第0話 日常
「おい零次、今回の数学のテストどうだった?」
「んーまあまあかな。」
「ははっ、お前のまあまあはあてにならないからな。」
4月。高校生二年生の零次は春休み明けテストを受け終わったところだ。零次の通っている相楽高校は進学校というほどでもないが、大学進学率が高いだけあって長期休みごとにテストがある。今日は一限目から三限目までテストであり、これが終わると昼食で午後の授業が始まる。昼食中に流れるのは新入生のための部活動紹介だ。壮絶なジャンケンの結果、見事一位を獲得したテニス部が初日をかざった。
「はーい、どーもーテニス部でーす! テニス部は週5日テニスコートで活動してます! とっても楽しい部活ですよ。ほら、音が聞こえてくるでしょ。」
ポーンポーンポーン
ヒュッガシャン!
「あぁぁぁーーここでラケットを振り回さないで下さいよ!ほら壊れたじゃないですか!」
「あっ、わり。また、部長が謝りに来ると思うから勘弁してや。んじゃ!」
「ちょっ! おい! ……すみません。諸事情により本日の放送はこれで終了させていただきます。明日もお楽しみに! SBC(Sagara Broadcasting Club)」
「……何やってんだあいつらは…」
「ほっとけ。聞いてる分には楽しいんだから。」
そんな会話をしているのは零次と、伊澤修。学年中位の自称天才と、学年トップの天才だ。
「それもそうだな。」
「自分が中にいない内輪揉めは最高だって言うじゃないか。」
「それ、あいつの言葉だろ、世界最高のぼっちの。」
「わかったか。」
「なめるな、俺は新書からラノベまでオールマイティだ。」
「それが普通だ。というかもう高校生なんだからいい加減ラノベは卒業しろよ。」
「ふん、日常系から戦闘系まで読み尽くしてるお前に言われたかねーよ。」
そう言って零次は笑う。
どうでもいいような日常。今までも続いて来て、これからも続く当たり前の日常。そう、思っていた。今日までは…
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