No.000 プロローグ4
翌日
「やったぞ!やったー!!」
サービス開始は9時からなので朝っぱらから特にやることなく暇潰しがてら裏ダンの難易度エクストリームのネトゲをやっていたら少し熱中し過ぎたようだ。
そのダンジョンは面倒なことにスキル【調教】が必要で、さらにそのときだけレベルが1固定で武器なしのアイテム無し、そんで階層は9999層で最後の階層がモンスターハウスで、しかも今まで本編で倒してきたボスが強化されて襲い掛かってくるのだ。
主人公への救済はモンスターを確率次第で仲間に出来るのと、ダンジョンに落ちてるアイテムが食料だから餓死しないのと、開始初期からランダムでステータスアップアイテムをランダムで10個もってるぐらいだろう。
まさに無理ゲーだ、何処かの音ゲーの激唱かつ最高難易度よりムズい気がする。
……しかし、そのゲームを粘りに粘って1年5ヶ月と23日目の今日、やっとたった今クリア出来たのだ。
長かった。
本当に長かった。
1階で主人公が自力で倒せるモンスターはワロチーという丸くて青い獣か、ヌルぽんという半固形な水属性の魔法生物系モンスターだけなんだよな。それをどれだけ多く仲間にして、どれだけ強く出来るかが重要なんだよ。
いやはや、途中で運良くヌルぽんの上位変換のガッデムを仲間に出来たのが決め手だったんだなと思う。せめてギガントワロチーも仲間にしたかったという思いは我が儘だな。
思い出に浸っているとメールが来た。簡単に説明すると内容はこうだ。
「プレイヤー様
このゲームをプレイして頂き、誠にありがとうございます。
そして最高難易度の裏ダンジョンのクリアおめでとうございます。
そこでGMへの挑戦権が与えられます。
ゲーム内容はクイズです。
ご挑戦お待ちしております」
こんな感じの内容だ。挑発感が半端ないな、これ。
「ああ、『また』か」
最近のゲームは極めると挑戦権が与えられるのが流行ってるらしい。かれこれ挑みすぎて20からは数えてない。
「ああ、そう言えば《PCO》が開発開始の辺りから一斉にアップデートされてたからなんかあるのか?」
そう言えばこれも共同開発した会社か、馬鹿馬鹿しいな。そう思いながらも挑戦してみる。すでにGMはログインしていた。
ゲームスタート。と音声が流れ、問題が現れる。
どうやらこれはどちらが早く答えを答えれるか競うタイプのようだ。問題内容はその会社が発売したゲームの内容のようだ。
「楽勝だな」
遊び半分、ふざけ半分でどんどん解答してゆく、実はNPCが勝負してるんじゃないかと疑うほどの弱さだった。
ポーン
you win
そう表示され、ゲームは俺の勝ち。つまらん時間を過ごしてしまったな。
またメールがきて、「おめでとうございます、あなたの勝利です。贈呈品として《やわらかトロフィー》をお贈りします。そのトロフィーは今年発売の《PCO》で……」削除っと。
読むのめんどい。長ったらしいんだよ。いちいち堅苦しいし、本当勘弁してくれ。でもトロフィーはもらっておきます。
そう思いながら時間を確認。
時刻──19時03分
ん?あれ?もうこんな時……間?
実のところ昨日の夜に友人Nとその愉快な仲間たちに自慢するために連絡を取り合ってみた結果、皆が皆《PCO》を持っているという事実が発覚し一緒にやろうと約束したのだ!
待ち合わせ時刻は9時ジャストらしい。
…………寝過ごしたって言えば許してくれるかな?
おかしい、俺は9時になるようにアラームを設定したはずだ!
ピピピピッピピピピッ
あ、いま鳴りました。どうやらアラームを間違って設定したらしい。
俺は慌ててヘッドギアを装備!そしてパソコンに繋ぎ、電源を入れる。
そして意識は昨日と同じ感覚で暗くなっていった。
ガヂャ
秋夜が意識を失ったあと誰かが部屋に訪れた。
「あれ?パソコン着いたままだ……インストール中?ダウンロード?スペック?ステータス?トロフィー?…31個確認?…あれ?消えた?どうしたんだろ……」
そう、秋夜のお母さんだ。お母さんは秋夜が静かに寝息をたててるのを微笑んで静かに部屋を出た。
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秋夜が目を覚ますと、昨日訪れた部屋だった。秋夜はさっさと椅子に座り、妖精が来るのを待った。
「こんにちはー、待ってましたよー」
約3秒でやわらかな光と共に妖精が表れた。しかし大分疲れ気味のようだ。世界中で沢山ログインしてるからな、すこしだけやつれて見える。しかし顔は整っているので、疲れぎみな表情もこれはこれで有りな人も居るかもしれない。でも俺は違うからな。
「ん、大変そうだな、お疲れさま」
労ってやると少し笑顔になった。まあすぐにキリッとした顔に戻ったが。お仕事フェイスです。どうせなら秘書っぽく眼鏡でもかければ良いのに。知的アピール大事だぜ。因みに俺は眼鏡属性はあまり好きじゃない。
まあ、だからなんだって話なんだがな。
「ありがとうございます~、わざわざ私を労ってくれる人なんてあなたぐらいですよ~」
ふーん、結構整った顔してるからそうゆうこと言うやつ多そうだけどな。すぐ女の子に絡むナンパ系チャラチャライケメン野郎は三階の窓から飛び降りて足を複雑骨折してください。
「まあ、言い寄ってくる方も居ますけど、労ってくれる人なんて居ないんですよ。プレイヤーさんから見れば私はあくまでNPC扱いですから」
うん?お前ってNPCなのか?てか心読むなよ。恥ずかしいだろ。
「はい、そうですね……一応私もプレイヤーですよ?お仕事上でこうゆうお手伝いをさせてもらってます。アバターは……これしか作ってないですけどね」
「へぇ、そんなことより名前をまだ決めてないんだが、SYUUYAにしといてくれ」
自分の名前よりパートナーアバターが楽しみだ。ふふふ……今宵の俺の右手は血に餓えてるぜ……
「はい、シュウヤですね。わかりました。ではパートナーアバターですが……あとでご確認下さいね!」
あ、そんな感じなんだ。そしてボケたところはちゃんと反応してくれ。恥ずかしいだろ。なんだよ血に餓えてるって、中学二年生かよ。あとカタカナになっちゃうんだね。
よし、それじゃあパートナーの性別教えて。
「女性ですよ!感謝してくださいね!」
なんでお前が誇らしげなんだよ、ワケわからん。そしてボケのオールスルーをありがとう。でも全然悲しくないよ、こっちの業界ではご褒美だからね。
あ、もしかしたら何かしら手を加えてくれたのかもしれんな。仕方ない昨日のスキルの件はなかったことにしておこう。
その代わり薄汚い俺の手で頭を撫でてしまったのを水に流してくださいね (震え声
「取り合えずログインしてすぐ目の前にパートナーアバターが現れるので確認してくださいね」
「そうか、ありがとな。でもボケたところはちゃ……」
「はい、ではまたあと……楽しんできてください!」
「ちょい!」
最後には話すら聞いてもらえなかった。
そしてまたブラックアウトした。
そしてこの瞬間、地球に竜胆秋夜と言う存在は居なくなった。
スイーツ(笑)
これでプロローグ終わりです。