壊れる関係
「お前はどうしたい」
俺はまた姫に相談してる。
まるで女子高生の様な姿だ。
「それがわかれば姫に相談してない、でも、これ以上、雪弥のそばで今まで通りに振る舞う自信無い」
俺は本当に恋する乙女だ。
こんな事を考えたり、相談したりするなんて思いもしなかった。
「情けないな、お前」
キツイな、でも、実際俺は情けない。
自信が無いなんって、自分が決めた事を俺は投げだそうとして居るのだから。
「本当、情けないよな・・・・毎回、姫に相談して、また俺、逃げようとしてる・・・・何も変わってない」
姫は俺の前にコーヒーを差し出した。
「変わっただろ、今のお前は考えてる、昔のお前は考える前に行動してたからな」
「姫」
変わることの無いモノなんて無いのかも知れない。
俺もそして、雪弥も。
「新人ですか?」
「Leiの担当だ」
今まで三年間、俺は雪弥のそばに居た。
(良い機会なのかもな)
変わるきっかけ、これは逃げる理由。
「はい」
Lei、歌唱力のある女性シンガー。
「担当が変わる・・・・何で?」
雪弥は不満そうな顔をした。
「社長から言われた事だ」
「断わらなかったのか」
「社長に逆らう事は出来ない」
雪弥は下を向き何も言わずに黙って居た。
「雪弥担当は福原さんが引き継いでくれる」
「どうでもいい」
雪弥は後は何も言わずに部屋を出て行った。
俺は引き止める事も、名前を呼ぶ事も出来なかった。
「初めましてLeiです」
Leiは写真で見るよりもキレイな女性だ。
「千堂アキラです、よろしく」
Leiはニッコリと笑顔を見せた。
「アキラさんはずっと高谷さんのマネージャーしてたんですよね」
「三年してた」
あの日から三日、俺は雪弥と会う事も連絡をする事も無かった。
「アキラさん?」
「悪い、次行こうか」
今の俺はそれで良かった。
雪弥に会う事が怖かった、どんな顔をして会えば良いのか俺にはわからなかった。
もう、後戻りは出来ない。
どんなに足掻いても俺が決めた。
二度と戻る事はない、関係を壊したのは俺なのだから。




