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変わり始める予感

 キミのそばに居るためなら俺は永遠にこの気持ちを隠し続ける。





「アキ、邪魔だ」

仕事で疲れた一応客の俺に冷たく言うのは、小さな喫茶店の女店主。

「姫、俺、客なんだけど?」

「それが何だ?片付けの邪魔だ」

姫、本当の名前は美月だが、俺を含め美月と呼ぶ人間は少ない。

「姫、今夜泊めてくれないか」

「・・・・雪弥と何かあったか」

姫は何でもお見通しと言うより俺がわかりやすいだけなんだろう。

姫は呆れた様子で俺を見た。

「彼女が出来た」

「あいつも相変わらず早いな」

高谷雪弥は人気俳優、俺は雪弥のマネージャーをしている。

雪弥とは長い付き合いの友人でもある。

「アイドルのカンナ今人気急上昇」

俺は雑誌を姫に見せた。

姫は雑誌を受け取り見つめる。

「雪弥の好きそうなタイプだな」

女の子らしい女の子ヒラヒラの服が似合う女の子は雪弥のタイプなのだ。

「あぁ、本気なのかそうじゃ無いのか、俺、最近雪弥がわからないんだ」

長い付き合いの雪弥、何でも理解出来ると思ってた。

でも、最近の俺は雪弥が理解出来なくてなって居た。

前の彼女と別れて一週間、それなのに新しい彼女、最近雪弥は誰かと長く付き合う事が無くなった。

それは雪弥の自由なのかも知れないが、俺は誰かと雪弥が付き合い始める度に胸を締め付けられ、俺は表現出来ない不安と悲しみに襲われた。

「赤ワインが飲みたい、あとチーズ」

「姫」

「今夜は付き合ってやる」

姫は雑誌を俺に渡しながら言った。




俺はずっと前から自分の気持ちに気付いてた。

しかし、それを認める事は出来なかった。

認める時、俺は雪弥のそばに今までの様に居る事は出来ないから。

「アキラ、おはよう」

「おはよう」

学生の頃から雪弥は何も変わらない。

俺に見せる笑顔も何も変わらない。

「疲れてる見たいだな」

「あぁ、昨日姫と飲んでたから」

「何で俺も呼んでくれなかったんだ?」

「お前、昨日、カンナちゃんとデートだっただろ」

雪弥は不満そうに俺の顔を見てる。

「そうだけど、今度は呼んでくれよ」

「はいはい」

男の俺から見ても雪弥はカッコイイと思う。

でも、変わらない、まるで子供の様に笑い、拗ねる。

俺はそんな雪弥に俺は安心出来る。

「おはようございます」

俺がこの仕事を選んだのは雪弥のそばに居たと思ったから。

雪弥マネージャーになれたのは運が良かったとしか言えない。

三年、雪弥をそばで見ていた、それだけで満足だと思ってた。

「千堂さん」

「川村さん」

川村さんはカンナちゃんのマネージャー、見た目はおっとりとした感じの女性だ。

「カンナがお世話になってます」

「いいえ、カンナさんもお仕事ですか?」

「はい、隣のスタジオで雪弥さんが見えたのでカンナの代わりに」

お互いの事務所は二人の関係を認めない。

雪弥は人気俳優、カンナちゃんは今人気上昇中のアイドル、出来るだけスキャンダルは避けたいのだ。

「そうですか、伝言伝えましょうか?」

「お願いします、今夜またメールすると伝えて頂けますか?」

「伝えておきます」

俺は仕事だと割り切りたい、俺の感情は必要無いと。

「アキラ、今の」

「カンナちゃんのマネージャーさん、今夜メールするって」

俺は伝言を雪弥に伝えると雪弥は無関心かの様に椅子に座った。

俺は雪弥の横に立つ、俺は雪弥に何も聞かない、聞くのが怖いのだ。

「アキラ」

「なんだ」

「・・・・なんでもない」

違和感、こんなの初めてだ、ずっとそばに居て、お互いに理解してたのに、最近俺は違和感を感じてた。

何かが変わる。

どんなに祈り願っても、変わる。

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