずかしいこと言ってんじゃん…と頭を抱えて悶えたのは言うまでもない。



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