告白・重なる気持ち
山の中の静かな別荘地。
「さすが姫の別荘」
目の前に見える大きな別荘、姫の所有の別荘。
(ここに居るのか)
俺は緊張してる、不安も感じてる。
決心してこの場所へ来たのに。
「アキラ」
「雪弥」
一ヶ月、短い期間なのに、俺はまるで何年も会って居なかった様な感覚になった。
「・・・・どうしてここに」
「姫が教えてくれた」
雪弥は俺の顔を見ない、それだけで俺は不安になった。
「・・・・そうか・・・・荷物、取ってくる」
俺は無意識に雪弥の腕を掴んで居た。
雪弥は何も言わず俺の掴んだ腕を見つめた。
「・・・・聞いて欲しい事がある」
決めたんだ、俺はもうこの気持ちに決着をつけると。
それがどんな結果になっても。
雪弥は小さく頷いた。
「雪弥・・・・ごめん、俺は、ちゃんとお前に向き合って無かった、逃げてたんだ」
俺は何から話していいかわからなかった。
もう、何年も雪弥に隠し続けてた気持ち、逃げ続けてた。
「アキラ」
今の俺は情けない顔をして居るんだろう、アキラを俺は真っ直ぐ見ることが出来ない。
「俺は・・・・もう、友人で居られない」
「・・・・どうして」
アキラが震えてる、掴んだままの手から震えてるのが伝わってくる。
俺はまた、雪弥を傷つけた。
「もう、俺には、資格が無い・・・・俺は」
言葉が出ない、この言葉を口にした瞬間、もう二度と雪弥のそばに居る事も出来ないのだから。
俺は怖かった。
「好きなんだ」
俺は自分の耳を疑った。
「・・・・俺のそばに居て欲しい」
俺は雪弥を見た、雪弥は今にも泣き出しそうな顔をして俺を見て居た。
「雪弥」
「ごめん、気持ち悪いよな、男の俺にこんな事言われて・・・・ごめん」
俺は雪弥の腕を引き寄せ抱きしめた。
言葉には出来ない感情が俺の中に溢れて。
「あ、きら」
「好きだ・・・・ずっと前から」
何度も、雪弥に繰り返した。
雪弥は俺の言葉に何度も何度も頷いた。
「アキラ」
重なる、夢見た唇に触れて言葉に出来ない感情が伝わった。




