3話 ふははは!!見よ!俺の力を!
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目の前のガサガサと草むらが揺れ、そこから人型で四頭身くらいのモンスター、ゴブリンが出てきた。
今回俺達は初見殺しの森と呼ばれる、なんだかぞっとしない名前の森にこのゴブリンを狩に来ている。
「そっと行こう、アリス」
ちなみにこのゲーム。一定の行動をするとスキルをゲットできるようで、敵から身を隠したりというのを続けているとハイディングスキルが出たり、釣りをしていたりすると釣りのスキルが出たりするわけだ。
今日はデスゲーム始まってから二日目。まだまだ街がうるさいので、俺はアリスを連れて、森へ狩をしにきたのだ。
「さって。早速戦うとしようか」
「––––」
アリスが頷くのを見て、俺は初期装備のナイフを構え、ハイディングスキルから派生したスキルの不意打ちをゴブリンの首元へ放った。が、それは寸でのところで、ゴブリンの棍棒に弾かれ、変わりに防御も何も出来ない体制の俺と、すぐに攻撃体制に移ったゴブリンが目の前にという状況に至った。
「やっべ」
「ガアッ」
ゴブリンが棍棒を横に振り抜いたが、アリスが間一髪のところで俺の腕を引いてくれたので、ギリギリ避けることが出来た。
「サンキュ!アリス!」
「––––!」
ほら超笑顔。美すぃいいい!
「さぁゴブリン野郎!俺はアリスの笑顔で超元気いっぱい百パーセントだ!このままくるなら痛い目見るぜ!?」
「ゲッゲッゲッ」
ゴブリンは俺の話など聞く気はないようで、簡単に近づいてきた。
「さあって、皆は覚えてるかな!?俺が運動神経抜群だったって話!」
「ガァッ」
ゴブリンが棍棒で突きを放ってきたのを、今度はたまたまでなく、横にギリギリで避け、ゴブリンの腕が並行に伸び切ったところで、腕を掴み、肘を蹴り折った。
「ギァッ!?」
思わぬ反撃を受けて後ろによろめき、棍棒を手放し、折られた方の腕を庇うようにするゴブリンの顔面に、落ちた棍棒を投げ付ける。ゴブリンが目を瞑り、防御した隙をついて、ボディブロー。
「ガフッア」
「まだまだぁ!!」
ボディブローが入ったことで、防御が崩れ、完全に無防備になったゴブリンにアッパーカットをくらわせる。そして後ろ回し蹴りで、ゴブリンを吹っ飛ばした。
「グゲッ」
「あ」
一度落ちた時にゴブリンの首がいかん方向に曲がった。終わったな。つか、ナイフ使ってねぇ……。格闘技のセンスでもあるんじゃねぇか俺。
ピロリロリン。と間の抜けた音が頭に響いた。
『レベルが上がったようですね』
「––––!」
「お、イイね!」
とりあえず俺のステータスなんてどうでもいい。アリスも上がったようなので、アリスのステータスを確認。
アリス
Lv3
種族ヴァルキリー
HP5200(200)
MANA210(20)
STR220 (20)
DEF160 (20)
INT120 (20)
DEX170 (20)
VIT170 (20)
スキル 自己再生 魔法バリア ダメージ軽減中 MPドレイン 無詠唱
()の部分がプラスされた能力値ってことかな。しかし強いなアリスは。実はこの子。俺の十倍以上のステータスを誇っているのである。
だが、あまり彼女には戦ってもらいたくはないので俺も強くならないと。
「おっしじゃあこんな感じで狩ってくか!」
「––!」
おおー!みたいな感じでアリスは手を振り上げた。可愛い。
「ッ!?アリス!こっち来い!」
危険察知スキルに反応が出て、彼女の手を引いた。その直後、彼女の後ろに巨大な熊が現れたのだ。
「––––ッ」
デケェ!!クマァー!って感じの熊だわ。
「とりあえず鑑定だな」
ベア
文字通り熊だよ!くーま!ゴブリンより全然つえーよ!馬鹿野郎!
「マジか……でもこんなとこじゃ負けられない!」
「––––––よ––––––の––––––––」
「ってアリスさん?なんか言っーー」
「––––えて––––よ!ライトニング!」
アリスが叫んだ瞬間、大きな雷がベアに落ちた。残ったのはベアの毛皮というアイテムだけ。そして再びレベルアップ音が流れた。
「––––」
褒めてほしそうな顔をしているアリスに微笑み、頭を撫でてやった。
「アリス、ありがとう」
正直アレはヤバい。しかも多分あれ、詠唱してたよね、無詠唱とってあるのに。もしかしてなんか変わるのか?実験しておこう。いやしかし一撃て。俺ゴブリン一体倒すのにどれだけやったと思っているの。絶対強すぎるよねこの子。オーバーキルに程があると思うの。
「まぁとりあえず。一回帰ろうか」
「––––!」
俺達はドロップしたアイテムを拾い、森を出た。
森から出て、フェアリータウンまでは約十二分。そんな短い時間の間にまたしても邪魔が入る。
「きゃあああああああ!」
ウルフ四体に囲まれ泣いている女の子がいる。女の子の体力は既にゼロに近く、女の子自体も恐怖にうずくまっているだけで、最早何も抵抗出来ていない。
「アリス。ウルフは殺さなくて良いから、全速力であの子を助けてくれ!」
「––––!!」
アリスは頷き、真っ直ぐ女の子の方に跳んだ。それは一瞬で、ウルフが飛び交う瞬間には既にアリスは女の子を抱えていた。
ウルフ達が呆然としている中、俺が一体不意打ちで仕留め、残りが三体になったところで、アリスが叫んだ。俺は咄嗟にその場から退避した。次に振り向いた時には何も残っていなかった。
「凄まじいな」
ピロリロリンと本日三回目のレベルアップをした。
「あ、あれ?狼さん達は……?いない?助かっ……た」
女の子は極度の恐怖から解放されて安堵したのか、気を失った。
「とりあえず、宿に連れ帰るか」
「––い」
またちょっと言葉が聞けた!少しずつ信頼はされてるんだな。ってか信頼自体は既にされてる気がしないでもないんだが。なんだろうな?単純に時間とかな気がする。
「……すぅ……すぅ……」
「––––」
宿にて。多分可愛いとかそんな感じに言ったのだろうか。女の子の頬を撫でながら微笑んでいた。天使か。いや、天使か。
「しっかし、世の中物騒になったもんだな。ただのゲームが人の命を握るもんにまで、なっちまうなんてよ」
「––––も、わた––––ちは」
「ん?」
「––––だ、だめ––––」
やっぱよくわかんねぇや。でも、フォローは忘れない。
「なんだか、よくわからねぇけどさ、どのみちリアルでも一回死んだら終わりなんだし、大してかわんねぇよな。人間だって元々命懸けで生きてるんだ。いつ死ぬかなんてわからない。そんなのはゲームだろうと、リアルだろうと関係ないからな。それに、死ぬことだけは、誰に対しても平等だ」
「––––」
アリスが不安と疑問の混ざった表情で俺を見ているので、笑って頭を撫でてやった。すると、少しホッとした顔で、彼女も笑ってくれた。
デスゲームって言っても
なんだかんだ現実だって
いつ死ぬかはわからないですよね。
と大型トラックに轢かれかけた
作者はそう思いました。




